「謎の急性肺炎」が効果的に抑制

 中国など一部の国や地域で流行している重症急性呼吸器症候群(SARS)が、国内外から注目されており、多くの人がSARSに関する知識や中国の予防・治療の情況についての関心が高まっている。このため、国務院報道弁公室は4月3日午後に記者会見を行い、衛生部の張文康部長が内外の記者に、重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する中国の予防・治療の情況を紹介し、SARSの特徴や、病気の原因について、記者のインタビューに答えた。

 国内で3月31日までに報告のあった患者数は1190人で、ほとんどが広東省の一部地区に集中している(1153人)。すでに完治して退院したのは934人(うち広東省911人)で、死亡者は46人(うち広東省40人)。現在、210人が病院で治療を受けており、6人の重症患者を除いて、患者の治療は順調だ。北京では12人が発病したが、市衛生行政部門が迅速な措置を取っており、感染の拡大は見られていない。また、病気は全て他地方から持ち込まれたもので、北京を発生源とする例は見つかっていない。

 SARSは空気中の飛まつや、患者との接触を通して感染する急性呼吸器感染症であり、肺炎に似た症状を引き起こし、家庭や病院などで感染が集中している。

 伝染病学的見地や、臨床治療の情況からの分析で、SARSには次のような特徴があることが分かった。

(1)発病時期は、呼吸器感染が起こりやすい冬、春に集中している。

(2)高熱が続く、乾いた咳をする、などの症状が一般的だが、血痰が出たり、呼吸困難になったりするケースもある。症状や検査結果の特徴は通常の肺炎と異なる。

(3)主な感染経路は空気中の飛まつを介した呼吸器感染。

(4)大部分の患者がすでに健康を回復している通り、SARSの治癒は可能。

 SARSの流行が始まって以降、中国政府はWHOの専門家の訪問を3度要請し、SARSの予防と治療について、伝染病学、病原学、臨床診断と治療、拡散防止などの方面から、幅広い協力を行っている。WHOの専門家は、中国衛生部門のペスト、肺炭疽病、家きんペスト(鳥インフルエンザ)などの伝染病への迅速な対応を称賛し、疾患予防部門の専門職員の技術レベルや業務能力を認めるとともに、中国政府がこのほど制定したSARSの診断基準や対策についても高く評価した。WHOの専門家は「SARSの予防・治療から得た貴重な経験を通して、中国はすでにSARS伝染の規則性を導き出し、病気の拡散防止や患者の治療のために有効な対策を定めた」としたうえで、「他国の今後のSARS対策にとっても参考価値が大きい」との認識を示した。

 中国の専門家とWHOの専門家は近く広東省を訪れ、共同で対策を進める。

(「人民網日本語版」より)2003/4/4