ポンフェイ先生の旅アドバイス(最終回)
河南で文化を、貴州で自然を

貴州の水上「石林」で大自然を堪能しよう

  今後、中国で、ますます話題になる観光地、お薦めの観光地について教えてください。

  私は「河南省」と「貴州省」を訪れる観光客が、今後増えてくると予測している。観光資源が豊富なのに、日本人観光客がまだ少ないからだ。「穴場」と言ってよいだろう。これまでに「河南省」「貴州省」はホテル施設やトイレ設備が遅れている、道が悪いというイメージが強かったが、私の現地調査では「よく努力している」と評価したい。鄭州や貴陽では五つ星ホテルもたくさんあり、私の想像をはるかに超えていた。

 今後、「河南省」に行く観光客(特に中国文化の好きな人)が増えてくる。日本ではあまり知られていないが、国宝級のいいものが多く発掘されているのが第一の魅力である。私は河南、山東、陝西の三省を、ひとつの文化ゾーンと見ている。河南省は殷文化、青銅器、甲骨文字、少林寺武術、黄河など観光資源に恵まれ、出土した古い文化財は山東省や陝西省よりも多い。河南省ぬきに中国の歴史を語ることができないほどで、今後も、どんなものが発掘されるか、期待でわくわくする地域である。

 山東省と陝西省を訪れた観光客で中国文化の好きな人が河南省に流れていくのに対して、少数民族や大自然を愛する人は雲南省から貴州省へ流れていくだろう。貴州省の観光施設も想像したよりずいぶんよい。

 また、「ぶらりと香港」に行っていた観光客が「ぶらりと上海」へ、と変わりつつある。家族旅行、社員旅行、女性グループの旅行、修学旅行、経済人の視察などで、上海は2004年も依然として日本人観光客の大きな目玉だ。

  上海では、国際線の利用が虹橋国際空港から浦東国際空港に変わった。空港から市内まで少し時間がかかるが、浦東側のホテル状況はどうだろうか。

  浦東側には四つ星、五つ星級のホテルがたくさん増えてきた。私は調査で、浦東側の五つ星のホテルに一泊ずつ泊まったことがある。国際会議センターのホテル、浦東シャングリラ、グランドハイアット上海は外灘の夜景をみるには最高の地である。ホテル「セントレジス紅塔」のサービスが最もよい。日本人スタッフが部屋までやって来て、宿泊手続きをしてくれる。本当に驚いた。コーヒーなども電話一本で運んでくれる(無料)。浦東地域で日本人スタッフを配置しているホテルが増えている。ただし、浦東国際空港周辺に日本人の宿泊できるホテルはまだできていない。

 旅行の楽しみはガイドさんが優秀かどうかに左右される。日本の旅行社にアドバイスしたいが、現地の旅行社と契約する場合、いいガイドさんを抱えているか否かをよくチェックすることだ。

 私の印象に残っている優秀なガイドさんは多く、桂林の中国国際旅行社の李翔さん(電話・桂林0773―2821096)もそのうちの一人である。日本語が上手なだけでなく、心くばりのできる人で、歌も絵も上手で、旅の雰囲気を盛り上げる名人である。日程予定外のいいところもたくさん案内してくれた。


 彼と友達になり、自宅にまでお邪魔したことがある。畳の部屋も作っており、日本人の心をよく理解している優秀なガイドである。

 ※来年から「ポンフェイ先生の中国語アドバイス」(仮題)がスタートします。お楽しみに。


 彭飛(ポンフェイ) 中国上海生まれ。上海復旦大学卒業。1993年、大阪市立大学文学部で文学博士号を取得。現在、京都外国語大学助教授。旅関係の本に『中国旅行ハンドブック』(DHC)、『海南島をゆく』(PHP)、ほかに『大阪ことばと外国人 例文中国語・英語訳つき』(中央公論新社)など、著書多数。