中日関係に関する中国政府の基本的な立場

 2006年4月19日、中国国務院新聞弁公室の王国慶副主任は、現在の中日関係で注目されている問題と中国政府の中日関係に関する基本的立場について、中国と日本の記者の質問に答えた。本誌はここに、王国慶副主任の回答を全文掲載する。

 ――中日関係および中日友好関係を発展させる重要性についてどう見るか。

質問に答える王国慶副主任(写真・国務院新聞弁提供)

  中日両国は海を隔てて向かいあう近隣であり、2000年以上にわたる友好往来の中で、両国人民は互いに学び合い、ともに進歩し、多くの感動的な歴史的物語をいまに残している。近代になってから、 日本軍国主義は侵略戦争を起こして、中国人民に大きな災難をこうむらせ、日本国民にも大きな損害をもたらした。この痛ましい歴史的教訓は、永遠に心にとどめておかなければならない。

 新中国成立後、中日両国の先輩の指導者や政治家、各界の有識者たちのたゆまぬ努力の下で、中日双方は幾重もの困難を克服して、1972年に国交正常化を実現し、中日関係史上に新たな一ページを開いた。三十数年来、中日の善隣友好協力関係は全面的に発展し、各分野の協力はたえず拡大し、かつてない成果をあげた。事実が立証しているように、中国と日本は、和すればともに利あり、闘えばともに損なう。中日の善隣友好協力関係を発展させることは、両国人民の根本的利益に合致し、アジアと世界の平和と安定、発展にも重要な貢献をなしている。

 中日善隣友好協力関係の発展も、いくらかの消極的要素の影響と妨害を受けている。近年来、中日関係に困難な局面が現れ、両国人民はそれを心配し、国際社会はそれに関心を寄せている。これはわれわれが目にしたくないことである。中日関係が困難に直面しているにもかかわらず、われわれは依然として中日友好という基本的方針を堅持する。肝心なことは、日本側が歴史の問題でとっている誤った態度とやり方を放棄しなければならないということである。これは中日関係が正常な発展の軌道に回帰する必要条件である。

   当面、中日関係の発展は新しいチャレンジに直面してもいるし、新しいチャンスにも直面している。中国政府は一貫して中日関係を重視し、中日関係は現在の世界における重要な二国間関係の一つであると考えている。それとともに、両国関係を改善し、発展させるためにたゆまぬ努力を払ってきた。新しい世紀における新しい情勢の下で、中日両国は、アジアと世界に影響力をもつ国として、ともに世界平和を擁護し、共同発展を促進するという重要な責任を担っている。

 ――中日両国関係が困難に直面している問題の主な原因は何か。

  当面、中日関係は困難な局面に直面している。率直に言って、責任は中国側にはなく、日本国民にもなく、問題の原因は日本の個別の指導者があくまでA級戦犯を祀っている靖国神社を参拝して、中国人民を含む被害国人民の感情を傷つけ、中日関係の政治的基礎を損なったことにある。

 中国政府は一貫して中日関係を重視し、中日関係が現在の世界の重要な二国間関係の一つであると考えるとともに、両国関係を改善し、発展させるためにたゆまぬ努力を払っている。胡錦涛主席は、歴史、人民、将来に対し高度に責任を負う態度で、中日関係の中に現れた問題を善処しなければならないと何回も強調してきた。

 先月、胡錦涛主席は日中友好七団体の責任者と会見した際、次のように指摘した。歴史に対し責任を負うとは、歴史的事実を尊重し、歴史的教訓を汲み取り、歴史的悲劇の再演を防ぐことであり、人民に対し責任を負うとは、終始両国人民の友情を増進し、両国人民のために確かな利益をはかることを中日関係発展の出発点と立脚点にすることであり、未来に対し責任を負うとは、平和共存し、代々友好を堅持し、共同で両国の善隣友好と互恵協力のすばらしい未来を切り拓くことである。胡錦涛主席はかつて、日本の指導者がA級戦犯を祀っている靖国神社にこれ以上参拝しないことを明確に決断しさえすれば、中国の指導者は中日関係の改善と発展について、日本の指導者と会見し、対話したいと表明したことがある。

 ――中国政府の中日関係を発展させる基本的政策と主張は何か。

  中国政府の対日関係における立場は明確で、一貫したもので、確固として揺るぎないものである。2005年4月、胡錦涛主席がジャカルタで小泉首相と会談した際に提起した五点の重要な主張は、中日友好関係を発展させる政策と主張を全面的に述べたものである。

 その第一は、『中日共同声明』『中日平和友好条約』『中日共同宣言』の三つの政治的文書を厳格に遵守し、実際行動で21世紀の中日友好協力関係の発展に力を入れなければならない、ということである。

 第二は、歴史を鑑とし、未来に目を向けることを確実に堅持しなければならない、ということだ。日本軍国主義の起こした侵略戦争は、中国人民に大きな災難をもたらし、日本国民にも大きな損害を与えた。歴史を正しく認識し、対処することは、あの侵略戦争に対し表明した反省を行動に変え、中国とアジアの関係諸国人民の感情を傷つけることを絶対に繰り返さないことである。日本側が厳粛かつ慎重な態度で歴史の問題をきちんと処理することを希望する。

 第三は、台湾問題を正しく処理しなければならないという点だ。台湾問題は中国の核心的国益にかかわるものであり、13億の中国人民の民族感情にかかわる問題である。日本政府は、一つの中国の政策を堅持し、「台湾独立」を支持しないと何度も表明している。日本側がこうした約束を実際行動で体現するよう希望する。

 第四は、あくまで対話を通じて平等に協議し、中日間の食い違いを善処し、意見の違いを解決する方法を積極的に模索し、中日友好の大局が新たな妨害と衝撃を受けないようにしなければならないということである。

 第五は、幅広い分野での双方の交流と協力をいちだんと強化し、民間友好往来をさらに強化して、相互理解を増進し、共通の利益を拡大し、中日関係を健全に、安定して、前向きに発展させなければならないということである。

 ――中国が、日本の指導者の靖国神社参拝という一つの問題だけで、中日指導者の会談を拒否するのは間違っていると見る人がいる。これをどう論評するか。

  周知のように、靖国神社にはA級戦犯が祀られており、日本の指導者が靖国神社に参拝するのは歴史に対する認識と態度の問題である。歴史の問題と靖国神社参拝問題に関しては、われわれは二つの「区別」の方針を堅持する。つまり、日本のごく少数の軍国主義分子、A級戦犯と、戦場に駆りたてられた普通の兵士を区別し、日本の普通の民衆が靖国神社へ行って死んだ親族を哀悼することと、日本の指導者がA級戦犯を祀っている靖国神社に参拝することを区別することである。

 胡錦涛主席は日中友好七団体の責任者と会見した際、日本民衆の靖国神社参拝は一種の気持ちを表すためであると信じていると、はっきり指摘した。しかし、日本の指導者が靖国神社に参拝するその行動は、日本政府のある種の政策を代表している。疑いなく、日本の指導者にも彼なりの感情があるが、あの戦争の中で殺された何千何万もの罪なき犠牲者や彼らの親族、被害国人民の感情も尊重されなければならない。一国の指導者として、感情ばかりを論ずるのではなく、それにもまして責任を論じなければならない。

 ――中日関係発展に対する中日両国の民間友好往来の重要性をどう見るか。

  中日関係のすばらしい未来を切り拓くには、両国人民の広範な支持と積極的参与が切り離せないし、両国の友好団体の長期にわたる並々ならぬ努力と切り離すこともできない。中日民間の友好往来は、従来からずっと中日友好事業の発展を推し進める中核的な力であり、両国民間交流の重要な架け橋である。

 3月31日、胡錦涛主席は日中友好七団体の責任者と会見した際、日中友好七団体が中日国交正常化を実現し、中日善隣友好関係を発展させるために多くの有意義な活動を行い、際立った貢献をしたことを高く評価し、当面、中日関係が困難にぶつかっている状況の下で、あなた方が手を携えて中国を訪問し、中国の関係友好団体の責任者と会見して交流することは、中日両国人民が中日関係を改善し、発展させたいという心からの期待を体現している、と指摘した。胡錦涛主席は、このような訪問は両国人民の相互理解と友情を増進し、中日関係を改善し、発展させるために積極的な役割を果たすと信じている。

 両国の民間友好団体が前人の事業を受け継ぎ、未来への道を開き、豊富多彩な交流活動を通じて友好の種子を広く撒き、両国人民とくに青少年の相互理解と友情を増進し、中日友好の社会的基礎を固め、長期にわたって安定した中日善隣友好協力関係を発展させるために新たな貢献をすると、われわれは信じている。中日友好事業の前途は明るく、中日友好は止めることのできない歴史の潮流である。

 ――中国の発展は日本に対する脅威であると日本のメディアが報じているが、これをどう論評するか。

  この問題に関しては、胡錦涛主席が先月末、日中友好七団体の責任者と会見した際に語った言葉を引用したい。つまり、中日両国はともに重要な発展期にある。改革・開放以来、中国の経済は急速に発展しており、総合的国力はある程度増強し、人民の生活水準は著しく改善した。しかし、中国は依然として発展途上国であり、昨年の一人当たり国内総生産(GDP)は1700ドルしかなく、日本の20分の1にも達していない。

 都市と農村の、地区と地区の、経済と社会の、協調的発展を実現し、資源節約型の、環境に優しい社会を建設し、調和のとれた社会を建設するなどの面で、いずれもきわめて困難な任務に直面している。中国が基本的に現代化を実現するには、なおも数十年の並々ならぬ努力を払わなければならない。

 中国は確固として揺るぎなく平和的発展の道を歩み、平和な国際環境を勝ち取って自国を発展させると同時に、自国の発展を通じて世界平和を促進すると、われわれは何回も重ねて表明してきた。われわれは日本を含む世界各国とともに、平和が長く続き、共に繁栄するような調和がとれた世界を建設することを願っている。中国は独立自主の全方位の平和外交政策を実行し、いかなる国をも脅し、挑戦する考えはなく、世界各国を平等に待遇し、友好的に付き合い、共に発展することを希望している。

 中国が実行しているのは防御的国防政策であり、中国の国防建設は防御能力を増強して、国家主権と領土保全を守るためにすぎない。中国は、過去も、現在も、将来も覇権を求めない。中国の発展は脅威だという言い方は、まったく事実の根拠がなく、完全に成り立たないものである。


 
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