PART3 パンダは動画でもアイドル

2021-02-24 14:10:15

最近、ユーチューブで話題になっている動画の主役がいる。寝転がっていびきをかいている場面を撮影した動画でさえ再生回数5万を超え、1カ月間で登録者を2万人余り増やした。最近ネットの注目を一身に集める動画の主役とは、昨年1122日に和歌山県のテーマパーク「アドベンチャーワールド」で生まれたパンダの赤ちゃんだ。中国外交部の華春瑩報道官はツイッターに英語と日本語でその誕生を祝い、中日友好の新たな「小さな大使」が健やかに成長することを願った。生まれてすぐにこんなに目立つパンダは、あの「香香」以来だ。

 

暗い世相の救世主に

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、このパンダの赤ちゃんの一般公開は延期せざるを得なかったが、毎日ツイッターとユーチューブで成長の動画が随時更新され、高い人気を得ている。ツイッターや動画のコメント欄には、「毎日、パンダの赤ちゃんが1日ずつ大きくなり、体毛が徐々に伸びていくのを見てとても感動する」といった感想が並ぶ。

同園広報担当の長谷川穂波さんはこう述べる。「これまでは、パンダの赤ちゃんは生後2週間~1カ月後に母子の状況を見て判断した上で、入園者に公開していました。しかし新型コロナの集団感染の予防抑制の必要性を考え、私たちは一般公開を一時見合わせるとともに毎日撮影編集した長めの動画をユーチューブにアップして、パンダの成長を一緒に見守っていただいております」

ファンの期待と熱意は長谷川さんに深い印象を残した。「時々更新が遅れることがあると、『待っていた』というコメントをいただきます。また『コロナも吹き飛ばすような元気な赤ちゃん』と言ってくださる方も少なくありません。新型コロナが厳しい状況の頃はネットの向こうの皆さんが私たちと一緒にパンダの赤ちゃんの成長を見守り、とても心打たれました。アップした動画で感染症の渦中にある人々に喜びを与えられたら幸いです」

パンダの赤ちゃんが生まれて以来、ネット上だけではなく現地白浜町の店舗もそれがもたらすビジネスチャンスに期待を寄せている。「関連グッズ(6)開発の打ち合わせに訪れる企業がいくつもあります」と長谷川さん。これらの積極的な企画は彼女に2018年の彩浜誕生フィーバーを思い起こさせた。「近くの商店街には彩浜のポスターが貼られ、のぼり旗が並び、お祝いムードがあふれていました。今は新型コロナのせいで以前のような大規模なイベントはできませんが、新型コロナが収束したらパンダの赤ちゃんが入園者と会って、町全体で赤ちゃんの健やかな成長の日々を祝える日が来るのを誰もが待ち望んでいます。この赤ちゃんは新型コロナの中もたらされた現地への激励で、希望の星ともいえます」

ネットでより身近になるスター

中国は1972年に日本に初めてパンダの康康と蘭蘭を贈り、中国の国宝であるパンダはその愛らしい姿で日本人に大変愛された。当時の上野動物園では、康康と蘭蘭の一般公開初日に5万5000人が上野を訪れ、3時間待ちの行列に並んで観覧時間はたった10秒間だったという。

今年5月に中国に返還されるパンダの香香はもともと昨年末の返還予定であり、延期が決まる前に上野では多くのお別れイベントが開かれ、香香との別れを惜しんだ。京成電鉄は記念乗車券を発売し、上野動物園から一番近い上野駅には香香の動画を流すモニターが設置された。

72年のパンダの初来日から日本のパンダブームは冷めることがなかったといえる。それに今では日々発達するSNSに伴い、人々がパンダ好きになる理由にも変化が生まれている。

長谷川さんは次のように分析する。「72年にパンダが初めて日本に来た時に日本人がパンダを好きになったのは、それが今まで見たことがなく、珍しくてかわいい動物だったからブームが起きたのかもしれません。今はSNSの普及でPR方法も増え、実際に現地に行かずともネットでパンダの生活と成長を見守ることができ、パンダと人々の距離を知らず知らず縮めています。パンダはこれまで動物園のスターでしたが、今はSNSの普及によって手を伸ばせば触れられるペットのようになり、距離が縮まり、ファンとパンダの心のつながりも深まりました。これも新世代のパンダである香香、彩浜、そして昨年生まれた赤ちゃんがさらに注目され、常にファンに支持され愛される理由でもあると思います」(王朝陽=文)

人民中国インターネット版 20212

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