科学技術の成果の転化はリレー競技のようなもの


 第10期全国人民代表大会代表で、北京化学工業グループ経済技術情報研究所の羅益鋒副所長は次のように語った。

 科学技術の成果の転化は科学技術と経済を結び付けるカギとなる一環であり、経済成長を最も直接、最も効果的に促進する形である。中国の現状は、一方では大学・高等専門学校、科学研究機構は人材を多く抱え、成果が多いが、他方では、先進国と比較すれば、科学技術の成果の転化は返って非常に遅れている。結局なにがその転化を妨げているのか。

 「科学技術の成果の転化は小さな実験から中間実験へ、更に産業化へという『リレー競技』であり、いかなる一環が『バトン』を落としても全て負けることになる」。

 成果転化の最初の「バトン」としての大学と機構において、科学者、技術者への評価メカニズムは一定の一面性がある。現在、科学者、研究者のレベルの高低は主に論文の数および発表された刊行物の等級を見るものであり、科学研究成果の産業化という最終目標をねらうものではない。その直接の結果は、多くの成果、さらには特許の価格性能比は製品化という競争力を持たず、結局は学者の「書架」に置かれたままになるのである。

 成果転化の「リレー競技」には非常に重要な一環があり、それはプロジェクトの拡充である。北京合成繊維実験工場のある会議室で、羅益峰氏は記者に、20世紀50年代の北京市には実験工場がいくつかあり、科学研究成果プロジェクトを産業化へと拡大する職能を専門的に引き受けていた。そのあと、中国が物資面で封鎖に遭い、差し迫って製品化を必要とし、これらの実験工場はだんだんと生産工場に変わり、プロジェクトの拡充機能はだんだんと小さくなるか、なくなり、成果を製品に転化する中で中断が現れることになった。

 「リレー競技」の最後の「バトン」としての企業は、現在まだ科学技術のイノベーションの主体になっていない。国外の科学技術のイノベーション、科学研究成果の転化は企業の投資が主要な部分を占めており、政府の投資は副次的な部分を占めるだけである。多くの多国籍企業にはみずからの研究所がある。中国の科学技術のイノベーションはやはり国の投資を主とし、圧倒的多数の企業は科学技術のイノベーションの軌道に組み入れられていない。事実上、企業は成果転化の最もよい場所であり、企業は科学技術成果の転化のためにミクロからマクロへ、技術の源から市場へ、主体から環境への構想、ルート、方法を提供すべきである。

 成果の転化に用いる資金が非常に不足しており、これは科学技術成果の転化を制約する重要な要素ともなっている。例を挙げれば、20世紀90年代の初めに韓国のある会社が炭素繊維複合材料に投じた5年間の科学研究経費は3000万ドルだった。その時の国家科学技術委員会がさらに多くの品種を有する高性能繊維に投じた研究経費はわずか3000万元であった。資金の不足はこれをみても分かる。

 第7、8、9期と続けて全国人民代表大会代表でありつづけた羅益鋒氏は「議案提出のキング」というニックネームがある。まもなく開かれる全国人民代表大会と全国政治協商会議で、羅益鋒氏は10の議案を提出し、そのうち『ベンチャー投資促進法の制定を提案する』と『中小企業リスク創業投資ファンド法の制定を提案する』というものはもっぱら専門的に科学技術成果の転化における資金不足に対したものである。

(「チャイナネット」より)2003.3.5