【上海スクランブル】


ライフスタイルの「新・10大要素」は…
         
                    須藤美華

アクセサリー屋さんには手作り用パーツも売っている

 上海の街の景観がくるくる変わる。新しいビル、新しい橋、新しいトンネル…。そんな全力疾走を続ける上海では、若者たちのライフスタイルも大きく変わっているようだ。2、30代に支持されるタブロイド紙『上海壱週』に、若者の生活の「新・十大要素」が紹介されている。

 「新・十大要素」の筆頭は、一人暮らし。両親に干渉されない一人だけの空間を確保できるわけで、新しい友情や異性との親密な関係が築くことができる。異性のルームメートとの同居を選択する人もいる。

個性を表現 DIY、ショップが人気

世界に1つしかないアクセサリーを作る

 DIY(Do It Yourself)は、安上がりなところだけでなく、個性を表現したい人たちに人気。スウェーデン系インテリアショップのIKEAの組み立て家具や、スワロフスキーなどのビーズを使って思い思いのアクセサリーを作るのが流行っている。都会の喧騒は心身を疲れさせるもの。DIYは心の平衡を取り戻すのに最適とか。DIY版の旅は都会を訪ねる団体旅行ではなく、歴史や自然を求めたエジプト、ギリシャ、アフリカなどにも関心が集まっている。

 便利なコンビニエンスストアは、市内に2000店舗を優に超え、すっかり市民権を得た。地下鉄、バス、タクシー、渡し舟など市内の全ての交通機関に使えるICカード「交通カード」も、そのたびに財布からお金を出さなくてもいい便利さが、好評。

 デパートや大きなショッピ   ングモールで洋服を買うなんていうのは過去の話、今は路面の小さなショップで買う。街をぶらぶらしながら、自分好みの店を探すこと自体も楽しい。洋服、アクササリー、インテリアなど個性的なショップばかりを百軒集めた本『上海小店物語』(兪菱著、百家出版社)もベストセラーになった。好きが高じて、副業として自分好みのものだけを集めたショップを開く人もいる。彼女たちがお店を開く目的はお金儲けではなく、「好みのものに囲まれていたいから」。

携帯メールは日常の風景に

コンビニは上海っ子の生活にはなくてはならないもの

 デザイナーは、若者たちの憧れの職業。「俺、デザインの仕事をやっているんだ」。クラブやバーには夜な夜な、自称デザイナーが大量発生するとか。会社や事務所のことも、工作室、スタジオあるいは工房と呼ぶ。そう言えば、デザイナーたちが多く集まる泰康路には「○○工作室」などと掲げたオシャレなオフィスが多い。

 ちょっと前までは口コミでしか得られなかった、遊びの情報。口コミだけに当たり外れもあったが、今は違う。新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどから日々、情報が行き交い、彼らのマニュアルになっている。マニュアル本も花盛りだ。

 デジタルな世界は、上海っ子の間でも人気。1〜5月の上海におけるデジカメの輸入台数は19万4000台で、前年同期と比べて53倍にもふくれあがっている。カメラ付き携帯電話も高額ながら、同様に人気商品だ。

 携帯電話のショートメールでのやりとりも若者たちにとっての日常的な風景。専門家の予測では、今年1年で全国で発信されるショートメールの本数は1億5000万本に達するとも。1人当たり年間1000通を送受信する計算になる。

ベストセラーになった『上海小店物語』

 3年前までのパーティーはただただ大勢が集まってお酒を飲んだり、話をしたりするだけだったが、今のパーティーはクールな音楽とショー的な要素がなければダメ。参加者が全員ペインティング・タトゥをしたり、軍服を着用してみたり。あるいは現代劇やクリエーターの卵たちが制作したアニメ鑑賞など、ファッションやサブカルチャー的な意味あいのあるパーティーも開かれるようになった。

 全国のマイカー所有台数が1000万台を超えた。上海でもマイカーブームを迎えている。購入する日のために運転免許をとるペーパードライバーも増え、大型連休中にはレンタカー会社が大繁盛だ。

 自分のための(お抱えの)ドクター、カラーアドバイザーを持つ人が増えているとか。SARS後の調査では、多くの家庭にホームドクターがいるという結果が出ている。
 ――この十大要素、来年にはどのように変化しているのでしょうか。