自民党が圧勝 中日関係が複雑な試練に直面

 

参議院選挙は21日に投票が行われ、連立政権を組む自民党と公明党が圧倒的な勝利を収め、過半数の議席を獲得した。安倍政権の今後の対中政策には、どのような新たな変化が生じるだろうか。

李薇氏(中国社会科学院日本研究所所長):21世紀の日本の外交の「最大の課題」は、常に対中関係である。外交は内政の反映であり、日本は「正常な国家」を求めると同時に、アジアにおける位置づけを求める必要がある。この位置づけとは、いかに中国を見るかによって決まる。つまり対中関係は、日本の内政・外交において、最も重要な位置を占める。短期的に見て、安倍政権の歴史認識問題に関する右翼的な言行、釣魚島の主権に関する「係争は存在しない」、「協議の余地はない」といった態度は、対中関係の改善を制約する。同時に中米の「新型大国関係」という位置づけの影響を受け、安倍政権は中日関係の膠着状態を打破する積極的な世論を形成し、大国間外交から疎外されるリスクを回避する 。

張勇氏(中国社会科学院日本研究所中日関係研究センター秘書長):現状を見る限り、中日関係の構造は多元化・複雑化している。安倍首相の対中政策および中日関係の動向について考える場合は、次のいくつかの点について分析するべきだ。まずは、内部構造だ。日本では対中政策の決定に参加し、影響を与える機関と個人が増加傾向にあり、異なる利益の需要が存在している。次に、交流の構造だ。内部構造が複雑な状況下、双方が効果的な交流を行えるか否かが、問題解決のカギになる。それから、外部構造だ。そのうち特に米国は、両国の「団結」を望まなければ、両国の対立の持続も望んでおらず、「戦わず、争わず」の関係が米国の利益に最もかなっている。

参議院選挙後、日本国内の政局の規制要素が緩和され、安倍首相の対中政策は自由度を増す(調整の需要が増加し、調整の空間が拡大される)。しかし中日関係の内部・外部・交流の、三重の構造が同時に力を発揮し、日本の対中政策の難易度が高まっている。短期間内に、安倍首相の対中政策が調整される可能性があり、一部の「寒」から「暖」への転換の可能性も否定できないが、中長期的に見て、「争い」と「提携」が交互にやってくる。

呉懐中氏(中国社会科学院日本研究所政治室主任):選挙前と後の安倍政権の対中外交政策・態度には、決定的な突然の変化が生じることはない。安倍首相は依然として「政経分離」および硬軟織り交ぜた両面的な政策を続けると見られる。まず領土問題では、軽率に譲歩を示さない。安倍首相は釣魚島は戦略的なコマ、中国対抗の地政学的な争いの最前線ととらえており、同時にこれを利用し「中国の脅威」、「安全の危機」を作り上げ、自らの改憲・国防正常化・軍事大国化の政治的宿願を遂げようとするだろう。

しかし日本の景気回復は中国から離れられない。安倍首相は長期政権を構築しようとするならば、中国と安定的な経済交流および両国関係の大局を維持しなければならない。そのため安倍首相は中国に対して、探りを入れたり接触を求めることで、中日関係を彼の設定した戦略図とルート上で「安定」させ、「正常」にしようとする。この戦略は根本的に見ると、中国台頭に伴う権利の変動を相殺し、抑制しようとするものであり、今後数年内に変化が生じることはない。これにより中日両国関係は実質的な改善が難しく、一時的な安定化はあっても、真の好転は困難であり、周期的な「もがき」を経る可能性もある。参議院選挙後、安倍首相の対中政策に根本的な変化がなければ、すでに構造に矛盾が存在する中日関係は、重大な戦略的岐路に立たされ、厳しい歴史的な試練に直面するだろう。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年7月22日

 

 

 
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