「突発公共衛生事件応急条例」について国務院の回答


 国務院法制弁公室の責任者は5月12日、国務院公布の「突発公共衛生事件応急条例」に関してマスコミの取材に応じた。

 マスコミから(1)現在の突発的事態に対する応急処置システムにはどのような問題があるか(2)応急処置のカギは迅速な対応システムと処置能力のいかんにあるが、条例は法律制度の面からどのように基準を定めるのか――といった質問が寄せられた。

 それに対し責任者は「重傷急性呼吸器症候群(SARS)の予防・治療を通して、突発的事態への対応の不備が浮き彫りになった。情報の遅滞、統計の不正確さ、反応の遅さ、緊急事態への準備不足などが主な問題点だ。本条例では迅速な対応システムの設立と応急処置能力の向上を目指し、7項目の具体的措置を規定した」と回答。措置の内容は以下の通り。

 1 突発的事態の処置に対する指揮系統を強化するため、政府の管理責任を明確にする。条例は、突発的事態の発生後、国務院と関係する省・自治区・直轄市の人民政府が、応急処置指揮部を設立して、統一的指導を取る責任を有すると規定する。

 2 一部の部門と地方政府の突発的事態への警戒能力の不足、および観測システムの不備に対応するため、条例は、観測・警戒システムを設立し、複数ルートによる、他の機関と連動した迅速な情報報告システムを確立するよう規定する。特に省レベル人民政府の報告責任を強化するため、省レベル人民政府は疾病情報など突発的事態に関する情報を入手した場合、1時間以内に国務院衛生行政主管部門に報告するよう規定する。各レベル政府間、各レベル衛生部門間での報告にも時間制限を設ける。またすべての機関および個人は、政府または政府部門に突発的事態を報告する権利、職責を果たさない、あるいは規定通りに職責を履行しない政府・政府部門を告発する権利を有すると規定する。

 3 今回のSARS予防・治療対策を通して浮き彫りになった突発的事態への準備不足に対応するため、条例は、県以上の各政府は予防・治療についての科学研究を促進し、緊急事態向けに物資、設備施設、技術、人材資源を確保し、必要経費を各級政府の予算に組み込むよう規定する。

 4 突発的事態に迅速に、秩序をもって対応するためには、応急措置プランの制定が極めて重要。条例は、国務院衛生行政主管部門が、全国突発事態応急措置プランの内容を定めることを規定する。

 5 関連の部門が応急措置プランの規定に従って、的確に職責を履行できるよう保証するため、条例は、突発的事態の技術的調査、認証、処置、コントロール、評価などについては、専門的技術機関がその責任を負うと規定する。また関連の政府と部門が、必要な物資の生産、提供、輸送に関する責任を負うと規定する。

 6 突発的事態の発生後、専門的技術機関と現場が準拠すべき内容を示すため、条例は、新たに発生した伝染病、原因不明の集団的疾病、重大な中毒事件に対しては、国務院衛生行政主管部門が技術的な基準、規範、コントロール措置を迅速に定めるよう規定する。

 7 伝染病患者を迅速で効果的に治療し、責任の所在を明確にし、二次感染を防いで伝染源を断ち切るため、条例は、医療衛生機関の診療・治療、患者の搬送などについて規範を設け、衛生機関が患者と密接に接触した者に対し隔離措置や医学的観察措置を取り、内部に対しては衛生上の防護措置を取ることを規定する。

                    (「人民網日本語版」より)2003年5月15日