横浜で日中友好フォーラム開催
                                于文=文  王浩=写真

フォーラムで祝辞を述べる蔡名照・中国国務院新聞弁公室副主任

   日本と中国との友好や経済交流について話し合うフォーラムが、10月27日、神奈川県横浜市で開催された。日中関係はここ数年、困難な状況に陥っていたが、新たに選出された安倍晋三首相が最初の訪問国として中国を訪問し、胡錦涛国家主席と会談、「政治的障害を克服し、両国の友好協力関係の健全な発展を促す」ことで一致したことにより、改善に向け新たな一ページが開かれた。こうした新たな状況下で開かれたフォーラムでは、日中友好の促進や経済関係のいっそうの拡大に向け、何をなすべきかについて、中国の王毅駐日大使や神奈川県の松沢成文知事らが見解を述べ、注目を集めた。

講演する王毅・駐日中国大使

 「日中友好・神奈川経済と今後の日中交流」をテーマにしたこのフォーラムを主催したのは、神奈川政経懇話会、神奈川新聞アド・コムと人民中国雑誌社。神奈川県横浜メディア・ビジネスセンター8階の大会議室は、170余人の関係者で埋まった。

 神奈川政経懇話会の勝治信理事長の開会挨拶に続いて、この日のために北京からやってきた中国国務院新聞弁公室の蔡名照副主任が祝辞を述べ、王毅大使と松沢知事、それに弊社の于明新社長がそれぞれ講演した。

松沢成文・神奈川県知事も講演した

 蔡副主任は、孔子の「徳は孤ならず、必ず隣あり」を引用し、「中国は改革・開放政策を実行して以来、平和的発展の道をしっかりと歩み、『善意で隣国に対し、隣国を仲間とみなす』という周辺外交方針を実行し、平和が永続し、共同で繁栄するという、調和の取れた世界を構築するよう力を注いできた」と述べたうえで、「中日関係の発展は、両国人民に大きな利益をもたらし、アジア・太平洋地域や世界の平和と安定、発展にも重要な貢献をしてきた。私たちは、この生易しいことでは達成できない素晴らしい局面を大切にし、手を携えて子孫のために、さらに美しい未来を切り拓く責任がある」と主張した。

講演する弊社の于明新社長

 続いて王毅大使が、10月8日に行われた安倍首相の訪中について「双方の努力で政治的障害を克服することと両国の友好協力関係の健全な発展を促すことで一致した歴史的訪問だった」と高く評価した。そして「国民同士の感情改善と信頼し合った盤石な中日関係を作ることは、これからの大きな課題だ」とし、遼寧省と神奈川県、上海市と横浜市が友好都市の関係で結ばれていることにも触れながら、観光などを通じた人的交流の促進が友好関係を一層確かなものにする、との考えを示した。

神奈川新聞の稲村龍二社長(右)と歓談する蔡名照副主任(左から2人目

 さらに、王毅大使はこれから調和の取れた世界をめざすために、まず調和の取れたアジアを作っていくことを説明し、そのために、中日関係が調和を取らなければならない。調和の取れた中日関係には、中国と日本はともに平和発展の道を歩み、社会体制の違いをのりこえて平和共存し、互いに相互理解を深め、互恵協力を強化していくことが重要だと指摘した。

  また、司会者が2008年の北京オリンピックに関して進捗状況を尋ねたのに対し、王毅大使は「オリンピックを迎えるため、北京はいま、大規模な建設が続いており、北京の環境も一定の影響は受けている。しかし、現在、中国は、国を挙げて北京を建設するとともに都市環境を改善するよう努力している。2008年には美しい北京を皆様にお見せすることができる」と自信を示した。

神奈川日中友好協会の田中誉士夫常任理事(右)と握手する蔡名照副主任

 続いて松沢知事が講演し、「神奈川県は今、東アジア全体の発展を目指し、地方自治体としてできることに尽力している。1983年に中国・遼寧省と、90年に韓国・京畿道と友好提携を締結し、経済から観光まで三地域での交流が進んでいる。2009年に羽田空港が再拡張され、北京やソウル、上海は日帰りできるようになる。羽田空港の対岸地『神奈川口』は21世紀の『空港門前町』となる。その構想実現のために努力していきたい」と述べた。

神奈川新聞アド・コムの鴇田要一社長(左)と握手する蔡名照副主任

 弊社の于明新社長は「航空路線の拡大などで、中日間の『時間的距離』は大いに縮まっているものの、歴史問題に対する認識は両国で大きく異なっているようだ。残念ながら『心理的距離』はまだ離れているというのが、今の中日関係の一側面と言えよう」と述べた。そして、中日関係の改善と発展は「経済的距離」が鍵を握っているとして、「今後、中国経済の主流となる中国企業の対日展開を、日本がどう受け止めるかが、中日経済の重要なポイントとなるだろう」と指摘した。

 また、フォーラム後の立食パーティーで于社長は「『人民中国』誌は中国唯一の日本語の総合月刊誌で、両国の人民の間に友好の架け橋の役割を果たしてきた。これまでの発展は、多くの日本の読者の信頼と支持と切り離すことはできない。弊誌は中日友好事業を推し進めるために、新たなページを開く」と抱負を述べた。


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