編 集 後 記  
 
 
 
 

 

  ▽三峡ダムの建設が絶え間なく進んでいます。この空前の事業がもたらす影響は、いかなる意味でも大きなものです。昨年9月に岩手県一関市の日中友好協会の方々と交流したとき、ある方が三峡ダムへの関心と賈樟柯監督の新作『三峡好人』がベネチア映画祭で受賞したことに対する感想を話してくれました。今月号の特集とほかの関連記事が、みなさまの期待にそえるものだったら幸いです。

 ▽失われてしまった三峡の風景にこの上ない郷愁を抱いている読者も多いことでしょう。私たちも同じです。そして同時に、新しい三峡の景観に期待を抱いています。こういった郷愁の思いと期待を込めて、特集を企画しました。現場で見た情況は想像とは大きく異なっていましたが、記者たちは材料集めに尽力し、この特集を完成させました。

 ▽かつての三峡景観の一部が水底に沈んでしまった一方で、賈樟柯監督は「水底」から「水面」に浮かび上がってきました。『三峡好人』は彼がアングラ状態にピリオドを打ってからの二作目です。三峡ダムの現場を深く掘りさげ、一般の人々が移住する中で起きた日常の出来事をレンズでとらえています。彼らの喜怒哀楽を描写することで、三峡地域の情況を如実に映し出しているのです。

 中国映画の大作が概してハデさを追求するようになった今日、『三峡好人』のリアリズム的手法は実に称賛すべきものです。本誌の報道もより社会生活や現代中国の現実に密着させていきたいものです。  (編集長 王衆一)

   
 
 
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