【相撲公演ミニ情報】

★ 土俵の土は北京・上海とも現地調達となります。北京では昨年以来、近郊の5カ所の土が試された結果、北東郊外・首都空港のそばにある「楼梓荘」の畑の土が使われることになりました。きめが細かく、粘土質の強い土で「これなら日本で使っている『荒木田の土』(千葉県などで産出)にも匹敵する」と、視察に訪れた親方たちを大いに満足させたそうです。ちなみに、土俵に使われる土は約10トン。ふるいにかけて小石などを取り除くため、実際には100トン以上も準備されます。

★ 土俵作りは日本側のプロデュースのもと、中国の作業員約50人が3日がかりで行います。日本から船で運んだ2.5トンの屋形(吊り屋根)を組み立てて、天井から吊り下げてから、本場所と同じ大きさの土俵を作ります(高さ約60センチ、一辺6.7メートルの正方形に土をつき固めて土台とする。土台中央の土俵の直径は4.55メートル)。

中国公演に先立ち、北京市内のホテルで行われた記者発表

 作業のなかでも難しいのが、土俵の硬さ。規定では「四股を踏んでも足跡がつかない堅さ」となっています。「土俵がやわらかいと、足の指がめり込むなどしてケガをしやすいからですが、中国側にはそうした理由を一つひとつ説明し、理解してもらいました」と日本側の関係者。

 北京で作業を担当した施工会社の責任者・王強さん(34歳)は「なにしろ初めての経験ですからね。土俵一つにしても試作と失敗を繰り返しましたが、ようやく適度な硬さがつかめましたよ。本番は任せてください!」と自信タップリ語っていました。土俵の外でも、両国の相互理解と交流が深められていたようです。

【基本データ】

記者発表では、迫力あふれる取り組みがひろうされた。左から、仲の国、時津海、行司をはさんで玉乃島、玉飛鳥の各力士

★ 大相撲中国公演は、6月5〜6日に北京の首都体育館で、9〜10日に上海の上海体育館でそれぞれ行われる。今年の中日定期航空路線開設30周年を記念するもの。主催・中華全国体育総会、(財)日本相撲協会、共催・中国日本友好協会、(社)日本中国友好協会、運営・中国武術協会。

★ 31年前には「はだかの競技である」として、風紀上の問題から会場に入れなかった女性の観客だが、今回は「大歓迎!」(中国側関係者)とのこと。北京は2日で約3万人、上海は約2万人の観客が見込まれており、中日両国のテレビ局がそれぞれ中継を予定している。

★ 日本からは約120人の大相撲関係者が中国を訪れる(うち力士は約40人)。北京では、天安門や王府井を訪れるなどして、市民たちとの交流をはかる予定。

★ 中国公演に先立ち、北京市内のホテルで記者会見が行われた。王鈞・体育総会副主席は、「日本の相撲は悠久の歴史をほこり、世界的にもよく知られている。31年前には周恩来総理も見にこられ、大きな成功を収めた。このたびの公演の成功と、中日両国の文化・スポーツ交流が、さらに意義あるものとなるよう願っている」とあいさつ。
 
相撲代表団の団長を務める北の湖・日本相撲協会理事長は、「相撲を通じて両国の相互理解と交流を深め、親善大使の使命を大いに果たしたい。気迫あふれる真の相撲をご披露します」と抱負を語った。陳永昌・中日友好協会副会長、野中広務・日中友好協会名誉顧問らもあいさつし、固い握手でその成功を誓いあった。

 このあと、代表団で訪れた幕内の玉乃島、時津海、幕下の玉飛鳥、三段目の仲の国の各力士が迫力あふれる模範取り組みを披露し、会場からの拍手喝采を受けていた。