李涛さんは2001年秋、北京の大学に入学した。両親の「保護」と「監視」の目から離れた彼は、まるでカゴから飛び立ったばかりの小鳥のように、興奮と緊張を覚えながら、新しい独立した生活を開始した。

 北京に来たばかりの頃には、天安門の朝の国旗掲揚式を初めて見る前の晩、興奮して一晩中眠れなかったり、万里の長城に登った翌日、疲れから寝坊して授業に遅刻したり、両親に北京ダックを食べてもらおうと老舗の全聚徳まで買いに走ったりと、いろいろな出来事があった。

 明るく行動力のある李涛さんは、同級生や友人たちの人気者で、どんな小さな集まりにも必ず声が掛かる。

 彼は実社会で経験を積むため、マクドナルドでの3カ月のアルバイトも体験した。期間は短かったが、学校では学べない多くの収穫があったと感じていて、「努力しなければ始まらない。このことが、一番勉強になった」という。

 リラックスしたい時には、音楽やコンピューターゲーム、読書を楽しむ。一番好きな歌は、個性的な歌である。


  【AM7:40】 
 起床。ルームメートも一緒に起きる。20分程度で、着替え、洗顔などを済ませ、それぞれ登校。
 
  【AM8:20】 
 路上、煎餅(クレープ状の食べ物)と豆乳を買って朝食に。部屋から学校までは自転車で10〜15分程度。
 
  【AM8:40】 
 「JAVA言語」の授業。一コマは45分で、午前中は4コマ。授業は、パソコンで編集したソフトで進められることが多く、ノートをとることは少ない。
 
  【PM12:00】 
 午前の授業終了。教室から最も近い第三食堂で昼食。大学統一の食堂用プリペイドカードを利用。北方(山東省)生まれの李さんは小麦粉を使った食べ物を好むため、主食はマントウが多く、そのほか、肉料理一品、野菜料理一品を注文する。約5元。
 
  【PM2:35〜PM4:30】 
 自習室まで自転車で移動。二時間半、自習。期末試験が迫っているため、睡魔に襲われても、机で伏せて少しだけ仮眠して、復習と試験勉強を続ける。
 
  【PM5:30】 
 買ってきた手羽、タマゴ、トマト、チンゲン菜、インゲン豆などを材料に料理。主食は烙餅(小麦粉で作った焼きパン)。今日の料理担当は、李涛さんと李鵬さん。街の食堂で質素な夕食にすることも多い。
 
  【PM6:30〜PM7:30】 
 3人そろって食事。今日の片付けは張さんの役目。食事が終わると復習や宿題をする。
 
  【PM10:30】 
 勉強を終えてから、テレビを見たり、ネットで繋いだパソコンで、対戦型シューティングゲームを楽しむ。李涛さんのテクニックは高く、小銃での狙撃が得意。12時ごろ就寝。
 
  かばんの中身を
ちょっと拝見!

リュックサック(80元)。手提げタイプのバッグより、リュックサックを好む大学生が多い。
水筒(8元)。北京は大陸性の乾燥した気候のため、水筒を持ち歩き、定期的に水分を補給する。中身はお茶や湯冷まし。ミネラルウォーターを買うお金は節約。
カジュアルタイプの財布。
キーホルダー。部屋、机の引き出し、学校のロッカー、自転車などのカギのほかに、個性的な小物が見える。
ノキアの携帯電話。北京では、携帯を持たない大学生は少なくなった。
ポータブルCDプレーヤー(1000元)。大学生には安い商品ではないが、音楽を聴いてリラックスしたり、外国語の勉強に役立てるため、欠かせないツールになっている。
大学の教材。市販もされている。
ネット式のペンケース。
 

[プロフィール]
 1981年、山東省日照市生まれ。北京理工大学成人教育学院で、コンピューター応用技術を専攻する大学三年生。一人っ子。クラスメートの李鵬さん(21歳、山東省出身)、李鵬さんの高校時代の同級生・張宏超さん(首都経済貿易大学成人教育学院の学生)と3人で、大学の近くに1カ月1350元の部屋をシェアしている。