Sketch of BEIJING

   


香包(シャンパオ)

写真・文  佐渡多真子

 初夏の夕方、安サユ省から来た少年が、香包といわれる、わら細工の小さなお飾りを売りに来た。竿に何百もの香包を結びつけ、サワサワと音を立てて運ぶ姿は、ひと時、気持ちを涼しくしてくれる。

 香包には、十三種類の形があり、それぞれに縁起のよい、吉祥、平安などの願いを込めて作ってあるそう。

 開店前の休憩をしていたウェイトレスたちが集まってきて、みんな楽しそうに選んでいた。私も、いくつか買って、その日に会う予定になっていた友人たちに、少々幸福をおすそ分けしようと考えた。

 友人に見せて、「どれがほしい?」とたずねると、全員が、愛情をあらわす「二心合一」を迷わず選んだ。

  note
 香包に込められた願いは、「吉祥梅花」「歩歩高昇」「団団圓圓」「合家歓楽」「花好月圓」「一帆風順」「吉祥如意」「事事順心」「心想事成」「福星高照」「招財進宝」「四季平安」「二心合一」。

 
  profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
 1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。