世論調査を巡る対話 積極的な行動で相違解消へ

2023-01-09 19:31:05

李家祺=文


今フォーラムの開催に先立ち、第18回「中日共同世論調査」の結果が発表された。世論調査に関するセッションにおいて、中日のパネリストは調査結果を巡って踏み込んだ分析と議論を行い、どのようにして両国間で安定的建設的な関係の発展を推進するかについて、具体的な意見を提起した。 

  

「和して同ぜず」を求めよ 

中国国際広報集団副総裁兼総編集長の高岸明氏は次のように語った。「今回の世論調査の内容は豊富だった。双方の結果には違うところもあるが、共通する部分も少なくない。例えば、両国の多くの回答者は、中日関係の重要性を認め、新時代の要求にかなう中日関係を構築することを支持している。経済協力の面では、多くの回答者は、中日間の貿易総額は今後も増加すると答え、ルールに基づいた自由貿易を支持している。また、民間交流の面では、その役割を認めている。それらの結果に対し深く分析を行い、知恵を発揮して、小異を残して大同につき、相互信頼を増進するよう努力していかなければならない」 

東京大学大学院総合文化研究科教授の川島真氏は次のような考えを述べた。今回の世論調査の結果は、両国の一般大衆が共に平和を望んでいることを示しており、その点について安堵した。そのほか、日中関係が「重要」(「どちらかと言えば重要」を含む)だと答えた日本側の回答者の占める割合は、新型コロナ発生前の水準まで回復した。 

中国社会科学院日本研究所研究員の金瑩氏は「一部の現象に対する認識において、中日両国の回答者は共通性を示したが、その裏にある因果関係への受け止め方において、ある程度の差が存在している」と指摘し、次のような考えを述べた。福田康夫元首相は前日の講演の中で、人類運命共同体を構築していく中で「和して同ぜず」というアジアの価値観を見せるべきだと述べたが、今回の世論調査の結果から、「同して和ぜず」の部分が依然として少なくないことが分かった。いかにその認識の現状から、「和して同ぜず」の協力発展の方向へと向かわせるかが、私たちが考えるべき問題だ。 

零点有数デジタル科技株式会社董事長の袁岳氏は、米国という要素が両国回答者に与える影響について考えを述べた。中米貿易摩擦は中日関係に悪い影響を与えていると答えた人は、中日いずれも過半数を超えた(中国側は637%、日本側は598%)。だが、北東アジアの持続的平和のために反覇権が必要だと答えた中国人は半数近くだった一方、同じ考えを持つ日本人回答者はわずか11%だった。その点について両国国民の受け止め方の違いがうかがえる。 

言論NPO代表の工藤泰志氏は、「今回の世論調査結果の最も大きな特徴の一つは、米中対立下での日本の立ち位置について、多くの日本人回答者が『どちらかにつくのではなく、世界の協力発展のために努力すべき』と答えたことだ。それは日本国民が望んでいることだと言えよう」と述べた。 

 

次の50年に向かって前進 

中日国交正常化50周年において、パネリストたちはいかに世論調査に反映された現状と課題から出発し、将来の両国関係の発展のためにより強固な礎を築くかについて踏み込んだ議論を行った。 

工藤氏は次のように指摘した。国交正常化が実現してからの50年間、日中は複数の分野で豊かな協力の成果を遂げたが、今回の世論調査では、国交正常化50年後の日中関係に不満(「どちからといえば不満」を含む)だと答えた人は、日中どちらも約半数だった。それに対して踏み込んだ思考と話し合いが求められている。 

金氏は、「現在、中日関係は歴史の十字路に立っている」と述べ、次のように分析した。中日関係を含むアジア全体の情勢が大きなリスクと課題に直面していることを認識しなければならない。その中には、国際情勢がもたらすリスクもあれば、両国経済が直面するさまざまな課題もある。また、日本の「安保3文書」の改定を受け、戦後の「専守防衛」原則の形骸化を招きかねないと、多くの中国国民が心配している。第2次世界大戦中、中日両国の国民はどちらも、深刻な苦痛を与えられていた。そんな歴史が繰り返されることは誰も望まない。両国民にとって、平和こそ人心の赴くところだ。そのため、両国民が中日関係の現状に不満を抱いているという世論調査の結果は、中日に積極的な行動を求めるものである。外交面の協議や戦略対話の強化を通じて、安全面のリスクや双方の心配を解消し、両国指導者が合意した「安定的建設的な中日関係」の方向へと後押しすべきだ。 

中央公論新社『中央公論』編集長の五十嵐文氏は次のような考えを述べた。世論調査の結果によると、両国回答者の相手国に対する印象に影響を与える要素の上位にあるのは、ほぼ政治関係だった。双方どちらも青少年交流をはじめとする民間交流や経済貿易面の往来の重要性を認識しているが、政治摩擦が起きるたびにそれらの交流に支障が生じる。そのため、政治面で安定した関係の構築に取り組まなければならない。 

五十嵐氏は金氏が取り上げた両国民の平和に対する祈念に賛成し、対話による摩擦の解消を強調した。また、ポストコロナ時代の日中民間交流について、より多くの中国国民が訪日観光を通じて日本に対する印象を改善し、また、より多くの日本国民が中国を訪れ、本当の中国を知るよう期待すると述べた。 

  

 

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