SARS予防・治療について
専門家インタビュー


 中国などで流行している重症急性呼吸器症候群(SARS)について、先ごろ北京市内の医療機関の専門家にインタビューを行った。

 中日友好医院呼吸器内科・林江濤主任医師へのインタビュー

 ――春は風邪を引きやすい。SARSと通常の風邪にはどういった違いがあるか。

 通常の風邪は、くしゃみ、鼻水など、上呼吸器(のど、鼻)の症状に限られる。SARSの場合は大きく異なり、発熱、せき、息苦しさ、頭痛、関節痛などの症状が主になる。

 ――どういった症状が出た場合、SARSの可能性があるとされるか。

 SARSの症状には(1)病気の進行が早く、発病時に38度以上の熱が出る(2)頭痛、関節痛、筋肉痛、だるさ、下痢などの症状を伴う(3)せきが出る。痰のからまないせきが多いが、血痰が混じることもある(4)息苦しさを訴える。症状が重い場合、呼吸が早くなる、乱れる、または呼吸困難になることがある。抗生物質には目立った効果が見られない――といった特徴がある。

 北京中医薬大学付属東直門医院・姜良鐸主任医師へのインタビュー

 ――近頃、一部の新聞でSARS予防・治療のための漢方薬処方が紹介されていたが、効果はあるか。

 これらの処方は、人体の抵抗力を高めるもので、特定のウイルスに対応したものではない。際立った効果はないが、幅広い病気に対応できる。SARSの治療についてはまだ模索の段階で、こういった処方は体質強化に効果があるが、SARSのための特効薬ではない。

 解放軍304医院呼吸器科・文仲光主任医師へのインタビュー

 ――SARSに対する恐怖感から、外出を恐れる人も少なくない。これについて提案はあるか。

 現在のところ、SARSの原因ははっきりしていないが、大部分の患者は治療による回復が可能だ。SARSはその他の感染症と同様、予防が重要であり、予防のためには、まず安定した精神状態を保ち、「感染を恐れず、甘く見ない」ことが必要となる。具体的には(1)仕事場・住居の換気を頻繁に行う(2)人の集まる場所をなるべく避ける(3)SARSの疑いがある患者との面会を避ける(4)自身の衛生に気を配り、石けんや流水での手洗いを励行する(5)衣服の調節、屋外での運動を行い、体質強化に努める(6)発熱、せきなどの症状が出れば、早めに病院に行く――などの対策が効果的。

( 「人民網日本語版」より)2003/4/18