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アンティーク市場 潘家園をのぞく

 

特徴は模造品

潘家園市場内でアンティーク家具のレプリカを売る店

潘家園骨董品市場の最大の特徴は、日本や米国、ドイツなどの蚤の市と同様、露店市場というところにある。江西省景徳鎮の古今の磁器、河南省南陽市の玉器、河北省大成県の骨董家具、天津の有名書画、チベット自治区のタンカ、北京の古書籍、雲南省の刺繍製品、上海で使われていた外国製の中古レコード・プレイヤー、古いレコード、ヨーロッパの18世紀のアンティーク時計など各地から集められたものが売られている。

潘家園のもう1つの特徴は模造品が多いことである。この市場で目にする多くの骨董品のうち、相当な数が模造品である。模造品は古くから存在した。数が少なく、多くの人々に好まれる珍しいものであれば、模造品の需要はあった。人々の需要を満たすという視点から見れば、模造品にも価値がある。本物そっくりの模造品は、中華民族の伝統的工芸技術のレベルの向上と伝承を示すものでもある。

夜明け前の「鬼市」

潘家園骨董品市場には、もう1つ神秘的なあだ名もある。「鬼市」、いわゆる「泥棒市」である。北京の「鬼市」には、すでに200年以上の歴史がある。ある程度年をとった世代の北京の人なら誰でも知っている。「鬼市」はまた、夜明け前に取り引き活動を行う骨董品市場であったことから「暁市(闇市)」とも呼ばれた。潘家園では現在でもその伝統が受け継がれ、市場が開く前に露店を広げる分には場所代は徴収されないため、収入はすべて自分のものとなる。この時間帯に売りに出されるものはほとんどが店主の家伝のものや近所の人、親戚などから集めたもので、模造品ではなく本物が多い。そのため、人々は夜中から寝る間も惜しんで、運試しにやってくる。

「鬼市」に店を出す人は失業者や農民が主であり、一般の商売人は少ない。それを買いにやって来る人は主に北京市内や周辺の美術商や収集家で、国家博物館の専門家も足を運ぶ。文物鑑賞の知識を持たない人はほとんどいない。「鬼市」における売買は、昼間に比べるといくらかレベルの高いものとなる。

薄暗い光の下、真剣に宝探しをする外国人の姿も見られる。中国の伝統文化の色彩をおびた「鬼市」は、格好の宝探しスポットとなっている。

値段交渉の秘訣

潘家園骨董品市場東エリア

潘家園では、あらゆる商品に正価はない。売る方は「法外にふっかける」ことができるし、買う方も「とことん値切る」ことができる。値段交渉、かけひきはある種の学問であり、潘家園の1つの風景でもある。いわば売る側と買う側の心理と知恵の勝負である。売る側がつける値段は常に実際の価値より2~3倍は高く、半分まで値切られても売る。ここで買い物をする際、値切り交渉は必須である。しかし、いったいどこまで値切ればよいのか。買う方としては、まず自分の中で最低ラインを設定し、その3分の1ほどの値段から交渉を始め、少しずつ引き上げてゆくのがよいだろう。気に入ったものが見つかったら、売る側にそれを見透かされないよう、慌てず、買っても買わなくてもいいという様子を見せなければならない。ある物を買いたかったら、別の物の値段を尋ね、見くびられないよう、玄人を装って声をかける。さらに徹底的にほしい物のあら捜しをして、相手に参ったと思わせてから、あらためて値段交渉を始めよう。

知識を備え、見る目を競う

愛好者を魅了する書画エリアに並ぶ古い絵本

潘家園骨董品市場では、さまざまなレベルで、さまざまな趣味をもつ客が、それぞれ異なる満足感を得ることができる。文物の専門家は、優れた鑑定力を頼りにここで貴重な文物を見つけることもある。

潘家園の魅力は「奇」と「古」にある。「奇」とは、ここに珍しい奇妙な宝物があることを指す。見るからにとても古い青銅器もあれば、景徳鎮の陶磁器もある。唐、宋時代の骨董品もあれば、明、清時代の竹木彫りもある。とにかく、さまざまな品物が並ぶ中、見る目さえあれば、砂礫の中に金を見つけることも、また想像できないほどの安い値段で貴重な宝を手に入れることもできる。

文物の収集には、3つの条件が必要である。時間、お金、そして物を見る目(眼力)である。中でも物を見る目がもっとも大切である。見る目があるということは、専門知識を備えているということにほかならない。その知識を得るには、読書、人との交際、実物に触れること、中でも実物に直接触れるということが何よりも大事である。

潘家園には、収集家たちの辛酸苦楽、数々の感動的な物語が伝わっている。中でもコレクターの世界に広く知られる物語といえば、劉建業さんという収集家が明の万暦年間の『十三経注疏』を手に入れたときのことであろう。1997年、さらに奇跡的な出来事があった。著名なフォトグラファーの李振盛さんが、わずか数百元で1万枚あまりにのぼる名作の写真を手に入れ、北京のコレクターや撮影関係者ら業界の人々をひどく驚かせたのである。

また週末がめぐってくる。潘家園へ出かけてみよう。まだまだ多くの発見、多くの驚きや喜びがあなたを待っているはずだ。(王志=文・写真)

 

人民中国インターネット版 2009年10月

 

 

 

 

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