【唐さんの一言】
しっかり稼いでしっかり貯めるといった単純な生活です。日に日に暮らしを良くし、自分の望みを叶えたいです。

  内気で真面目な働き者。生活が苦しくなるたびに、出稼ぎでしのいできた。

 故郷にいたある日、料理に使う塩がきれた。塩は1袋2元4角(約30円)するが、手元には7角(約10円)しかない。恥ずかしくて、息子に買いに行かせた。息子は塩を買って帰ってきたが、「父ちゃん、店のおばちゃんがもうこんな風には売らないって」とくやしそうに言った。今でもこの出来事は忘れられない。

 現在は、北京の定年退職した元幹部の家でハウスキーパーをしている。月給は千元。これまでの仕事より楽なうえにお金も稼げる。妻の給料と合わせると、1月約2000元の収入だ。一家の毎月の出費は千元なので、残りの千元を貯金にまわせる。

 去年の春節は一家で帰省し、故郷に4万元の家(百平米)を買った。

 息子2人分の家を建てる資金を貯めたら、故郷に戻って休みたいと考えている。


   
[AM7:30]
ハウスキーパー先の陶さんの家に着く。三輪車の後ろに陶さんを乗せ、公園へ気晴らしに連れて行く。これも大切な仕事。
  [AM9:00]
公園から戻り、掃除などの家事を行う。働き者の唐さんは、毎日同じ仕事のくり返しでも手を抜かない。
 
   
[AM11:00]
陶さんのために昼食の準備をする。自分は自宅へ帰って食事。午後2時半、再び陶さんの家へ。
  [PM5:00]
午後は洗濯やトイレ掃除、買い物を済ませ、糖尿病の陶さんにインシュリン注射を打つ。
 
   
[PM6:30]
6時に陶さんの夕食を作り終え、ハウスキーパーの仕事を終了。自宅へ戻って息子に宿題をさせる。
  [PM8:00]
夕食の支度をし、妻が帰宅したらテレビを見ながらみんなで食事。テレビは夜の唯一の楽しみだ。10時半に就寝。
 

【お部屋 拝見! 】


叔母さん一家と一緒に平屋を借りている。唐さん一家の部屋は6平方メートル、家賃は300元。テレビ以外の調度品はすべて大家のもの。以前住んでいた地下室に比べると、住み心地はとても良くなった。

 

 
持ち物
チェック!
  5年間ずっと利用している手提げ袋。買い物に行く時に使う。

 

 

北京市が外地からやって来た人に発行する「暫住証」と「健康凭証」。これにより、北京に住み北京で働くことが合法化される

 

  雨傘。ハウスキーパー先の陶さんのために使う

 

  NOKIAの携帯電話(800元)。家族と連絡をとるために購入。急用でない限り、使用を控えているが、それでも毎月100元前後はかかる

 

  自転車と自宅のカギ  
 
 
【プロフィール】1969年四川省剣閣県生まれ、中卒。91年に結婚。98年、妻と次男を連れて北京へ出稼ぎにやってきた。果物の行商人やポップコーン売りをした後、現在はハウスキーパーの仕事に就く。長男は故郷で中学校に通っている。次男は北京の小学校に通う。(2005年10月号より)

 
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