メディア分科会 客観的報道で世論の礎築く

2023-01-09 19:34:38

段非平=文


メディア分科会では、中日両国のベテランジャーナリストやメディア研究に携わる学者ら13人が出席し、「対立する世界とアジアの平和で問われる報道の在りかた」をテーマに議論し、率直な意見交換を行った。 

  

独自の視点から客観的に報道 

現在、世界は百年間なかった変動と新型コロナウイルス感染症の影響によって国際情勢が大きく変動し複雑化している。そんな中、メディアには、時代の課題に対する解決策を見いだし、国際的なコンセンサスを広く形成していく重要な責務が課せられている。真実を守り、平和、発展、公正、正義、民主、自由という世界共通の価値を広めることは、時代が各国のメディアに寄せる期待であり、メディアの責任でもあるということでゲストは共通の認識に達した。 

澎湃新聞社総裁総編集長の劉永鋼氏は、複雑な国際情勢を前にして、メディアはニュースの在り方の原点を見つめ直し、立場が先ではなく事実が先であることを常に強く意識すべきと強調。メディアにはそれぞれの立場や価値観があるが、いかなる場合も事実と矛盾する内容を報道してはならないし、事実に対して客観的かつ合理的な分析判断をしなければならないと述べた。 

鳳凰衛視(フェニックステレビ)中国語局副局長の黄海波氏は、多くのメディア報道における「情報の繭(インフォメーションコクーン)」現象は、ある程度、世界の分断と誤判断を招いていると見る。中日両国のメディアには違いがあるが、平和と発展という同じ道を歩むべきであり、双方が自らの基準を押し付けるのではなく、互いの選択を尊重すべきであると強調した。 

中国青年報社国際部ベテラン記者国際面融合メディア編集長の陳小茹氏は、メディアはただ現象を報道したり、どちらかのために弁護したりするだけではなく、事件の全貌を復元し、読者が事件の背後にある本質を見抜き、自ら判断する手助けをすることが責任だと指摘した。 

日本経済新聞社常務執行役員論説委員長の藤井彰夫氏と読売新聞国際部長の小川聡氏は、国際情勢などの問題でメディアの報道が人々の判断に影響を与えると指摘した上で、メディアには報道の透明性と包括性を高めることで、あらゆる立場の人々の声を届け、読者を真実に近付ける責務があると述べた。 

  

相互理解と信頼の懸け橋に 

メディアの役割をどう発揮するかについて、メディアは世論の先頭に立ち、誤解や偏見をなくし、人々が心を通い合わせるために努力すべきであるという点でコンセンサスを得た。合理的かつ客観的な視点で世論の道標となり、バランスの取れた正確な筆致で事実を伝え、厳正かつ責任ある態度で問題解決に努めるべきだ。 

中国外文局アジア太平洋広報センター総編集長中国人民政治協商会議第13期全国委員会外事委員会委員の王衆一氏は、1998年に当時の江沢民国家主席が訪日前に人民中国に寄せ書きを送ったことを思い起こしながら、中国の指導者はメディアを通じて両国民の相互理解と友好を促進することを常に重要視しており、これは中国の不変の立場であると述べた。また、民間レベルでも、中日友好のために尽力している多くの有識者たちがメディアを通じて心と心の交流を図っている。現在、メディア環境が悪化する中、両国のメディア関係者は自らの原点を見つめ直し、先人から多くを学び、より理性的な声を読者や視聴者に届け、時代の試練に耐えられる、より深く包括的な報道を行う必要があると強調した。 

人民日報社国際部編集主任の劉軍国氏は、両国のメディアは協力を強化し、地に足の着いた、人々の心の奥底まで響く共通の発展の物語をもっと報道すべきだと提案した。そのためには、深い体験と広い心、誠実な善意をもって歴史を忘れず、長期的な視野で未来を創造し、建設的な内容を通じて平和、安定、発展のためにメディアの力を貢献しなければならないと強調した。 

共同通信社国際局編集委員多言語サービス室長の辰巳知二氏は、日本と中国は地域の平和と繁栄を維持する責任を共有しており、ジャーナリズムは真実を堅持しつつ、平和や親善といった両国国民が共有するポリシーをも反映すべきだと指摘した。 

2時間にわたるディスカッションでは、双方のパネリストが建設的な対話を行い、デリケートで鋭い問題にも尻込みせず、相互の関心事について質疑応答を繰り返し、相互理解と信頼を深めた。最後に、今回のフォーラムをオンラインで視聴し、フォーラムに10回以上ゲストとして参加している元国務院新聞弁公室主任の趙啓正氏も、期待を込めて次のように述べた。両国のメディア関係者は客観的な報道をすると同時に、中日関係の積極的な発展を促進する願いを持ち続け、中日友好そして北東アジアの発展と世界の平和に貢献し続けてほしい。 

 

 

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