インターネットの現状と展望
                                           沈暁寧=文

インターネットの仕事を視察する国務院新聞弁公室の蔡名照・副主任(右から2人目、チャイナネット提供)
 中国にインターネットの技術が導入されたのは1994年のこと。それから14年たった今、ネット接続が可能なパソコンは、当時の29万9000台から5400万台以上に増加した。ネット人口も60万から1億3000万人に激増。中国のネット事業は盛んに発展している。

活気あるネットビジネス

 北京のあるカップルが、結婚式で自分たちの生まれた日付の『人民日報』をお祝いに受け取った。中国最大のオンラインショッピングサイト「淘宝ネット」(www.taobao.com)で新郎の友人が購入したのだ。赤いリボンがかけられた黄ばんだ新聞を手にした新郎は、驚き感動した。

 2003年創設の「淘宝ネット」は、パソコンの部品から衣料品、書籍、各種チケット、化粧品、装飾品、収蔵品にいたるまで、合法的な商品なら何でも取り扱っている。会員登録(無料)さえすれば、誰でも取引可能で、支払いはオンライン決済や銀行振替を利用する。05年には商品数が700万件を突破。年間取引額は18億ドルにのぼり、アジア最大のショッピングサイトに成長した。この成功は、中国のネットビジネスが大きな発展の段階に突入したことを示す。

 ビジネスサイトが芽吹きはじめているとしたら、ニュース・情報サイトはすでに花を咲かせていると言えるだろう。

 2000年、中国ではニュースサイトが雨後の筍のように設立された。多言語で中国情報を発信するチャイナネット(www.china.org.cn)も、同年8月に開設。これまでの6年間で、一日あたりの平均アクセス数は12万から3000万に増加した。今では、10種の言語を通して、政治や経済、歴史、文化などさまざまな分野のニュース・情報を204の国や地域に向けて発信している。同サイトの李家明・執行副総裁は、「引き続き影響力を増大させ、中国を紹介する最も権威あるサイトにしたい」と意気込む。

チャイナネットのニュース・情報編集部(チャイナネット提供)
 中国には今、79万近くのサイトが開設されている。そのうち、検索エンジン最大手の「百度」(www.baidu.com)、ポータルサイト大手の「新浪」(www.sina.com)や「網易」(www.163.com)、「捜狐」(www.sohu.com)はすでに世界十大サイトにランクイン。アクセス率が高いため、四半期の広告収入は数千万ドルに達する。そのうえ、毎年50%近くの伸び率で成長。こういった大型サイトは概して、資金投入の段階から利益をあげることができる。

 サイト数とネット人口から見れば、中国は米国に次ぐ世界2番目のネット大国だが、インターネットの普及率はわずか9.4%。先進国の63.2%には遠く及ばない。

 経済の発展構造と照らし合わせると、中国のインターネットの分布状況は、地域経済の発展程度と完全に一致していることがわかる。東部のネット人口は中西部の3倍近くだ。そこで、インターネットの「種」を中西部の各省・自治区にまき、貧困地区の人々の便を図ることが、「西部大開発」の戦略であり、情報産業部の今後5年間の重要任務である。

 ある専門家によると、5年後、中国のネット普及率は30%に上昇するという。つまり、ネット人口は4億を超えるのだ。ネット企業にとっては巨大な市場である。

 このようなビジネスチャンスを前にして、海外の大手ネット企業は中国進出を始めている。05年8月、「ヤフー」は10億ドルで中国の電子商取引サイト最大手である「アリババ」の株式40%を取得。06年5月、「マイクロソフト」は上海でMSNの中国版サイトを開設。「グーグル」も中国に2000以上のアドレスを設けることを計画している。インターネットは中国一の大産業になるだろう。

 国務院新聞弁公室の蔡名照・副主任は、巨大な市場、手厚い利益、進化するハイテクの3つが、中国のネット産業を急速に発展させ続ける三大動力だと見ている。

自己表現の場を提供

ネットカフェは中国のユーザーにとって重要な場所のひとつだ
 欧米の先進国がインターネット技術をビジネス活動に応用させている一方、中国人はそれをニュースの閲読や言論の発表に用いることが多い。

 「中国インターネット情報センター」の調査によると、ネット利用の68%は情報の発信や収集だという。ネットビジネスを展開している企業は10%未満だ。「新浪」や「網易」が毎日ネット上で流すニュースや情報の数は一万以上におよぶ。

 ネットユーザーの3割近くがオンラインで映画を見たり、ニュースや小説を読んだりしている。自分が創作した文学作品や音楽・映像作品をネット上で発表する人もいる。こうして、一夜にして多くのネット歌手やネット作家が誕生している。ネットは、スターを生み出す新しいルートを開設したのだ。

 インターネットの発展によって最も大きな打撃を受けたのはテレビやラジオ、新聞、雑誌といった従来のメディアだ。ネットが世に出てきたばかりのころは、従来のメディアが提供する情報に頼っていた。しかし今では、従来のメディアがネットに生存と発展の突破口を探し求めなくてはならなくなった。

 先ごろ、多くのテレビ局で時代劇コメディー『武林外伝』が盛んに放送された。この作品の脚本家である上海出身の陳万寧さん(30歳)の名を知る人はあまりいない。しかし彼のハンドルネーム「寧財神」は、ネット上では相当有名だ。ユーモラスな文章で高い人気を誇っている。テレビ局も彼の創作能力と知名度に目をつけ、高い視聴率を稼いだ。

 「寧財神」さんがかつて投稿していた初出作品専門の文芸サイト「榕樹下」も出版社の関心を引いた。18の出版社と出版契約を結び、これまでに52のネット小説が書店のベストセラーの棚に並んでいる。

 孔子はかつて「天下道あれば、則ち庶人議せず」と言った。天下に秩序があれば庶民は政治について議論することはないといった意味だ。

 しかし今日、インターネットは中国人に広く建言の道を開いている。ネット上で意見を発表できるBBS(電子掲示板)は130万以上ある。「新浪」が開設しているフォーラムには、毎日15万以上の意見が書き込まれる。また、ブログ(日記)の形式で社会や生活に関する自分の考えを公開するブロガーの数は、2800万人に達した。このような規模の大きさは中国独特のものだ。

 近年、ネット上での批評は法律や医療、教育、交通、住居など多方面におよび、政府の政策決定にも影響を与えている。06年12月、北京市政府が家屋の賃貸に関する管理法をネット上で公開し、市民の意見を求めた。結果、多くの市民の反対にあい、中止となった。

 インターネットの管理を担当する蔡副主任はこの情況に対し、「政府がネット上で意見を求めることは、民意を知る一つの方法だ。これによって人々の利益に合った政策を制定する。中国のネット上の言論は自由だと言える」と話す。

 中国のインターネットの発展が先進国と異なるのはどうしてだろうか? 主な原因は、中国がまだ工業化社会にあるからだろう。インターネットは情報化社会の産物だ。それに合った一連の法律法規や企業の情報化意識と技術の操作能力が、中国ではまだ不十分なのである。中国のインターネットは活力みなぎる一方で、まだ青さが残る。

期待される健全な発展

 06年11月、山西省太原市の警察が大型ポルノサイトの摘発に成功し、サイトの管理者は法律によって処罰された。これは人々からの通報により、政府が法律に基づいてネット犯罪の抑制に成功した典型的な例である。

 人々はこれを賞賛すると同時に、どのようにインターネットの健全さを維持するかに関心を寄せた。ある時期、ネット上でポルノや賭博、暴力的な内容を流す者がいて、人々は反感を抱いていたのだ。子どもがインターネットによって悪い影響を受けることを心配する親も多い。

ネット上での商品取引は、人々に便利さと楽しみをもたらした
 そこで政府は、「法律による監督管理、業界の自律、大衆による監督管理」を結びつけた対策をとった。『インターネットの安全を維持する取り決め』『インターネット情報サービスの管理法』などの法規を制定し、ネット管理の法律システムを整える一方、中国インターネット協会は04年6月に「インターネット違法・不良情報通報センター」を設立。これまでの通報件数は35万件にのぼる。また、同協会は、各サイトと共同で業界の自律公約を出し、悪い情報がネット上に流れるのを防いでいる。こういった対策は、ネット上の違法・犯罪行為を効果的に抑制している。

 視察のため訪中した22カ国の通報センターからなる「国際通報ホットライン連合会」は、中国のやり方は国際的な慣例に合致しているうえ、自国の国情にも適しており、非常に効果的だとの見方を示した。そして、中国に同連合会に加盟するよう熱心に働きかけた。

 中国はいま、イギリスやイタリア、インド、シンガポール、ドイツ、フランスなどと密接に交流し、インターネットの健全で秩序ある発展の道をともに探っている。

 
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