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「四つの全面」で経済底上げ日本の成長経験とは違う道を模索

 

新ニーズが社会進歩を加速 

 

すでにマイカーやマイホームを持つ人々から、医療、教育、芸術に対する新しいニーズが生まれ、社会の進歩を加速している。中国では自転車から自動車までの進歩に、約20年を要した。国土の奥行きが広く、地域格差が大きい中国では、物質的に豊かな生活から安全で快適な生活を求める社会への変化には、より多くの時間が必要であり、全面的な小康社会の建設も長期的な課題であろう。またそれによって高度経済成長がすぐ全国津々浦々にまで行き渡り、その後は低成長、マイナス成長がやってくるという日本の経験がそのまま中国でも繰り返されることはないだろう。中国の高度成長の期間は日本より長く、同じく中程度の経済成長も長いはずであり、今後十数年間の中度成長は可能であろう。それを全面的な小康社会の建設によって支えていくつもりなのだ。 

日本である日、どこかの市長が車の購入を制限すべきだと思い、15分後にその市では車を自由に購入できなくするということはあるだろうか。 

昨年12月29日午後5時45分、中国では法令などを割合よく守り、改革開放の先進都市である深圳市政府が記者会見を開いた。同日午後6時以降、新車を購入する場合に、ナンバープレートの自動的な入手ができなくなり、ナンバープレート取得のくじ引きに参加しなければならない、と発表した。 

記者会見の前には、交通警察など市政府当局が微博(中国版ツイッター)などの公開チャンネルを通じて、繰り返し「くじ引きによるナンバープレート取得はあり得ない」「ナンバー規制は行わない」という情報を流していたのだ。 

しかも、習近平政権になってから「法による国家統治」が繰り返し強調されている最中であり、民意を聞き、立法段階を経て初めて法令化するというシステムが一般市民のコンセンサスとなりつつある。それにもかかわらず、深圳市がこれほど立ち遅れた手法で車の購入制限をしたことは、中国社会に大きな波紋を巻き起こした。

 

鍵は法治と党の厳格な管理 

 

3月10日、斉奇全人代代表(浙江省高級人民法院院長)は、記者団の質問に答えて、次のように語った。「法による国家統治を全面的に推進するということは、多面的である。俗な言い方をすれば、権力をおりの中に閉じ込めるということだ。このおりは何でできているかと言うと法律であり、制度だ。その中で特に重要なのは、各級政府が権力を持っているが勝手に使うことはできないということだ」。さらに「例えば、現在、一部の地方政府は車のナンバー規制、購入規制を行っているが、往々にして真夜中に一時的な文書で通知している。これは今後、こうした『勝手』ができないように改めなければならない」。「真夜中に一時的な文書で通知する」ことは、当然のことながら深圳市を指している。 

経済発展に向けてひたすら走っている間に、多くの利権が生まれ、役人(そのかなりの部分が共産党員)の腐敗は目に余っている。厳格に党を管理しないと、いままで勝ち取った人民の信頼を失っていくだろう。 全面的な小康社会の建設は、経済発展の一つの目標であり、より重要なのは、中国では法による国家統治というシステムの整備であり、さらに国の行政などを指導している共産党を清廉潔白の政党にしなければならない。その一つ一つ実現するためには、改革の全面深化であろう。 

三十数年前には、小康社会とは何か、決して明確に理解していたわけではない中国国民がそれを手に入れたのである。今後30年を展望すると、物質条件だけでなく、法制度も含めて健全で持続可能な社会を多くの中国人は「四つの全面」というスローガンから読み取り、期待している。

 

人民中国インターネット版2015年3月23日

 

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