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「雪郷」を訪ねて――牡丹江の長汀鎮

 

─キノコの村にようこそ─

引き続き十数分ぐらい車で走ると、ついに雪郷で最もにぎやかな雪韻大通りに着いた。通りの一方の側では、さまざまな記念品やお土産を売っている店があり、通りのもう一方の側では数軒のレストランと郵便局が並んでいる。これらを屋外の簡易式レストランと見下してはいけない。値段は相当なものだ。都会では三十数元くらいの鶏肉とキノコの煮込みも、ここでは百元を超え、腹が減って死にそうでも、注文を躊躇してしまいそうなぐらい値が張る。通りに沿って突き当たりまで歩くとそこは交差点。そこから左に3㌔歩くと羊草山で、右にまっすぐ行くとすぐに、山の麓に庭付き一戸建ての小屋が並んでいるのが見える。屋根や分厚い木材、積み上げた薪の上には雪が厚く積もっている。ここの雪は粘度が高いので、積もった雪の角は往々にして丸みがかった形になる。遠くから見れば、各々の家屋がまるで巨大な白いキノコのようになり、童話の雰囲気で溢れている。

雪郷の旅館

以前、この「キノコの村」に住んでいたのは現地の営林場の作業員だった。観光業の発展につれ、村中の百を超える世帯のほとんどが自宅を旅館に改装した。どの旅館も6、7つほど客室があり、それぞれの部屋にはオンドルが一つしかない。オンドルの大きさによって2人から6人まで泊まることができ、一人当たりの宿泊料は一日30元だ。観光シーズンになると、一つのオンドルに、さらにもう一人か二人詰め込むそうだ。その時はいつも、みんな夜になると早々とオンドルに来て休む。なぜなら最後にオンドルに来る人にはいつも、半身しか横たえられないぐらいの狭いスペースしか残されていないからだ。仮にそうだとしても、オンドルで寝られさえすれば本当にラッキーだ。なぜなら最盛期になると、毎晩百元払っても部屋に空きがないので、ベンチに座り壁に寄りかかって寝るしかないという例もあるからだ。

旅館のオンドル 観光客がひしめき、みなぎる熱気とともに食事を楽しむ

オンドルといえば、中国北方の特色の一つだ。東北人がオンドルで眠る歴史はすでに千年を超えた。雪郷の旅館では、毎晩六時をまわると、部屋のオンドルに薪をくべて火をつける。薪に火をつけた時に出る煙と熱気によって上面のレンガ層が熱くなり、オンドルを暖める。基本的に温度は一晩保つことができる。一般の民家では、オンドルとかまどが壁を隔てて繋がっており、調理と同時にオンドルを暖めることができるので一挙両得だ。オンドルはかまどに近いほど温度が高く、大抵は最も地位が高い人やお客さんがそこで寝る。そして、男性と若者はかまどから最も遠く、温度の低いところで寝るという。

もし、旅館で一つのオンドルに六人も寝るということがひどく窮屈に感じられるのなら、食事の時はもっと悲惨だ。20平方㍍にも満たない部屋に、30人を超える観光客が円になって座り一緒に食事をして、共同で24インチのテレビを見る。まさに中国ならではの集団生活を体験する絶好のチャンスと言えよう。

─美しい雪原を通り抜ける旅─

旅館でくつろいだ後、本格的な雪原の通り抜けを始めた。雪郷観光の選択肢は数多く、スキー、馬そり、犬そり、スノー・モービル、雪上車、あるいは思い切って徒歩で。どれを選んでも林海雪原の通り抜けを楽しむことができる。

スノー・モービルに乗って羊草山の広々とした雪原を駆け回る観光客

雪上車で山に登り、羊草山で美しい日没を楽しむ

数ある選択肢の中で一番おもしろいのが犬ぞりだ。ここの犬はいずれも体は大きいが性格はおとなしい。普段は主人と一緒に村の入り口でおとなしく客を迎え、客と一緒に記念撮影をする。写真を撮られることに飽きてくると、バタッと雪の積もった地面に寝転んで眠りだす。今日の最高気温はマイナス十数度だ! 熊のように厚着したわれわれと比べ、犬の耐寒力は実にすごい。また、そりを引く姿も実に力強い。そりを右に左に激しく揺らしながらでこぼこ道を飛ぶような速さで駆け抜けるので、本当にスリル満点だ。  

かわいい犬そりは雪郷で最も人気のある観光手段の1つだ

しかし、村で見晴らしの良い羊草山から日の出と日没を見たいなら、犬ぞりで行くのは難しいので、雪上車やスノー・モービルに乗る必要がある。いわゆる雪上車とは、キャタピラー式トラクターのことで、車体に簡単な鉄製の幌といくつかの座席を取り付けると、雪上車に早変わり。雪上車のスピードは牛車のごとくのろのろしたもので、音も非常にうるさい上に、軽油の臭いがきつく、揺れもものすごい。しかし、険しい坂道も楽に登ることができ、山登りにはうってつけだ。頂上でしばしの日没を楽しんだあと、もし雪上車に乗るのが苦痛なら、スノー・モービルに乗り換えればいい。甲高い音をたてながら猛スピードで山を下りるとき、思い出はなおいっそう忘れがたいものになるだろう。  

歩いて林海雪原を通り抜ける観光客

もちろん徒歩もいい。ビギナー向けがよいなら、現地のショートコースウオーキングを選ぼう。たまに足を止めて写真を撮ったり、雪合戦を楽しんだり、誰もまだ通っていない雪だまりに自分の足跡を残したり。でも足跡と言うより、もっと正確に言うならば腿跡だろう。ここの積雪の深さは、一歩踏むと膝まで埋もれてしまうほどだ。しかし、少しでも油断をすると、氷の穴に落ちてしまうおそれがあるので、必ずガイドのあとについて行かなければならない。

夕日に照らされた雪郷の羊草山

少しレベルは上がるが、よりいっそう自然の生態を保ってきた雪原風景を見ることもできる。ハルビンから車を手配して東昇営林場へ行き、そこから徒歩で雪郷まで歩き始める。まず800㍍上り、1668㍍の大秃頂子山を越え、また400㍍下り、そして雪郷に着く。総距離は12㌔で、6時間もかかるそうだ。

馬そりに乗って山へ出発

東昇営林場と雪郷を隔てているのは、わずか山一つだが、山手の方は依然として最も伝統的な営林場の姿を保っている。地元の人たちは「木刻楞」という東北地方の木造住居に住んでおり、冬は川の表面に張った氷に穴を開けて水を汲む。山に登り、林業とキノコ狩りで生計を立てている。まだ開発が進んでいない東昇営林場は、あの雪郷よりもさらに美しい。その素朴で昔ながらの美しさを失わないようにするため、そこへ行ったことがある人は、道中の辛さをわざと大げさに語り、あまり多くの人がそこへ行かないように仕向けているほどだ。しかし、東昇の人たちは観光客の到来が、彼らの生活水準を向上させてくれると期待している。

 

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