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アンティーク市場 潘家園をのぞく

 

潘家園の「リピーター」である北京在住の大山秀美子さん
現在、北京の潘家園の骨董品市場の取り引き規模は、東京の骨董市や香港の骨董街ハリウッド・ロード、マンハッタンの美術品街をはるかに上回っている。日本の多くの骨董品はここから輸入されたものだという。そのため、北京を訪れる日本からの観光客の中には、中国の文化を体験し、北京市民の生活様式や風俗習慣を知るために潘家園を訪れ、市場価格より数倍、または数十倍も安い値段で、さまざまな骨董品を手に入れることを目的とする人も少なくない。それもまた、中国旅行の収穫と楽しみの1つである。

長年北京に滞在し、日系企業で働く大山貴之さん(43歳)と妻の秀美子さん(34歳)は、何度も潘家園に足を運んでいる。ここにくると必ず覗くのが、ミャオ(苗)族の露店だ。ミャオ族のアクセサリーがお気に入りの秀美子さんは、ミャオ族独特の文化を体験してみたくて、わざわざ雲南まで行ったこともある。混雑する潘家園で夫とはぐれてしまうこともたびたびあるが、ここを訪れるたびに、驚きと喜び、そして収穫がある。

日本人店主の服部洋さん

潘家園の「丁列49番」の店主の服部洋さん(41歳)は日本人である。この店は2年前、東京都墨田区菊川骨董店の社長の命で中国に派遣され、日本に長年暮らしていた中国人と共同出資でスペースを借りたことに始まる。のちに単独出資となり、現在に至る。東京の社長から毎月、鉄瓶などの骨董がまとめて船便で送られてくる。潘家園で日本の骨董品を売っているところはここだけである。金融危機の影響を受け、あまり儲かっているとは言いがたい情況の中でも、服部さんは楽しんで店を守っている。

潘家園骨董品市場の発展史

北京市内、第3環状線の東南部に位置する潘家園骨董品市場は、週末になると国内外からの観光客が集まり、骨董品の収集、鑑賞のための北京一の人気スポットとして、中国国内でも最大の骨董市となっている。

潘家園骨董品市場は、1992年ごろから自然発生的に形成されていった市場である。やがて古代建築を模した店舗が建てられ、露店と共存する形の経営スタイルに落ち着いた。露店と店舗の数はあわせて3000あまり、総面積は4.3平方キロに及ぶ。そこで働いている人は1万人近くにのぼり、訪れる客は毎日6、7万人に達する。書画、玉、銅器、陶磁器、家具、古本・古雑誌、庶民的な装飾品など、さまざまなものが売られている。

国際文化交流の窓口

伝統的文化の濃厚な色彩、豊かな文化的コンテンツで、中国文化ムードたっぷりの潘家園骨董品市場は、まるで文物博物館のようでもあり、中国と世界との文化交流の窓口でもある。

外国からの貴賓や政府関係者は仕事の合間に、わざわざ潘家園まで足を運び、買い物をする。1998年6月25日、当時の米国のクリントン大統領が中国を訪問した際、ヒラリー夫人(現国務長官)が潘家園で買い物する様子が新聞の紙面を飾った。ヒラリー夫人は興味津津の様子でおよそ2時間半を過ごし、陶磁器、民間骨董品、玉、書画それぞれのエリアを見て回り、十数点の工芸品を購入し、名残惜しげに潘家園を離れた。ここを訪れたことは彼女の心に深い印象として残り、後に自身の回想録『Living History』の中に、潘家園を訪れて買い物したことについて書き記している。

タイのシリントン王女も潘家園の名を慕ってやってきたが、スケジュールが押していたため、ざっと目を通すのが精一杯で、急いで空港に向かわなくてはならなかった。目移りするばかりの数々の逸品に心を惹かれた王女は、何度も促されてようやく、後ろ髪を引かれながら潘家園を後にしたという。

 

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