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飛躍する天津濱海新区の今

 

中国―シンガポール天津エコシティー

天津エコシティー総合サービスセンター内の模型。ここでの経験・ノウハウは中国の他地域にも応用される予定だ

一面のアルカリ土壌がエコシティーに変身

濱海新区中心エリアから北に15㌔、中国初の本格的エコシティーの建設が急ピッチで進んでいる。

エコシティー総合サービスセンターは、エコシティーの最初のパブリック建設プロジェクトだ。スタッフによれば、この建物には雨水回収装置、太陽光発電装置など多くの先進設備があり、建築全体における再生エネルギー利用率は40%に達しているという。しかし、実は3年前まで、ここは一面アルカリ性土壌の荒地だったのだ。

2007年4月、温家宝総理とシンガポールのゴー・チョクトン上級相が、中国北方の水不足地域に、耕作地をつぶさずに、複製や普及が可能で、モデル効果を発揮するエコシティーを建設することを、共同で提起した。

08年9月に建設が正式にスタートしたが、ここでは、「グリーン」が大きなテーマだ。グリーン外出の比率は9割と、絶対多数の住民は公共交通機関、徒歩、自転車で出かけることになる。グリーン建築の比率は100%で、標準住宅では2~3割の省エネを実現させる。同時に、風力エネルギー、太陽エネルギー、地熱エネルギーなど再生可能なクリーン・エネルギーが広範囲に使用される。

スタッフによれば、将来、面積30平方㌔のエコシティーは環境破壊のない、持続的発展が可能な省エネ都市となるという。世界にはまだこの規模での全面グリーン建築の都市はない。

「10年をかけて完成させることを目標にしており、その時にはエリア内35万人すべての人がグリーンな建物に暮らします」

生物製薬連合研究院

 

漢方薬の伝統を生かし最新のバイオ医薬研究

天津は早くから漢方薬研究が進んだ場所で、世界的に知られる天津中医薬大学や有力医薬品メーカーが立地する。こうした地域的特色を背景に、濱海新区には国際バイオ医薬イノベーションパーク建設が進められている。医薬品の研究開発から起業支援、生産・貿易まで総合的バイオ医薬イノベーション産業基地をめざしており、その核となるのが天津国際生物製薬連合研究院だ。

同研究院は天津経済技術開発区東区に建設が進められており、2009年に7万平方㍍が完成している。すでに11の新薬開発プラットホームを持ち、国内外との協力をスタートさせている。

若い研究者が開発に取り組む姿が、院内のあちこちで見られた(天津市濱海新区提供)

ここでは、海外から優秀な人材を招致しているほか、南開大学や天津中医薬大学、天津大学などの大学と連携できる強みも持っている。実際、見学した各所で若い研究者の姿を目にした。院内を案内してくれた王林博士も米国で博士号を取得後、世界的化学メーカーを経てこの研究院の副院長に就任した経歴を持つ。欧米の医薬と漢方薬の双方に通じている彼は、研究環境についてこう話している。

「天津は、欧米の医薬にしろ漢方薬にしろ、医薬開発に可能性を持つ場所と言えるでしょう。特に、漢方薬研究の将来性には大きな自信を持っています。というのも、天津にはその基礎があるからです。私たちはすでに多くの成果を出しています」

同研究院は研究機関ではあるが、基礎研究だけでなく、製品開発・生産も重視している点が他の地域の研究機関との大きな違いだ。

 

人民中国インターネット版 2011年11月

 

 

 

 

 

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