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中日経済の活性化に好機

姜躍春=文 

姜躍春(Jiang Yuechun)

世界経済・発展研究所所長、中国国際問題研究院研究員、日本問題、世界経済問題の研究に長年従事。駐日中国大使館で2回勤務

ここ数年、中日関係の冷却化に伴って、かつて両国国民に巨大な利益をもたらした経済・貿易関係は深刻な影響を受けている。経済・貿易協力の衰退は、両国の経済発展に計り知れない損失を与えたばかりか、協力を推進、深化させる絶好の好機をみすみす逃してきた。

中日関係は昨年末、四つの原則的な共通認識に達したことによって、好転の希望が生まれ、いかにしてこのきっかけを捉え、中日経済・貿易関係を再構築して、それから両国国民のためにさらに多くの実利を生み出させるか。これは真剣に検討する価値のある問題である。

中日双方に利益生み出す

1970年代に中日国交正常化が実現した後、両国の経済・貿易関係は注目すべき成果を挙げた。1972年、国交正常化時点では、中日間の貿易額は10億㌦だった。2011年には3449億㌦に達し、40年間で340倍に増えた。ところが、2012年、13年は両国関係悪化の影響を受けて、中日双方の貿易額はそれぞれ3・9%、5・1%低下した。

日本は中国が外来投資を受け入れている重要な国の一つであり、2011年末、日本の対中投資項目は累計4万件を突破し、投資実額812億3000万元(当時1元約12円)に達した。投資構造は労働集約型企業から技術資本集約型企業に向かい、投資分野はファッション、食品等の産業から電子、機械、自動車、建材、サービス産業に拡大した。2012年以降の2年間、日本の対中投資は目に見えて低下し、昨年年初から9月までの対中投資は33億9000万㌦、前年同期比43%減、低下幅は予想を上回った。

過去長期間にわたる中日金融協力は主に日本側の政府開発援助(ODA)の関連で展開された。ここ数年、中日両国の金融分野の協力は次第に増加し、中央銀行間に定期対話のシステムを構築し、双方に金融機関の支社、支店を増設した。両国政府は2002年3月、通貨スワップ協定に調印し、アジア太平洋地域の金融分野で高次元の協力関係を確立した。2011年末、日本は中国の国債100億㌦を購入、2012年3月にさらに650億元を購入、2012年6月1日、元と円の直接兌換を実現した。これらは両国関係の発展に重大な現実的な意義を持っている。

貿易往來の深化が不可欠

1978年の改革開放以来、中国経済は高速発展の「ハイウエー」に乗り、1978~2011年の中国の国内総生産(GDP)成長率は年率9%(2000年の可比価格に基づいて計算)を上回った。今世紀に入って、中国経済は高度成長を維持し、GDPのランクで先進経済大国を次々に追い抜き、2007年には世界第3位の経済大国となり、2008年の世界金融危機の際には、先進国に先んじて急速に経済を回復し、2010年にはGDPが米国に次ぐ世界第2位になった。

中国はGDPで日本を追い抜いたことが総合力で日本を追い抜いたことを意味していないことをはっきり認識しなければならない。実際、中国は非常に多くの面で日本とは差がある。まず経済のグローバル時代に1国の経済総量を比較する際の国民総生産(GNP)はGDPよりも正確であり、この他、1人当たりのGDPで論じれば、中日間の差はとりわけ大きい。国際通貨基金(IMF)が昨年4月8日に発表した統計によると、中国大陸部の1人当たりGDPは6747㌦で世界81位であり、日本は3万8491㌦で24位だった。次に、ある国の総合力とは何かというと、科学技術力、単位GDP当たりのエネルギー消費量、科学研究費の比率などの多項目の指標から総合的に分析すべきであり、こうした面から見ると、中国と日本との差は非常に大きい。

同じように、日本も将来の中国市場が日本にとって当然、重要であることをよく見なければならない。貨物貿易全体から言うと、2011年、中国海関(税関)の統計によると、日本からの輸入総額は同年の日本の輸出総額の23・7%で、これは中国が日本にとって、重要な海外市場であることを物語っている。発展の大勢から見て、対中投資の利益は明白である。目下、日本の対中進出企業はちょうど転換期に差し掛かっており、投資活動は次第に簡単な部品製造業から消費財、サービス産業に方向を転じている。中国の消費者が豊かになるにつれ、さらに多くの資金が消費財に振り向けられ、日本も商品、サービスを中国市場で販売したいと希望するだろう。そこで、強じんな中国経済は日本企業に広大な市場シェアを提供でき、日本の持続的な経済発展の一助となろう。ここ数年、中国経済は調整期に入り、労働力コストが上昇しているが、中国経済の中には地域的な発展のアンバランスが存在しており、日本資本を含む外資にはもっと多くのビジネスチャンスをもたらすに違いない。

ウインウインの好機到来

いかなる地域、国家にも経済発展の周期性が存在し、中日両国はそれぞれ異なる周期性の発展段階にある。例えば、1960年代の日本経済は活力に満ちた青年期であり、1980年代末のバブル経済期は壮年期、1990年代初頭には、低迷が続く「老年状態」に入った。一方、中国の1人当たりのGDPは2011年に5000㌦を超え、物価要素を度外視すれば、これはおよそ日本の1970年代初期のレベルに相当する。この点からも、中国経済の拡大の余地、潜在力はまだかなり大きく、経済成長は依然として活力に満ち、力強い青年期にあることが見て取れる。

中国の新たな都市化プロセスの進展は、経済成長に巨大な空間を想像させる。国際的な常識から見て、都市化プロセスは10%以下の準備段階、30%以下の初動段階、70%以下の加速段階とその後の安定段階からなっている。この点から見ると、米国、日本、フランスの都市化レベルは1960年代に70%を超え、世界十大経済体の中ではインドと中国の都市化レベルだけが相対的に低くなっている。世界銀行の予測によると、中国の都市化レベルが70%に達するには少なくてもあと24年必要なようだ。別の言い方をすれば、最短でも2035年まで、中国の都市化は絶えず発展の原動力を提供するということである。都市化の角度から見ただけでも、中国の経済成長は発展的な原動力の源であり続ける。これはいかなる先進国も備えていない潜在力である。

中日経済関係の長足な発展は双方の利益に符合し、両国経済の発展を強力に促進するだけでなく、両国国民がそこから実利を手に入れられるようにさせ、さらにアジア、世界の平和的発展のために有益な貢献をするだろう。

 

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