Sketch of BEIJING

 
 


一人っ子
写真・文  佐渡多真子

 兄と弟と3人兄弟の私は、子供のころからずっと一人っ子に憧れていた。もし、兄弟がいなければ、おやつも、おもちゃも、テレビのチャンネルも、全部自分のものになるし、何よりも、大好きな父母の愛情を独り占めにできるのに……と考えていた。

 中国での二十数年にわたる一人っ子政策は人口抑制に大きな成果を上げ、その間の出生数は約3億人抑えられたと聞く。

 そのため、都市部では、ほとんどが一人っ子で、彼らは、私が子供のころに理想としていたとおり、親の愛情から、祖父母の愛情まで、なんでも独り占めにして育っているようだ。

 きれいな乳母車に乗せられたこの赤ちゃんたちを少々うらやましく眺めながら、もし、私が一人っ子だったら、どんな大人に育っていたのかな、と、赤ちゃんたちの成長と重ねて、小さな想像をめぐらせた。(写真・文 佐渡多真子)

  note
中国は1970年代後半から一人っ子を奨励し、21世紀半ばまでの人口を16億人程度に抑制する目標を掲げている。

 
  profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
 1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。