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縁起が良い「午年」の経済

 

 

今年は「改革深化元年」に

さて、改革開放政策が発表されたのは1987年の午年でした。今年はその改革開放路線を敷いた鄧小平氏の生誕110年に当たります。午年は改革開放と鄧小平氏に取り分け縁があるようです。

昨年11月に開催された党第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)では、改革開放の深化がメーンテーマでしたので、今年は、2002年の「WTO加盟元年」にちなんで、「改革深化元年」と言えるでしょう。その際、発表されたのが、2万字余りからなる「改革の全面的深化における若干の重大な問題に関する党中央の決定」で、15分野で60項目の改革深化策が明記されています。その中で「改革」(名詞)の2字が137回、「深化」(動詞)の2字が49回と頻繁に使われ、この決定を飾っている(注1)など、改革深化に対する現指導部の並々ならぬ姿勢が感じられます。経済・社会面での改革深化の内容を紹介しておきましょう。2026年に迎える次の午年までに中国がどう変わっているのかを見る視点となるでしょう。

①国有企業の活力を増強し、民営企業の活力と想像力を最大限発揮させる

②市場決定価格メカニズムを整える

③法制およびサービス型行政を整備する

④財政・税制体制改革を深化させる

⑤都市化の推進で都市と農村を同時に発展させる

⑥自由貿易地域(FTZ)の建設を速め投資制限を緩める

⑦民主・法治国家を建設する

⑧反腐敗・清廉政治に徹する

⑨文化・教育・雇用・医療制度を改革し社会保障を充実させる

⑩資源有償使用制度と生態保障制度を実行する-など。

「歴史をもって鑑となす」

午年にもいろいろな言い方があります。例えば、丙午(ひのえうま)。この年(1682年、徳川幕府の江戸時代)、八百屋お七の火付け事件があり、丙午の年は世間からあまり歓迎されない年となっています。今年は、甲午(きのえうま)です(注2)。120年前のこの年には、日本と清国が戦火(日清戦争、中日甲午戦争)を交えました。いかなる戦争にも正義はありません。ただ、日清戦争後、戦禍を受けた中国から多くの留学生が来日し、その後の日中交流に大きな足跡を残しています。

今年の春節にも中国から多数の人々が来日しました。今回の甲午は、「歴史をもって{かがみ}鑑となす」との教訓を生かす年となってほしいものです。

 

注1 使用頻度で「改革」は「制度」「社会」に次いで3位。「深化」は「完善」「健全」「建立」「推進」「建設」「保障」「加強」に次いで8位(人民ネット 2013年11月16日)

注2 日本の総理大臣には午年生まれが多い。例えば、安倍晋三首相(甲午)、小泉純一郎(壬午)、田中角栄(戊午)、中曽根康弘(戊午)各元首相ら

 

(財)国際貿易投資研究所(ITI) チーフエコノミスト 江原規由

1950年生まれ。1975年、東京外国語大学卒業、日本貿易振興会(ジェトロ)に入る。香港大学研修、日中経済協会、ジェトロ・バンコクセンター駐在などを経て、1993年、ジェトロ大連事務所を設立、初代所長に就任。1998年、大連市旅順名誉市民を授与される。ジェトロ北京センター所長、海外調査部主任調査研究員。2010年上海万博日本館館長をを務めた。

 

人民中国インターネット版

 

 

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