中日協力で世界の変化に対応

2019-03-01 08:22:26

 

チャイナブランド戦略計画院副院長  劉徳氷=文

昨年末に開かれた中央経済活動会議では、目下の中国経済の動きには、安定の中に変化があり、変化の中に憂いがあると指摘された。この表現は、中国が現在直面している際立った矛盾や問題を回避せず、理性的かつ客観的な態度で中国経済の現状を表している。今年および今後の中国経済の行方については、見方がさまざまで、悲観的な意見も出ている。しかし、私個人としては、楽観視しており、政府が提起した科学的な計画に基づき、危機意識を高め、主要な矛盾に着目し、現在存在している各種の問題を適切に解決すれば、中国経済は、必ずピンチをチャンスに、プレッシャーを質の高い経済発展を促進する原動力に変えられると信じている。このプロセスにおいて、中日両国は多くの分野で協力の余地が大いにある。

世界の変化に積極的に対応

習近平主席はこれまでに何度も、世界は今まさに百年に一度の未曽有の大きな変革期にあると述べた。一方で、世界的な変化は中国に絶好の発展のチャンスをもたらした。中国は、世界を大いに安定させ、確実なものとし、世界の成長のエンジン、平和的発展のプラスエネルギー、グローバルガバナンスの新たな原動力といったプラスの役割を果たした。より大きな役割を果たしてほしいという、世界から中国への期待は高まりつつあり、それは、国際社会に対する中国の影響拡大にチャンスをもたらした。また一方で、大きな変化は、中国の外部環境が必ず急変し、さまざまなリスクや課題にさらされざるを得ないことをも意味する。世界の変化はチャンスも課題も含んでおり、多くの変化にはプラス効果もマイナス効果もあるため、われわれは常に危機意識や進取の精神を持たなければならない、と私は考える。中国はすでに新時代に入った。新時代には、新たなビジョンが必要だが、より重要なのは新たな成果を上げることだ。ますます複雑になる国内外の情勢に直面し、中国は、困難に向かって進み、新たな発展の原動力を生み出し続けることによってのみ、質の高い発展の道のりにおいて、大股で歩を進めていくことができる。

今回の中央経済活動会議では、製造業の質の高い発展の推進、強大な国内市場の構築の促進、経済体制改革の加速、暮らしの保障と向上の強化など、一連の重点活動が打ち出され、国内経済社会が直面している矛盾と問題を解決するために、努力の方向が明示された。われわれはこれらの活動の意味を深く理解し、各活動の着実な実行を積極的に推し進めなければならない。

例年の中央経済活動会議において、中国と特定の国の貿易問題が年間の重点活動に定められることは、これまでに一度もなかった。このことから、中米貿易摩擦の解決はすでに、中国が外部環境の変化に対応する際の最優先課題になっていることが分かる。トランプ政権は昨年3月、一方的に貿易戦争を引き起こした。しかし、昨年の中国の対米貿易黒字は依然として過去最高を記録した。貿易戦争が、米国に「米国を再び偉大に」というような繁栄はもたらさず、中国という大市場における多くのチャンスを失わせたということに、米国の人々はまもなく気付くだろうと思う。経済法則の力が政治家の意志より確実に強いということを彼らは理解するだろう。

中国が遂げた経済社会の目覚ましい発展は、改革開放の恩恵にあずかるところが大きかった。日本の戦後復興もグローバル化の流れから大いに恩恵を受けた。自由貿易の受益者として、中日両国には、多国間主義と自由貿易を共に守る責任がある。

中国が重点活動を確実に実行し、中米貿易摩擦を適切に解決しさえすれば、中国経済は必ず安定の中で成長し、安定の中で好転する(10)ことを実現できると私は考えている。 

中日協力でピンチをチャンスに

中央経済活動会議で打ち出された重点活動の中には、中日双方がさらに交流を深め、協力しながらチャンスを求め、ウインウインを実現していく価値のあることが数多く指摘されている。

製造業は両国経済において、ともに重要な位置を占めている。中国の製造業は規模が大きく、コスト面の優位性を持っている一方、日本の製造業は品質面の競争力が高い。中国は現在、「製造強国」の構築にたゆまず取り組んでおり、製造業のデジタル化、スマート化、エコ化に向けたモデルチェンジという目標を打ち出している。中日両国はハイエンド製造業の分野において新たな協力のチャンスと注目すべき点をつくり出し、より高いレベルの互恵ウインウイン関係を実現することができる。

中国は今、地域間の協調発展の統一的な推進に力を入れており、中日韓の自由貿易区の設置が順調に進めば、中国東北地区の全面的な振興に新たなチャンスがもたらされるに違いない。中日両国は、中日韓の自由貿易協定(FTA)の一刻も早い達成を共同で推進すべきだ。中日両国をはじめとする東アジア各国が自由貿易の枠組みの下で積極的に協力することは、東アジアの地域協力の全面的な推進や経済統合の最終的な実現にも役立つことになる。

改革開放後の40年間に、市場開放の面で中国が収めた成果は、誰もが認めるところだ。今後、中国は全面的な対外開放をさらに推し進めていく。中央経済活動会議は、市場参入を促進し、より多くの分野で単独投資による経営の実施を許可することを打ち出した。米テスラ社が先頃、中国で独資の工場の建設に着手したことは良いスタートといえる。日本企業が、開放をさらに拡大するという中国側の決意に注目し、積極的に中国で投資し、各措置がもたらす利益を分かち合うことを願っている。

中日両国は、「一帯一路」建設においても協力の余地が大いにある。中日企業の第三国市場における協力には、すでに一定の基礎がある。中国の優れた生産能力、日本の先進的な技術、途上国のニーズが効果的にマッチングされれば、きっと「1+1+1は3以上」の効果が上がるだろう。「一帯一路」建設の推進が、中国の発展に新たな原動力を注入するだけでなく、日本を含む世界各国の発展および世界の経済成長にもより多くのチャンスを提供することになると私は信じている。

中日両国は多くの分野で新たなチャンスを迎えていると思う。順調に協力を展開できるかどうかを決める一番の鍵は「心理状態」、つまり相手を「パートナー」と見るか、それとも「ライバル」と見るかということにある。両国は、大局に立ち、競争を協力へと転換し、中日関係の長期的な発展や、地域および世界経済の繁栄のために、積極的な貢献を果たしていくべきだ。

 

人民中国インターネット版 201931

 

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