「水墨画を描く」」E    講師 沈和年先生
豊穣のシンボル――ブドウ

 
 
 

沈先生の今月のことば 「ブドウについて」

 ブドウは世界で最も生産量の多い果物と言われています。豊穣のシンボルとして知られ、数々の伝説に登場することでもおなじみです。

 また、飢えや渇きをいやす食べ物としてだけでなく、美酒に生まれ変わって人々に幸福をもたらします。周知のとおり、装飾の文様としても好まれ、人々の生活と深い関わりを持っています。


完成 全体を見て、薄めの色で葉を加え、バランスを整える。濃墨を付けた小筆で葉脈とブドウのヘソを加える。

 
 

「ブドウ」を描くポイント
  余白をうまく活かし、葉と葉、実と実、また枝と葉、茎と実の関係を説明的にならないよう、秩序よく描くことがポイント。

 

       
  @大筆に水を含ませ、墨を付けて皿で混ぜ、中墨を作る。それに膠を少し加え、筆でよく混ぜてから穂先に濃墨を付け、腹まで使って矢印のように描く。
  A穂先に水を少し付け、墨を薄め、後ろの葉を描く。小筆に濃墨を付け、かれ気味な線で枝と蔓を加える。   B中筆に水を含ませ、臙脂(紅色の顔料)を薄め、藍色を加えて混ぜ、穂先に墨を少し付け、手前に濃めのブドウから描く。そして、穂先に水を少し付け、後ろのブドウを加える。  

 


  プロフィール
 上海大学美術学院卒。唐雲氏に師事。1990年留学のために来日。洋画家・荻太郎氏に学ぶ。中国水墨画の伝統の上に、現代的で斬新な感覚を盛り込んだ画風は画壇で注目されている。現在、上海市美術家協会会員、日本翠風会代表、国際水墨芸術促進会運営委員。日本全国向けの水墨画添削指導に当たっている。作品集に『沈和年画集』(上海書画出版社)、『沈和年作品集1、2』、『墨絵をたのしむ』(全3冊)、『ステキなはがき絵』(全3冊)(二玄社)がある。