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【ハロー・ジャパン】① 女性だけが日本を救うことができる

 

女性だけが日本を救うことができる、なぜ私はこう言わねばならないのか。それは、男性の主導下で、日本経済は二、三十年間ずっと下り坂をたどり続けてきたからである。最近のニュースをみると、安倍首相の「アベノミクス」も、間もなく弱り目にたたり目の状態になることが予測できる。過去の二、三十年余り、日本はどんな男性が指導者の位置についても、どんな刺激策を出しても、一時的な経済成長をもたらすことはできたとしても、長期的には経済はやはり不振のままであった。

それはどうしてなのか。日本が女性にしっかりと頼っていないことが、その根源にあると私は思う。女性を昇給・昇進させず、その社会的地位を上げないから、日本経済は回復しないのだ。日本経済を持続的に発展させたければ、やはり女性に頼らなければならないと、私はここで読者に訴えたい。

日本女性を昇給・昇進させれば、彼女らは職場に留まるだろう。欧米の国々に比べて日本の職場の女性比率は低めである。あるデータによれば、70%以上の日本女性が子供を産んだ後に職場を離れるという。この数字は米国、ドイツの2倍にも及ぶ。

なぜ日本の女性たちは職場に戻らないのか。それは、多くの日本の企業が子持ちの女性を差別するからで、彼女たちは昇進し続けることができないだけでなく、もとの職場に戻ることすらできない。こうして待遇がますます悪くなる状況では、ほとんどの子持ち女性は、職場復帰を望まなくなるだろう。

こうした女性が職場に戻ることは、いかなる経済的利益をもたらすのか。この利益はとても大きく、ゴールドマン・サックスが発表した「ウーマノミクス 3.0: 待ったなし」という報告では、日本女性の就業率が男性の80%に達した時には、日本の就業者数は820万人増加し、国内総生産(GDP)も15%増加するだろうと指摘されている。この効果は「アベノミクス」では及びもつかないものである。

日本の女性だけがこうなのだろうか。当然それは違う。基本的には各国の女性が目いっぱいに就職して、男性と同じ待遇を受けるようになれば、彼女たちは職場で男性よりさらに重要な作用を発揮するだろう。「過去に、アメリカの女性企業主はアメリカ経済に3万ドル近い貢献をしており、その成長速度は男性が経営する会社の2倍以上でした」とアメリカのヒラリー・クリントン前国務長官は指摘している。

職場で発揮する能力が男性に劣らないだけでなく、読者方がこの現象に気がついているか分からないが、女性は男性より今後の時代発展の需要に適合している。最近、マサチューセッツ工科大学教授のエリック・ブリニョルフソン(ErikBrynjolfsson)氏とアンドリュー・マカフィー(Andrew McAfee)氏は共著『The Second Machine Age(第二の機械時代)』の中で、次のように指摘している。科学技術が急速に発展し、とりわけインターネットがハイスピードで発展するに従って、複雑な技術を必要としない産業・労働者の価値がどんどん低くなり、次第に機械に取って代わられ、最終的には淘汰されてしまうだろう。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授二人だけでなく、多くの経済学者も相次いてこの問題を指摘している。インターネット・科学技術がハイスピードで発展する時代には、たくさんの仕事が機械に取って代わられるだろう。例えば建設業、製造業など男性労働者を主にする産業は次第に縮小するが、医療、金融、通信、教育などの女性労働者が活躍する新興サービス業は、まだ広い需要を持つ。第二の機械時代に遅れをとらないために、日本を含む世界各国では、男性労働者より女性労働者に対する雇用需要のほうが、はるかに高いのである。

だから、日本は経済を持続的に発展させたかったら、女性の職場復帰を奨励し、女性、とりわけ子どものいる女性の昇給・昇進、社会的地位を向上させることが正道となる。中国人がよく言うように、「女性は天の半分を支えている(女人顶半边天)」。日本の女性が立ち上がりさえすれば、天の半分が支えられるというのは疑う余地がなく、そうなれば日本の未来には希望が持てるだろう。また、ここで私が強調したいのは、日本だけではなく、中国を含む世界各国がそうすべきであるということである。

実際には、女性の経済に対する貢献をおろそかにしたり、ひどく軽視したりするのは日本だけではない。アジア全体、特に東アジア地域には男尊女卑という習慣があり、これが経済をさらに発展させるのに足かせとなっている。国連のあるリポートによると、女性が全面的に就業市場に参加していないことによって、アジア太平洋地域は毎年890億ドルほどの経済生産額の潜在的損失を受けている。もし女性が男性と同等に産業に入り、同等の資源を持っていたら、東アジア地域の平均労働生産力は最大で18%増加するだろう。

 

梁海明男、国際金融研究員、香港ベテラン金融・経済評論員、金融・経済ライター、香港中国金融協会メンバー、盤古シンクタンク研究員、中国メデイア発展基金香港事務所主任、著作に『中国経済新政策与我們(中国経済の新政策とわれわれ)』

 

人民中国インターネット版 2014年6月19日

 

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