「水墨画を描く」@  講師 沈和年先生
寒中に咲く花――梅
 
沈先生の今月のことば 「梅について」

 四君子の仲間として、梅が厳しい寒さに耐えながら芳香を放って咲く性質から、人々は好んでこの花を詩や文学、また絵の題材にしてきました。昔と変わらず、早春に梅林を訪れ、花見を楽しむ人も少なくありません。
 
 この花が日本に入ってきたのは、万葉の時代だそうです。松や竹の常緑の植物とともに、「松竹梅」として日本では祝儀の場を飾ります。中国では、「松竹梅」を「歳寒の三友」と呼んで尊び、水墨画の伝統題材の一つにもなっています。
 
 梅は中国の国花でもあります。

  水墨画を描くことを通して、東洋独自の美を味わう人が増えつつあります。  本誌では、読者のご要望にお応えし、水墨画促進会の協力で今月号から新コーナー「水墨画を描く」を開設しました。国際水墨芸術の伝統精神と技法を学び、自分なりの表現を身に付け、日ごろの楽しみとしていただくことが本企画のねらいです。  シリーズ第一弾では、日本で活躍されている上海出身の画家・沈和年先生を講師に迎え、六回にわたり、身近な草花や食べ物をモチーフに、わかりやすく講義をしていただきます。

 第一回目のテーマは、中国の国花・梅です。


       
  1. 大筆に水を含ませ、墨を少しつけ皿で混ぜ、淡墨を作る。余分な水気をふきんで取り、矢印のように手早く描く。そして濃墨を付け、花の位置をあけて、がっちりしたかれ気味な線で手前の枝を描く。

  2. 中筆に水を含ませ、朱色を少々薄め、穗先に洋紅を付けて混ぜ、花の向きを意識しながら手前の濃い花から描く。   3. 茎を目立つように濃墨で描き、蕊を加える。大筆を洗い、再び淡墨を作り、穗先に水を少々付け、筆の腹を使って余白を残すように幹を手早く描く。  

  プロフィール
上海大学美術学院卒。唐雲氏に師事。1990年留学のために来日。洋画家・荻太郎氏に学ぶ。中国水墨画の伝統の上に、現代的で斬新な感覚を盛り込んだ画風は画壇で注目されている。現在、上海市美術家協会会員、日本翠風会代表、国際水墨芸術促進会運営委員。日本全国向けの水墨画添削指導に当たっている。作品集に『沈和年画集』(上海書画出版社)、『沈和年作品集1、2』、『墨絵をたのしむ』(全3冊)、『ステキなはがき絵』(全3冊)(二玄社)がある。