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東南アジアに開かれた北部湾経済区

 

整備進む沿海産業

北部湾一帯では、いたるところで建設工事が進んでいる。

将来、北部湾は近代的な埠頭になるばかりでなく、埠頭に面する地区に多くの重要な産業プロジェクトが建設される予定だ。

中国石油天然ガス集団が欽州市に建設している大規模石油精製プロジェクト(写真提供・欽州市対外宣伝辦公室)

北部湾沿海地区には、総発電設備容量680万キロワットの火力発電所3カ所の建設に拍車がかけられており、すでに一部は発電を開始している。林業と紙パルプと製紙業を一体化させた「林漿紙一体化プロジェクト」や「臨港大型植物油加工プロジェクト」「中国電子北海産業園基地」など、いずれも建設が始まっている。すでに建設を承認された欽州保税港区は、中国西南部で唯一の保税港であり、それによって欽州や北部湾全体がさらに大きく発展する余地とチャンスに恵まれている。

武漢鉄鋼公司と柳州鉄鋼公司の合弁による広西鉄鋼集団有限公司は、2008年9月に防城港市で設立された。この公司の初めての生産ラインは30カ月以内に生産を始める。現在、日本や韓国などの企業が造船や機械製造などの面での協力について打ち合わせに来ている。

中国石油天然ガス集団の大型石油精製プロジェクトは現在、欽州港で建設工事が始まった。第3期プロジェクトを完成すると、年間1,000万トンの原油を精製できる。欽州市北部湾経済区管理委員会辦公室の丁起文副主任は「石油化学産業はダウンストリームの産業が非常に多く、産業の連鎖が非常に長いので、このプロジェクトは欽州および広西の経済構造の改善に大きな促進作用を果たすだろう」と言っている。

また、欽州の環境汚染のコントロールにも自信をのぞかせた。同副主任によると、中国石油化学プロジェクトは、環境保護部(省)が環境影響評価を実施し、国の最高の環境基準である「一級基準」を適用したという。現在、欽州で操業している火力発電所は、発電の過程で完全に国の排出基準をクリアしている。

広西北部湾経済区の発展計画によれば、四つの市がある4万2,000平方キロの北部湾経済区は三種類の計画区域に分けられている。一つは、開発に適している区域で、総面積の9%を占めている。第二は開発制限区域で56%を占め、第三は開発禁止区域で35%を占める。資源を節約し、環境に優しく、生態環境が良好な「緑色経済区」を建設するために、広西チワン族自治区は環境保護に関する要求水準を高くし、汚染が比較的深刻な産業やプロジェクトに対しては、経済区に入ることを厳しく禁止している。

発展・協力の未来は明るい

北部湾経済区の発展の目標は、石油化学、製紙、冶金、軽工業、食品、ハイテク、水産物加工などの加工製造業を重点的発展させることである。同時に従来から優れている農業や牧畜業、漁業の発展にも力を注ぐ。また物流や金融、情報サービス、展覧会、不動産、観光などの近代的なサービス産業の育成に力を入れ、その発展を促進する。

東興市にある北侖河は中国とベトナムの国境の川で、対岸はベトナムのモンカイ(芒街)市。毎日、多くの貨物船が北侖河を航行して中国・ベトナム両国を行き来する

近年、中国・ASEAN自由貿易区建設の推進や、中国・ASEAN博覧会の開催成功によって、広西とASEAN諸国との貿易は急速な成長を持続している。税関の統計によると、2008年1~6月で、広西とASEAN諸国との貿易額は10億6000万ドルとなり、前年同期比37.53%の増となった。輸出入企業の数も増え続け、今年上半期、互いに貿易を行った企業は844社にのぼる。

ベトナムと海と陸で繋がっている東興市は、川を隔てて国境近くに住む人々の相互貿易や小額貿易が秩序正しく、盛んに行われている。朝八時に税関が開くと、国境近くに住む双方の人々が荷物を肩に担いだり、手で提げたりして、川の対岸へ商売をしに行く。川では、貨物を輸送する船が頻繁に行き交い、あわただしい。東興市国境貿易管理局のデータによれば、近年、この地の国境貿易額は持続的に増え続け、今年1~9月だけで国境貿易成約額は44億元に達した。そのうち輸入は20億4000万元、輸出は23億6000万元で、昨年同期と比べ42%増えた。

広西とASEAN諸国とは経済貿易の面でより広い協力の余地があり、農業や鉱物資源、農産物加工、農業機械、工事請負などの分野で、いずれも相互補完的な巨大な潜在力を秘めていると専門家は分析している。北部湾経済区の建設や発展によって、広西とASEANの協力はより高いレベル、より広い空間へ発展していくのであろう。

 

環境保護に力を入れる北部湾

「緑城」はバイオの基地に

「草は冬になっても枯れず、花は春でなくても常に咲く」――南寧市は昔から「緑城」と称えられてきた。そして今、その「緑城」は、その特徴を生かして環境保護や循環経済などの分野に発展しようとしている。

畑や道路沿いに植えられたキャッサバ

2008年9月、「南寧生物国家ハイテク産業基地」は正式に発足した。10年ほどの時間をかけて、南寧を中国の重要な非食糧型のバイオエネルギー生産基地にするとともに、現代漢方医薬、バイオ工業、バイオ農業などのバイオ産業がともに調和の取れた発展ができる総合的な生物産業基地に造り上げる計画である。

サトウキビとキャッサバ(タピオカの原料)は、広西チワン族自治区の重要な経済作物である。広西のサトウキビの生産量は全国一位を占め、サトウキビを用いた製糖やエチルアルコール製造の技術も広西では日に日に成熟して来た。

ここ近年、広西の科学技術者たちは高い生産量のサトウキビの新種を育成したうえ、アルコール製造の廃液処理という難問を解決した。それは、サトウキビでアルコールを造る過程で排出される廃液を肥料として、サトウキビを栽培することである。この廃液には、サトウキビの生長に必要なさまざまな養分がたくさん含まれているので、畑の地力を増進させ、サトウキビの生産量と糖分含有量がさらに高くなるうえ、日照りに強く、土壌が固くなるのを防ぐことができる。

農村では、あぜ道の傍や山の上の大小さまざまな畑のいたるところ、キャッサバが植えられている。広西のキャッサバの栽培面積は約27万ヘクタールで、生キャッサバの生産量は400万トンに及び、中国の総生産量の68%を占めている。キャッサバの栽培条件や畑の管理はあまり難しくないうえ、収益は低くないので、農民はどんな小さな土地にもキャッサバを植えている。

南寧市発展・改革委員会ハイテク課の潘浩波課長は「キャッサバからデンプンを生産する面では、すでに変性加工された数百種に及ぶ製品を開発しました。これらはポリビニールやカルボキシメチルセルロースなどの、高価でかつ環境を汚染する化学材料に取って代わり、広く製紙や紡績、飼料、化学工業、医薬、建築材料など30以上の業種に使われています。アルコール生産の面では、キャッサバはコストがもっとも低く、生産量がもっとも多いアルコール製造原料です。同じ土地資源を利用した場合、キャッサバはサトウキビより2倍のアルコールを生産できるのです」と言っている。

南寧市は、広西の科学技術の中心として、また環境保護や、循環経済などの面でも、自治区全体にもっとも重要な科学研究と技術を提供している。と同時に、南寧市自体もバイオ産業では、非食糧型燃料アルコール、バイオディーゼル、民用メタンガス、固体のバイオディーゼルなどの製品を開発したが、いずれもブランド品となっている。そして、キャッサバからのアルコールやバイオディーゼル・オイルなどの生産で、はっきりした特色を打ち出している。

2020年までに、南寧のバイオ産業の生産額が南寧市工農業総生産に占める割合は、現在の41.6%から51%前後にまで引き上げる計画という。

発展する漢方薬栽培

南寧市にある「広西薬用植物園」

広西の自然条件は植物の成長に適していて、山の斜面や道端などのいたるところに、貴重な漢方の薬草が生えている。豊かな漢方薬資源があるからこそ、広西は「漢方薬の故郷」と言われているのだ。

広西に住んでいるチワン族、ヤオ族、ミャオ族など11の少数民族は、日常の生産生活の中で漢方薬に関する経験をたくさん積み重ねてきた。独特な亜熱帯気候のため、ここには多種多様な動植物が生存していて、高い気温や十分な雨量が豊富な漢方薬資源を生み出している。例えば、有名な広西産の漢方薬には、ラカンカ、ハッカク、ニッケイ、オオヤモリ、ムラサキナツフジ、ゲニステイン、サンシチなどがある。自治区全体にある漢方薬の総数は4623種類に達し、その中で植物類は4064種、動物類は509種、鉱物類は50種ある。現在中国でよく用いられている400余の漢方薬の原材料の中で、70種以上が広西産であり、その中の十余種類は中国全体の生産量の50~80%以上を占め、とくにラカンカ、ムラサキナツフジ、ゲニステインは90%以上を占めている。

そのほか、広西の海で取れる薬剤資源も合浦真珠やタツノオトシゴ、ウミヘビなど、非常に豊富である。

野生の漢方薬草の資源ばかりでなく、広西には、人工栽培されている漢方薬草もかなりの規模に達している。現在、各種の薬草栽培場は2万8000カ所に及び、規模が比較的大きい生産基地は12カ所、漢方薬草の栽培総面積は52万ムー(1ムーは6.667アール)に達する。

南寧市にある「広西薬用植物園」は、現在、アジア・太平洋地域では規模が最大で、栽培されている薬用植物の品種がもっとも多い専門の薬用植物園である。園内で栽培されているほとんどすべての花草や樹木、蔓植物などは、みな薬用になるものだといい、現在、園内に植え替えられたり、栽培されたりしている薬用植物は3193種で、明の李時珍(1518~1593年)が著した『本草綱目』に収録した1890余種より多い。

この薬用植物園はまた、漢方薬草を栽培している薬草農家を貧困から脱却させ、豊かにする新たな道を探し当てた。例えば、薬用植物園が開発したムラサキナツフジの人工栽培技術は、この広西特産の薬材の生産量と品質を高める活力を回復させた。また植物園は地方政府や製薬企業と協力し、貧困地区で、薬草農家から栽培されたムラサキナツフジを注文して買い集めたり、薬草農家にマニュアル化された栽培技術規定や品種の評定、技術の育成訓練を提供したりして、薬草農家の利益を保障している。

 

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