民営企業の経営者、「個人財産の所有権」に関心


 春の強風にも、政協委員たちの会議に臨む意気込みはまったくひるまなかった。午後2時ごろ、開幕式に参加する代表たちがバスを降りると、人民大会堂広場で待ち構えていた記者たちに取り囲まれた。

 甘粛省勝達企業集団の趙満堂董事長がまず降りてきて、記者たちの質問に落ち着いて答えた。趙氏は、第9期全国人民代表大会常務委員会に提案され、討論される『民法』草案にある個人財産の所有権に関する規定に最も関心を寄せていて、「国が個人財産保護を法律に盛り込むことは、われわれ私営企業の発展に利すること。私達は、これまで以上に安心して、企業経営を行える」と話した。

 勝達企業集団は、甘粛省の有名企業であり、経営範囲は、鉱物開発や精錬、電子製品の生産、不動産など多くの分野にわたっている。趙氏は、現地の有名な企業家である。今年、第10期政協の代表に選ばれ、「国はわれわれ私営企業の発展を非常に重視している。近年、私営企業の発展保護に関する一連の法律、法規が相次いで出され、私営企業の発展を後押ししている」と誇らしく語った。

 実は、趙氏だけでなく、多くの私営企業の経営者が、「個人財産の所有権」草案の提出に注目している。ここ数年、中国の法律は、公有制財産に対する保護を規定しているが、非公有制財産に対する適切な保障はない。そのため、先行して発展してきた私営企業の経営者たちは、企業に対して大規模投資をせず、好調な企業の中には、資産を海外へ移す現象もたびたび現れている。これは、中国経済の発展に、マイナスの影響を与えている。

 2002年11月、中国共産党第16回全国代表大会で「個人財産を完全に保護する法律制度」の確立を明確に提案し、社会各界の人士から歓迎された。2002年12月23日、第9期全国人民代表大会常務委員会第31回会議で提案され、審議された民法草案では、はじめて個人財産の所有権を明確に規定した。一部の学者は、「この提案は、中国社会の発展に大きな影響を及ぼし、重要な意味を持つ」と指摘している。

 趙氏はまた、次のように語った。「近年、各級地方政府の官僚も、時代の発展に呼応して、自由な発想をしていて、中国の私営企業の発展に適した環境を作り出した」

 代表たちは、中国経済の発展に、ますます自信を深めているようだ。
                (本誌記者 王浩 2003.03.05)