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好感に水を差す「嫌中」懸念 日本観光は1000万人時代へ

 

 

香港化する日本の対中世論

一方、日本に長く暮らしている中国人は、観光客のように美しい景色に感動したり、李蒙氏のような幻想を抱いていない。

5月11日の『環球時報』(電子版)は、日本で教壇に立っている趙宏偉氏の以下のようなエッセーを掲載した。原題は「日本観光の美景と幻像」だったが、ポータルサイトでは「メディアの調査によると93%の日本人が中国を嫌う」に変えられていたが、こちらにも数万件の書き込みがあった。

この93%というデータは、昨年、『チャイナ・デリー』と日本の言論NPOの共同調査によって日本側から得たもので、最新のデータではない。趙氏が注目しているのは、以下の諸点だ。

「問題の鍵は、一部の中国の成り金が日本で裕福さを見せびらかし、日本の民衆に大きな不満を感じさせている。そうしたことによって、現在一つのアンバランスな局面が生まれている。それは中国の民衆は日本に対して好感を持っているが、日本の民衆は中国に反感を持っているというコントラスだ。中国のネガティブなイメージがさらに大きく取り扱われ、反中の旗を掲げている安倍首相が民衆の50%以上の支持率を獲得している」

筆者が懸念するのは、日本世論の香港化だ。確かにマスクをつけて、中国観光客を嫌がらせるなど、香港では一時、中国大陸の女性や子どもがいじめられる光景が報じられたが、東京にはない。しかし、8割以上の日本人が中国に好感を持っていないことは事実であり、香港以上に日本では嫌中(大陸)感が強いと思う。日本から中国への観光客がどんどん先細りとなり、今後、観光を通じて中国を理解する人を増やしていくことは難しく、ビジネスマンも北京、上海の汚い空気を嫌い、中国赴任を敬遠し、赴任するにしても妻子は日本に残す傾向が強まるだろう。これでは嫌中ムードを改善するのはほぼ絶望的だ。

日本観光を通じて持った好感と、その時、浴びせかけられた日本人の8~9割に達する嫌中感情の渦―この矛盾をどう解決するか。1000万人の中国人観光客が日本を訪れる時代が視野に入って来た現在、シャープな形で衝突しないようにと祈るばかりだ。

 

人民中国インターネット版 2015年5月18日

 

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