People's China
現在位置: コラム対訳コーナー

孤独的树

孤独な木

 

 大概是一种有计划的栽种,整片斜坡上种满了一样的树,也许是日照很好,所以每一棵都长得枝叶青葱,亭亭如华盖,而在整片倾斜下去一直延伸到河谷草原上的绿色里面,唯独有一棵树和别的不同。

計画的な栽植があったのだろう。斜面じゅう同じ木ばかりで、日当たりがとても良いせいか、どの木も葉を青々と茂らせ、すくっと華蓋のように広がって、全体が傾いて谷間の草原の緑の中までずっと続いていたが、ただ1本の木だけが他と異なっていた。  

 

 站在行列的前面,长满了一树金黄的叶片,散发着一层比一层还璀璨的光晕。它一定坚持了很久了,因为在树下的草地上,铺上了一圈金黄色的落叶,我虽然站在山坡的对面,也仍然能够看到刚刚落下的那一片,和地上原有的碰在一起的时候,就觉得后者已经逐渐干枯褪色了。

行列の前面に立ち、黄金色の葉をいっぱいにつけて、一層また一層と輝く光の輪を放っている。それはきっと長い間ずっと持ちこたえてきたに違いない。なぜなら、木の下の草の上に、まるく黄金色の落葉が散り敷かれていたからである。私は山の斜面の向かいに立っていたにもかかわらず、落ちたばかりの1枚の葉が、地面にあった落葉にぶつかって一緒になったとき、前からあった落葉はすでに乾いて色褪せているのが見えたように感じた。  

 

 天已近傍晚,四野的阴影逐渐加深,可是那一棵金黄色的树却好像反而更发出一种神秘的光芒。和它后面好几百棵青翠逼人的树木比较起来,这一棵金色的树似乎更适合生长在这片山坡上,可是,因为自己的与众不同使它觉得很困窘,只好披着一身温暖细致而又有光泽的叶子,孤独地站在那里,带着一种不被了解的忧伤。

空はすでに夕暮れに近く、四方の影が次第に深みを増していたが、その黄金色の木はかえって一種の神秘的な光を発しているようだった。背後にある数百もの迫り来るような青々とした木々と比べると、この1本の黄金色の木は、この山の斜面で生長するのによりふさわしいように思えた。しかし、自分が他と異なることにとても困惑していたために、ただ暖かで精緻な、そして光り輝く葉を身にまとって、理解されることのない憂いを抱いて、孤独にそこに立っているしかなかったのだ。  

 

 我想走下河谷,我只要再走近一点,再仔细看一看那棵不一样的树。

私は谷まで下りて、もう少し近づいて、じっくりとその異なる木を見てみたいと思った。  

 

 但是,诺拉坚持要回去。

しかし、ノラは帰ると言い張った。  

 

 于是,我终于没有走下河谷。

だから、私はとうとう谷には下りなかった。  

 

 也许诺拉是对的,所有值得珍惜的美丽,都需要保持一种距离。如果那天我走近了那棵树,也许我会发现叶的破裂,树干的斑驳,因而减低了那第一眼的激赏。于是,那棵树虽然孤独,却保有了那一身璀璨的来自天上的金黄。

もしかしたら、ノラが正しかったのかもしれない。珍重に値する美はすべて、一定の距離を保つ必要があるのだ。もしその日、その木に近づいていたならば、私は葉が裂け、木の幹がまだら模様になっているのを発見したかもしれず、となると、最初に見たときの激賞は減じてしまっていただろう。それで、その木は孤独であっても、輝かしい天より下された黄金色を保っているのだ。  

 

 又有哪一种来自天上的宠遇,不会在这人世间觉得孤独的呢?

天からの特別な厚遇を得て、現世で孤独を感じないものはないのではなかろうか。

 

节选自席慕容散文《孤独的树》

席慕容のエッセー「孤独な木」より一部抜粋

 

 

 

◆翻訳にあたって◆

 

作者の席慕容は現代画家、詩人、エッセイスト。画家らしい非常に絵画的で色彩豊かな文章だ。

「華蓋」とは、皇帝の乗り物などにさしかける絹の傘のこと。(福井ゆり子)

 

 

 

 

人民中国インターネット版  2016年4月

 

 

 

 

 

同コラムの最新記事
祖母的葵花
送你三根葱
鱼头
家乡的土炕
关于购物