WTOは中国に何をもたらすか

経済専門家3人に聞く


 
 
上海の浦東の陸家嘴金融区は、世界の金融界がもっとも注目する所となった(撮影・劉世昭)

 ――1986年7月10日、中国のジュネーブ駐在代表団の銭嘉東大使は中国政府を代表し、中国が関税貿易一般協定(ガット)の締約国の地位に復帰する申請を正式に提出した。1995年1月1日、世界貿易機関(WTO)が正式に成立し、中国は、今度は「ガット復帰」から「WTO加盟」へ交渉を転換した。2001年9月17日午後三時、中国のWTO加盟の法的文書が通過し、2001年11月10日午後、カタールの首都ドーハで開かれたWTOの第四回閣僚級会議で、中国のWTO加盟を承認する決議が、いかなる反対意見もなく通過した。15年にわたる加盟交渉は最終的にピリオドが打たれた。

2001年11月11日、中国のWTO加盟の議定書がドーハのシェラトンホテルで調印された。これを祝って中国の石広生・対外経済貿易部部長(右)とWTOのムーア事務局長が杯をあげた(撮影・ドーハ)

 中国のWTO加盟交渉を、中国革命になぞらえて「15年の長征」と呼ぶ人もいる。またこれは中国が経済のグローバル化に加わる「万里の長征」の第一歩で、中国が世界経済の主流に溶け込むまでには長く、漸進的な歴史の過程をへなければならないという人もいる。

 いったいWTO加盟は中国に何をもたらすのか。本誌は中国の経済界の専門家や学者を取材し、その意見を整理してみた。

 

  発展の中で問題を解決する

       中国改革基金会国民経済研究所所長 樊綱

樊綱
(撮影・楊振生)

 たとえ中国がWTOに加盟しなくとも、これはやらなければならないのだ。中国が経済を発展させようと思えば、また競争力をつけようと思えば、こうした苦痛を伴う調整や改革はやらなければならない。ただ今よりも圧力を少し大きくし、少し速くするに過ぎない。そうすればかえって損失は少なくなる。やらなければ、幻想を抱いたまま、問題解決を遅らせるだけだ。

 WTO加盟は中国に何をもたらすのか。それはある意味で言えばはっきり言うことができない。なぜなら、一つの研究の結果で人々を満足させ、信用させるというわけにはいかないからだ。また、問題は非常に大きく、かつ非常に総合的であるからだ。

上海証券取引所は中国の
二大証券取引所の一つで
ある(撮影・劉世昭)。

 さまざまな部門がみな影響を受ける。その影響にはプラスのものもあり、マイナスのものもあり、また各部門の間で、相互の、間接的な、交錯する影響もある。そこで、短期、中期、長期の時間の縦軸と、各部門の構造という横軸の二つの角度から、この問題を論じなければならない。

 縦軸からみれば、短期的には中国の経済成長に積極的な影響を与えるだろう。一、二年の間は、輸出が増加するに違いない。なぜなら、我が国の多くの輸出制限が取り消されるからだ。同時に輸入も増加するだろう。しかしその増加はそれほど急ではない。なぜなら、我が国の多くの貿易障壁は、だんだんに打開されていくからである。輸出入全体に対して積極的な推進作用をはたすだろう。

 別の面から見れば、2000年に中国がWTOに加盟すると言われ始めてから、外資の流入は増加し、2001年上半期には実質20%増加した。外資との投資の協議もすでに40〜50%増加している。これは中国経済が今後良くなると予測されているからで、外国の投資家の中国投資に対する確信も強まったからである。

 しかし、2、3年後には、競争による圧力が明らかになってくる。調整や改革の成果も現れてくるだろう。たぶん、ある部門にとっては、かなり苦痛を伴う時期となろう。長期的に見れば、これがWTO加盟のもっとも重要な意義なのだが、外的な力の介入によって中国の改革が新たな段階に押し上げられるということができる。

 横軸から見れば、それぞれの部門が受ける影響は同じではない。

 製造業の問題は基本的に大きくはない。少数の、独占的な部門を除けば、近年、製造業はすでに外国資本にも国内資本にも開放され、競争はすでに十分に行われるようになり、多くの部門で民営企業が主要な地位を占めるようになった。そうした企業はすでに国際競争力が備わり、実際、国外に製品を売っているし、国内でも市場を席巻している。そのうえ、外国製品に対する関税が低くなることによる圧力も大きくはない。

北京は復興門に金融街を
建てた(撮影・劉世昭)

 農業は関税が低くなり、17%になるだろう。その関税の下げ幅にはまだ余地がある。そのほかの面では中国がこれまで実際にかけていた関税はかなり低いので、おそらく農業が受ける衝撃はかなり大きいけれども、その衝撃はものすごく大きなダメージを与えるものではない。このことは強調しておかなければならない。

 衝撃が比較的大きいのはおそらくサービス業であろう。金融、流通の分野では、銀行、証券、保険などのサービス業はこれまで保護を受けて来た。今回の交渉の争点はおもにサービスと貿易の分野であった。しかし、衝撃を受ける産業にもいろいろある。

 高度成長をしている新興の部門は、(この部門は外国では前からあるのだが)、衝撃はそう大きくはないだろう。例えば保険業や通信の業界は高度成長している。現在、外国からも中国の市場に参入でき、競争によって一部の市場を分割し、利潤を持って帰ることができる。しかし、外資の参入自体が中国の市場を狭くするものではない。この市場はさらに拡大し、発展させることができ、中国の企業もやっていくことができる。

 だが、すでに確立した業種や大企業では事情が異なる。例えば銀行のように、すでに多くの大銀行があるうえ、銀行業は急成長する部門ではなく、相対的に言えば低成長の部門なので、新しい競争がもたらすのものはなにか。それは、利益をみなが享受するのではなく、こちらの銀行が消えて、あちらの銀行が大きくなるということである。一方が多く得れば、他方は得るものが少ない。外国の銀行がやってきて、良い顧客を奪い、良い銀行員を奪っていけば、国内の銀行の市場は小さくなる。その衝撃はかなり大きく、レイオフや組織再編の問題に波及するに違いない。

 もう一つ、技術の有無の区分がある。労働集約型の産業では問題は大きくない。これは中国の優れた、競争力のある分野であるからだ。しかし、資本集約型や技術集約型の産業は、技術は自分のものではなく、資本金利も高いため、これまでは政府の保護と補助金に頼り、銀行の不良貸し付けに支えられてきた。こうした国家独占や、あるいは大株主の銀行に支えられてきた企業は、国家の金を使ってハイテク技術設備を輸入し、多額の金を浪費し、不良債権の山を築き、しかも能率は高くなく、競争力は低い。だからこうした産業が受ける衝撃は大きいに違いない。

 さらにこれに関連して、国有企業と民営企業も一線を画さなければならない。民営企業は基本的に対応が素早い。基本的に競争力のない製品は造らないし、その体制も小回りがきき、ダメだとなれば軌道を転換するのも早い。当然、民営企業がみなうまくいっているわけではない。小さい民営企業の中にはダメな企業もあり、ダメなら倒産したり、組織を再編したりできるのである。現在、外資に開放するものは、原則的に国内資本にも開放するといわれている。こうなれば、民営資本はさらにチャンスが多くなる。国有企業には体制の問題があり、また産業構造の問題があって、衝撃は比較的大きい。一、二年後、競争の圧力は具体的に現れて来て、国有企業はレイオフだの、組織再編だのといった問題がさらに突出してくるだろう。

 国有企業は将来、どのような局面を迎えるか。現行の体制に対し徹底的な改造を行わなければならない。生きていこうとすれば、また競争力を持とうとすれば、この道しかないことは間違いない。国有企業は、はじめから金を稼ごうと考えず、どうやって使おうかばかりを考えてきた。それではダメなのだ。

 徹底的な改造による激震は、将来、非常に大きく波及するに違いない。しかし、たとえ中国がWTOに加盟しなくとも、これはやらなければならないのだ。中国が経済を発展させようと思えば、また競争力をつけようと思えば、こうした苦痛を伴う調整や改革はやらなければならない。ただ今よりも圧力を少し大きくし、少し速くするに過ぎない。そうすればかえって損失は少なくなる。やらなければ、幻想を抱いたまま、問題解決を遅らせるだけだ。

 当然のことながら、これは一朝にしてできるものではない。一晩に4千万人を解雇するのは不可能である。しかし、1年で400万人を解雇し、それを10年がかりで行えば4千万人を解雇できる。だから現在、社会保障の体制を改革し、二つの保障――最低生活ラインの保障と最低貧困ラインの保障――をしなければならない。国家がすこし支出を増やして、安定した保障のある社会にすること、これは必ずやらなければならないことだ。

 体制は存続させないが、人間は生きられるようにする。こうしたやり方はおそらく激震を伴うが、全体的な経済は成長する。そして経済が成長し、非国有経済が成長することによってのみ、就業が増加し、レイオフされた人々が活路を見いだせるのだ。

 こうした衝撃が起こることは、全体的に言えばやはり積極的なプロセスである。どんな国でも、WTOに加盟したからといって死滅する国はない。まして中国経済の情勢はまさに国際的には有望と見られている。そこで第二の問題――全世界の経済が下降しているのに、どうして中国経済が成長できるのか、という問題を論じなければならない。

 我々は二つの問題を抱えている。一つは体制の問題であり、もう一つは貧困の問題である。我々は発展途上国であり、また、計画.経済から市場経済へ転換中の国家である。我々は一部の貧しい国々と同様の問題を抱えているし、東欧と同じような問題も抱えている。今後数十年間、我々はこうした大問題を抱えながら歩まなければならない。それは発展の中でのみ解決できるのだ。

世界の大銀行は、数年前から中国に、橋頭堡を打ち立てた(撮影・劉世昭)

 中国経済の成長はこれまでのところ、主として国内のさまざまな要素によって決定され、決して国際的な要素によって決定されては来なかった。この1、2年の経済の落ち込みがアジア金融危機の影響だというのは言い訳にすぎない。実際は、この二年間の経済不況は、国内の問題によって引き起こされたのである。国内では1995年から不良債権の整理が始まり、投資は萎縮し、国内で金融危機が現れた。そして多くの人がレイオフになった。

 現在、国際経済はよくない。中国の貿易もその影響を受けている。しかし、6、7年の調整をへて、国内経済は成長を始め、投資も増え、民営企業も成長し、インフラに対する政府の投資も引き続き行われ、2001年上半期は、国内投資は18・8%伸びた。2000年は9・5%だった。そしてこの傾向は依然保たれている。

 政府の投資は増加していない。成長は主として非政府の力に依拠している。消費も10%伸びた。比較的安定した成長によって外資も再び入ってきた。対外貿易が少し影響を受けたにもかかわらず、中国は安定的な長期成長の時期に入ることができた。

 かえってこの2、3年、中国経済は比較的良好だった。インフレもデフレもなく、経済は7・5%や8%で成長した。これはなかなか素晴らしいことで、この時を利用して、より多く改革を行い、今後の成長のための基礎を築く。これこそ現在我々がやらなければならないことである。

 国際的にはいまのところ、すぐに経済が回復する見込みは薄いが、大恐慌に落ち込みそうもないのは良いことだ。この観点からいえば、中国はさらに国内市場の開発を重視し、内需の拡大を促進しなければならない。

 長期的に見れば、中国は10年から20年にわたり、7%か8%の高度成長をしなければならない。韓国、台湾も高度成長は40年間続いた。中国はこんなに市場が大きく、潜在力も大きい。外資の流入もあれば、新たな技術の発展もある。体制はさらに改革され、労働力はかくも低廉だ。

 高度成長ができるかどうかは、当然、改革が継続できるかどうか、政治的動揺が起こるかどうかによって決定される。少なくとも中国人はみな、混乱を願ってはいないし、上から下までみな改革を叫んでいて、誰もが現状に満足していない。このため改革は引き続き行われていくだろう。

 私は日本から帰ったばかりだが、日本では、改革はまだコンセンサスになっていない。その原因は何か。それは人々が現状にまだ満足していて、毎日の生活がまあまあやっていけるからだ。実際、日本経済は、報道されているほどめちゃくちゃにはなっていない。実際、人々の購買力はなにも落ち込んではいないし、就業は基本的に保障されていて、失業率は5%に達したといっても、それほど大した問題ではない。若い人の就職が2年ほど遅くなり、仕事を探すのがやや難しくなり、短期の仕事がやや多くなったに過ぎない。日本人もまた改革の必要があることだけは認識し始めているが、一体何を改革するのか、それもはっきりしていない。

 中国では少なくとも毎年、新たな改革の動きがあり、すでに人々の考えがそれに慣れてしまった。だから、改革の動力があると言うべきである。
 
 だが、こう述べたからと言って、決して見渡すかぎり前途が明るいと言っているわけではない。発展途上の国々は、問題を抱えながら歩み、問題を抱えながら成長するものだ。中国の問題は、40年や50年かかるのに、まだ20年しかやっていない。中国は6、70年かけて体制改革がだいたいできればいい方だ。

 我々は二つの問題を抱えている。一つは体制の問題であり、もう一つは貧困の問題である。我々は発展途上国であり、また、計画経済から市場経済へ転換中の国家である。我々は一部の貧しい国々と同様の問題を抱えているし、東欧と同じような問題も抱えている。

 この二つの問題は、こんがらかって一つになっている。だから問題を一挙に解決することはできないと同時に、経済成長を持続しなければならない。このため今後数十年にわたり、我々はこの大きな問題を抱えながら歩んで行かなければならないのだ。

 現在の貧富の格差は、歴史的、法則的なものであり、発展途上国はみなこの段階をへなければならない。我々はまさにこの段階にある。今後10年、この貧富の格差は縮小しないであろう。たぶん10年たってから、その拡大が停止し始め、その後だんだんに縮小するのではないか。貧富の格差は、就業の増加とともに一歩一歩解決に向かうことができる。現在、中国の5億の農民には、ちゃんとした仕事がない。一挙に貧富の格差の問題を解決することがどうしてできるだろうか。一方、現在のハイテクや付加価値の高い産業の発展によって、貧富の格差を拡大しないといえるだろうか。中国の東部や東部の沿海地区では、投資に対する回収率は高いが、西部では、人々が職を求めて出稼ぎに出続けるであろう。

世界の各銀行は、数年前から中国市場への上陸地点を獲得する準備をしてきた(撮影・劉世昭)

 こうした問題は、一代では解決できない。だから、状況は比較的良いといえるだけで、問題がないとはいえないのだ。中国は今後数十年、問題を抱えながら進み、そうした後に、経済成長にともなって問題は一歩一歩解決されるのである。  

 問題はあるにしても、中国の発展は妨げることはできないといえる。ちょうど子供が成長する過程でうまく調整できなければその子はダメになってしまう。これと同じで、現在、中国経済は成長の過程にあり、体制をうまく調整して、将来さらに良く、さらに速く成長するよう希望する。

 しかし、問題があるからと言って、成長ができないということだろうか。現在、国際的に、往々にして問題を山のように大きなものと見なして、明日にも山崩れを起こすのではないか、という見方があるが、これが最大の判断の誤りである。実際、もし問題がないのであれば、発展途上国とは言わない。この意味から言えば、私は中国経済の将来に対し楽観的である。しかし、別の意味から言えば、私はもっとも楽観してはいない。もともと私は、問題がすぐに解決できるとは思っていないからである。市場経済は○○年までに建設できるなどというのは、まったくの空論である。

 中国は立派なメンバーになる

      国家情報センター発展研究部責任者 秦海

秦海(撮影・劉世昭)

 国際社会でよく語られる話がある。「WTO(世界貿易機関)は人の髪の毛を黒から白に変える」。これは交渉の経過の厳しさを表現した言葉である。

 中国もまた、WTO加盟に関して、真剣な態度で臨んできた。中国人や中国の政府のWTO加盟に対する熱意は、まったく掛け値のないものであった。かくも長い交渉の中で、中国の庶民の間に、WTOに関する知識がかなり普及したという効果があった。

WTO加盟は、中国にどんな
益と害をもたらすか、人々は
注目している(撮影・劉世昭)

 ここで国際社会に注意を促したいことがある。交渉の過程がこれほど長く、中国政府がこれほど真剣にやってきたことそれ自体が、中国が国際社会と交わした約束が信じられるものであることを示している、ということだ。国際社会には、善意から出るにせよ、悪意から出るにせよ、中国政府の約束を疑っている人がいるからである。

 善意から出ている疑いはこうだ。現在、中国国内の法律の整備はまだ完全なものになっていない。各地にまだ一定の格差が存在している。北京市にも一つの政策があり、また深ロレ市にも別の政策があるかもしれない。それなら中国がした約束は信じられるだろうか。少なくとも地域的な差が生じるに違いないという疑いである。

 WTOに加盟した後、それが中国に及ぼす影響は、いくつかの面で、非常に注目に値するものであろう。

 第一はマクロ経済政策の変化である。

 少なくとも中国が現在WTOに加盟するのは、最高に良いタイミングではない。というのは現在、全世界の経済が不景気だからだ。アメリカを中心とする経済は、下り坂に入っている。アメリカやヨーロッパの経済のように、世界経済が落ち目になると問題は大きい。グローバルな経済全体にとって問題は小さくないのだ。

  中国のWTO加盟が近づくにとも
  ない、外国銀行が次々に廈門
  に店を出した(撮影・陳勇)

 WTO加盟後、第一の問題は、中国のマクロ経済政策全体が、非常に大きな影響を受けることである。中国が長期にわたって追求してきた経済成長の戦略は、国際市場に頼るのではなく、主に内需に頼ってきた。これは非常に明確である。かつまた、中国が改革・開放以来採ってきたマクロ経済政策の重点を転換することによって、全面的に主として三つの変化が起こるに違いない。

 その一は、国内市場の国際化である。これによって、内需の開発に重点を置く政策、あるいは内需の市場を育てる政策により、経済成長を長期間、より安定したものにする。

 その二は、WTO加盟にともなって、しばらくの間、移行期があるので、中国の資本口座の開放を加速することができる。これは貿易や為替レート、外資の利用に関する政策がかなり大きく変わることを意味している。

 その三は、銀行である。国内市場が国際化され、資本口座も開放されるため、銀行の金利政策も大きな変化がおこる。主に国内の金利を市場競争にゆだね、それを加速させることができる。こうすることによって、強力な貸付限度額を定めて全銀行の貸付の規模をコントロールする必要はもうなくなる。

 マクロ的な変化がおこる状況の下で、もし内需を開発せず、そこにグローバルな経済の不景気が加われば、経済成長がダウンする。これは中国がグローバルな経済の周期、とくに商業の面での周期の影響を受け、さらに深刻な総需要の不足、デフレーションに陥ることを意味している。決してこうなってはならない。だから政府は早く、このことを意識すべきだ。

 第二は、中国政府の信用の問題である。

 これは強力なチャレンジを受けることになるかもしれない。WTO加盟後は、中国経済は国内を主とする環境にさらされるのではなく、グローバル化した環境にさらされる。これによって、中国政府が自らの信用と能力を築くことを加速できる。学者たちがいつも言うように、WTOに加盟した後、ダムが放水してたまった砂を一挙に押し流すように積年の問題を解決し、改革を進めることができ、国際的な商習慣を導入する力を強めることができる。

 第三に、とくに注目されているのは、中国の産業や企業、就業に対する影響である。

 現在、中国の産業はかなりよくなっている。長い目で見れば、五十年にわたる長期間の建設によって、現在の国民経済の産業体系は、すでにかなり整ったものになった。だが、目下、中国の産業にとって最大の問題はいったい何だろうか。グローバル化した経済、とくに知識を基礎とする経済環境の下で、またインターネット経済、あるいは新経済と言われる環境の下で、何が最大の問題なのだろうか。

 グローバル化でも、新経済でも、インターネット経済でも、その実質的な内容は次の三つある。

 第一は、知識や情報伝達のコストが全体的に下がり始めたこと。第二に、人類社会の分業をさらに推し進めたこと。第三に、おそらく経済生活の規範や価値観を同じ方向へ向かわせることである。

2001年4月3日、中国への直行
便の運航権を獲得した米国の
UPSは、ファースト・フライト
を飛ばし、北京に到着し た
(中国新聞社提供)

 この角度から中国の産業を考察すれば、「核心的な競争力」にまだまだ欠けていることは明白である。これは中国にとって大きなプレッシャーであり、試練である。「核心的な競争力」とは、はっきり言えば、ある産業が発展の過程で形成された唯一無二の能力は何かということである。つまり、他人がまねることができず、それに代わることもできない能力は一体何かということである。この面で、現在、大きな問題が存在しているのはわかっている。それはとくに金融業や、銀行業、保険業と一部の先端分野のハイテク産業においてである。この業界は、「核心的な競争力」が致命的に弱いのだ。

 これに反し、製造業は、非常に大きなプレッシャーとチャレンジを受けるとは思わない。中国の製造業は、一般のアジア国とは比べものにならないほどの比較優位の競争力を持っている。労働力が安いだけではなく、中国の伝統的な文化には一連の社会規範があり、それが中国人の勤勉さにつながっている。このことをはっきりと説明しなければならない。そうしないと、ダンピングしているといわれてしまう。

 2001年3月、私は日本の経済産業省を訪れたが、国際部門のある課長にいつも「あなたたちはダンピングしていますね。中国の労働力が安いからでしょう」と言われた。私は自分の見方を説明した。「日本人はじっとしていられない。韓国人もじっとしてはいられない。中国人だって同じようで、じっとしてはいられないのですよ」と。

 しかし、中国人のもっといいところをいえば、企業主に自分の取り分はいくらかとまず聞くわけでなく、勤勉である上に、生産や取引の際に出会うかもしれない危険を進んで引き受けることだ。これが、膨大な労働力を提供する力となり、資本にとって代わることができるのだ。だから、あえて率直に言えば、WTOに加盟した後、中国は自然に、世界の製造業の一大基地になるのであろう。

 しかし、それで一つの問題が生じてくる。つまり、大量な労働集約型産業は、深刻な汚染問題を引き起こすことである。中国政府もずっと持続可能な発展に十分注意を払って来た。現在、環境問題の解決に、われわれはすでに着手し始めている。

 企業についてみれば、20年前、当時の日本のある有名な人物が、「中国には企業が存在しない」と言ったことがある。20年前は確かにそうだった。しかし現在、状況は大きく変わった。中国にはすでに、多くの企業と企業家が形成されているのだ。

 だがいまのところ中国の企業は、資産の規模や市場での販売総額から見れば、世界各地の企業とはまだ大きな差がある。とはいえ、中国の企業と企業家が世界の「トップ五百の企業」に入ることを最重点目標とはすべきでないと私は思う。もしそんなことをすれば、ひたすら功名心にはやって失敗する。中国がオリンピックを開催すると、中国にも世界の「トップ五百の企業」に入る企業が出てくると中央テレビや北京テレビが言ったが、私はそうは思わない。その原因の一つは、世界的な基準に合わないところがまだたくさん存在していることにある。とくに現代的企業が何を求められているかという角度から見れば、多くの企業はその要求を満たすことができず、むしろ企業の寿命が心配されている。

 就業についてみれば、問題は確かにますます深刻になっている。今年上半期の失業率は、すでに4・8%に達している。グローバル化した環境の下で、先進国、すなわち成熟した市場経済を持つ国は、輸出入や国家間の重大な交易問題を、それが国内の就業にどう影響するかという観点からとらえて来た。

 一面では、市場競争や市場のルールを守る面で、中国の企業は確かに大いに改善されているが、別の面では、就業のプレッシャーは非常に大きい。その原因はどこにあるのか。第一に企業は社会の細胞であり、労働力を吸収する。しかし、競争の諸条件が悪化すると、多くの企業は破産してしまうので、社会に大量の労働力を吐き出すことになる。第二に、改革が進んでいくにつれて、必ずレイオフが起こってくる。第三に、郷鎮企業は改革を進める過程でさまざまな問題が起こり、労働力を受け入れる能力が減ってしまった。これらが失業率の増加の原因である。

 就業という根本的な問題で、これほど大きな問題が生じた本質はいったいどこにあるのだろうか。実は二つある。第一は、中国の労働力資源が確かに大きいからである。第二は、ここ数年の情報技術革命によって、労働者の質に対する要求が高まっているからだ。2000年にユネスコのある報告は、人類が35年間で蓄積した知識の総量は、過去3千年にわたって蓄積した知識の総量に匹敵すると述べている。

 このように知識の総量が多いため、高等教育を受けた人なら、半年ごとに自分の知識を更新しなければならないし、普通の労働者なら、3年ごとに、組織的な再教育訓練を受け、自分の知識を更新しなければならなくなった。そうしなければ、現在の産業が労働者に対して求めている労働力の質に応じることはできない。

 だから、WTO加盟後、全面的な再編成が起こるに違いない。「水は低きにつくが、人は高みを目指す」。そこで大きな問題が起こるのである。つまり、人的資源が国際的に移動することである。人的資源の国際化は、中国の各方面の発展にとって、大きなプレッシャーとなるであろう。

 優秀で先端を行く人材が見つからないわけではない。実は、それほど多くの金を出せないのだ。効果的な奨励システムは、人材を育成したり人材を引き留めたりするうえで非常に重要である。産業、企業と就業の全面的な再編成が引き起こす重大な問題は、人的資源のグローバル化である。今後の発展の過程で、もし人的資源の移動の方向が中国本土へ向かうのではなく、逆方向への移動であれば、中国の今後の発展にとって大変に不利であろう。

 第四に、消費者に関することである。

 消費者が関心を持っているのは何であろう。第一は価格で、第二は、さらに利益を得ることができるかどうかである。競争が激しくなることによって非常に重要な結果がもたらされるはずだ。それは市場が秩序正しく整うことで、現在のようではなくなる。だから、ルールを守って行われる競争や、比較的公平な環境があれば、価格は、庶民が受け入れられる形になるはずだ。また、全体的な市場秩序の形成は、きっと公平、公正で、有効な方向に発展していくので、大規模なストライキは再び起こらないはずだ。

 しかし、一つだけは不利なことがある。それは中国の農産品の問題である。これから消費者がみなタイの米やアメリカのフルーツを食べれば、問題はかなり重大だ。

 WTO加盟は中国の自動車産業
 にプレッシャーをもたらす。世
 界の各大手自動車メーカーが中
 国市場に照準を早くもあわせて
 いる(撮影・張和平)

 WTO加盟によって消費者は、きっと多くの利益が享受するに違いない。まずいろいろな商品がさらに豊かになり、しかも比較的合理的な価格になるはずだ。さらに、もっといいサービスが提供されることである。

 そして、もう一つ補充して述べたい点がある。それは、現在の中米間の協定で述べられていることだが、中国が市場経済の国と見なされず、「非市場経済の国」として取り扱われることである。

 これは面倒な問題である。というのは、WTOが実行しているのは「普恵制」(普遍的優遇制)で、これは、先進国が途上国からの輸入に関税をかけないという制度である。もし市場経済の国と見なされなければ、「普恵制」と「特恵制」(特定の国や地域からの輸入に低い税率の関税をかける制度)が衝突した場合、「特恵制」に従って解決することを意味している。

 グローバル化の環境の下では、WTOの規定はすべてに優先するはずである。しかし米国はまず長期にわたり、自国の商法を第一位に置いてきた。第二はアメリカの「特恵制」で、第三がWTOの規定である。米国がグローバルな経済、投資、貿易、経営自由化などの面で問題を処理してきた経験を、中国政府は鑑とすべきだ。

 WTOの問題があるからといって、国内での基盤となるべき社会的な諸規則の整備をゆるがせにしてはならない。グローバル化やWTOへの加盟は、いわゆる主権国家の消滅を意味しているわけではない。むしろ、地域を基礎とし、あるいは国家主権を基礎とする理論、とくにソフトの基盤、つまり、法規や制度、規範、規則などのソフト面で基盤の建設にさらに力を入れるべきである。こうしてこそはじめて、中国の将来の経済発展や社会の安定を積極的に支援することができるのである。

 総括して言えば、WTO加盟後、われわれはWTOの立派なメンバーになることができる、ということだ。当然われわれは、中国政府がいろいろと約束した通り、中国の果たすべき責任を必ず果たさなければならない。だから私たちは、政府に対し高度の信頼と期待を寄せるとともに、政府がゲームのルールを守るように、私たちもできる限り手助けしなければならない。

 改革こそが発展をもたらす

   北京大学中国経済研究センター副主任  海聞

海聞(撮影・劉世昭)

 中国はまさに改革と発展の新たな段階に入ろうとしている。1978年の農村改革と同じように、中国の世界貿易機関(WTO)加盟は、中国の現代化プロセスにおけるもう一つの一里塚となるだろう。比較的開放された環境の下で、中国はすでに経済の高度成長に成功したが、WTOの枠組みの中で、改革がきっと中国を経済発展のさらに高い段階に押し上げるだろう。

 中国のWTO加盟は、明らかに中国にもその他の国々にも、さらに多くのビジネスチャンスをもたらす。しかし、もっとも重要な影響は、中国の経済改革をさらに深化させることである。

      明確な目標と道筋を確立せよ

 ロシアと東欧諸国の改革は、「私有制の市場経済」を確立することを最終的な目標としていて、中国とは異なっている。中国の改革には、既成の道筋はない。ケ平同志が説いたように、中国の改革は基本的に「石を足で探りながら川を渡る」やり方である。

WTO加盟をめぐる中国とEU
との交渉が行われた中国対外経
済貿易部の前につめかけた報道
陣と市民(撮影・鄒憲)

 改革の最初の目標は、基本的な経済制度を変えないという前提の下で、国有企業の効率を高めることである。中国共産党の第15回大会ではじめて、改革の目標を「中国の特色ある社会主義市場経済を打ちたてることである」と確定した。しかし、改革の目標は依然、明確ではない。「社会主義市場経済とは何か」ということに対し、各政治、経済部門はそれぞれの利益と認識に基づいて、まったく異なる理解をしている。

 改革の初期においては、目標が明確でなくともあまり関係はなかった。なぜなら、改革はまず農村家庭の「生産高にリンクさせた請負制」から始まったからである。この任務を成し遂げるのはわりあい容易であった。中国では、各戸ごとに耕作するのは数千年の歴史があるのに、集団経済になってから25年にもならないからである。土地は依然、集団所有ではあるが、農民は長期間、土地を借りて使うことができる。だからこそ農村において、最初の改革が大きな成功を収めることができたのである。

 しかし、1984年に始まった都市改革(工業の改革)は、かなり長い道のりを歩まなければならない。これは確実である。次の改革は、有効な現代的経済体制や現代的な銀行体系、現代的な交通、通信システムを樹立することにあるが、一体どうやってこれを樹立するのかは、大きな論争となっている。企業の内部の国有制、あるいは公有制を引き続き維持するのかどうかで、意見は一致していないからである。

 中国のWTO加盟について合意
 に達したあと、江沢民主席は米
 国のバーシェフスキー通商代表
 と会見した(撮影・任海霞)

 中国の市場経済改革は、かなり進んだとはいえ、一部の理論家たちと政府部門は依然として市場経済理論を用いて改革を指導しようとはせず、市場経済理論は資本主義の「西側の経済学」に適用するものだと認識している。一部の経済学者を含む多くの影響力の強い人たちは、「計画経済でもなく、西側の市場経済とも異なる」経済制度を樹立しようと望んでいる。しかし多くの企業家と改革推進論者は、なるべく早く転換をやり遂げて、私有財産権を基礎とする市場経済を打ちたてたいと思っている。このように、改革の目標と方向が不明確なため、多くの利益集団が政治的権力を利用して、彼らそれぞれの経済的利益を保持している。

 だからこうした状況下では、中国は「外圧」を借りる必要がある。誰もがみな改革をしたいと思っているわけではない。一般的に言えば、改革は、危機は到来するか、あるいはみなの考えが統一できれば進む。もちろん我々は、危機に陥るのを望んではいない。改革に対する思想の統一も不可能だ。なぜなら利益の衝突があり、理論の衝突もあるからだ。そこで改革を進める第三の道は「外圧」を借りる道である。実際、歴史的に見れば多くの国が国際的な組織や条約に加入することによって国内の改革を推進してきたのである。

1999年11月15日、中米両国
は中国のWTO加盟につい
て合意に達し、双方の代表
が調印した(撮影・任海霞)

 WTO加盟はつまるところ、中国にどんな影響をもたらすのか。もっとも長期的な影響は、中国を計画経済から市場経済に転換するプロセスを徹底的に完成させ、かつまた、そのための改革を再び逆戻りできないようにしてしまうことである、と私は思う。

 WTO加盟を通じて中国は、政治家たちや経済利益集団、経済学者たちの間にある意見の違いを棚上げして、明確な改革の目標を確立し、その目標に到達する道筋と方向を確定することができる。またこれによって中国は、WTOの憲章に基づいて改革を深めるよう迫られ、国内の論争があっても国際的に約束したのだからと、論争を終わらせることができる。もはや、「中国はどのような制度を採用すべきか」「どの産業を保護すべきか」というずっと続いて来た論争を行う必要はなくなる。現在、もっとも肝心な問題は、いかにしてWTOの原則に基づいて経済体制と経済政策を調整するか、また、いかにして国際的競争に対応するために企業改革を進めるかである。

       私営企業の発展を促進せよ

 過去20年、中国私営企業は大きな発展をとげて来た。しかし、多くの分野で、私営企業は依然、差別待遇されている。とくに多くの重要産業、例えば金融、貿易、電力、交通運輸などの産業分野では、ずっと私営企業の参入は禁止されて来た。

 中国のWTO加盟は、私営企業に絶好のチャンスをもたらす。私営企業はこれまで禁止されてきた産業分野に進出することができるようになる。WTOに加盟するために、中国はまず私営企業に、金融、通信、その他の重要産業を開放せざるを得なくなった。なぜなら、中国が外国資本にこの分野での投資を許したからには、外国資本の投資が私的性格を持つものであり、私営企業に対してもこの分野を開放するのはきわめて自然なことだからだ。いったん政府が私営企業のこの分野への参入禁止を取り消せば、私営企業はさらなる発展のチャンスをつかむことになる。

  2001年、APECの貿易担当
  大臣による非公式会議が、江
  蘇省蘇州市の周荘で挙行され
  た(撮影・武治義)

 郷鎮企業は今後、なくなるだろう。これは過渡的なものだからだ。郷鎮企業は主として、地域社会を主体とする産業を指しているが、今後は多くの中小企業に取って代わられるだろう。また、農村に限定されることもなくなる。WTO加盟後、中小企業はもっと多くのチャンスがでてくる。制度の面で中小企業に発展の機会が与えられる。WTO加盟は、中国が門戸を大きく開けて外資を迎え入れるばかりではなく、国内に向けても門戸を開放することを意味していると言って良い。

 多くの郷鎮企業は現在、いくつかの分野において、これはやっていいが、あれはやってはいけないと、非常に制限されている。かりに中小企業に能力があればどうなるか。将来は、まず郷鎮企業や私営企業にさらに多くの発展のチャンスがあたえられるべきだろう。もし彼らが事業を発展したいと思い、その能力がありさえすれば、交通、金融などの大きな産業を経営することもできるようになる。

 同時に、郷鎮企業の中には本来、やってはならないことをやっていたケースもある。これはなくなっていくだろう。例えば、数人の鍛冶職人に頼って小さな工場を建て、年に数百台の自動車を造るというようなことは、やってはならないことだ。あるいは、保護されている製品を生産しているケースは、その保護がなくなった後、すぐに危機に陥る。中小企業は依然、その数が多い。各地方ごとに多国籍企業ができるというのは不可能であり、米国でさえも、中小企業は依然として労働者の主な就業先となっている。

      国有企業の所有制を改革せよ

 WTO加盟によって真っ先に、貿易の権利を持っている国有企業が一連の挑戦を受けることになる。WTOが順守を求める一つの主要な原則は、公平な貿易と公平な競争である。公平な貿易を阻害する政府の補助金制度や国営貿易は、「非市場的行為」や「不公平」と見なされ、報復を受けやすい。

 中国は転換期にあるため、国有企業は多くの部門で依然、重要な役割をはたしている。2000年までは、ほぼ五割の輸出が国有企業からのものだった。このため中国がたとえWTOに加盟しても、おそらく依然として「非市場経済の国」としての待遇を受けるだろう。現在の協定に基づいて、今後15年か、あるいは中国が本当の市場経済の国になるまでは、中国の国有企業の輸出は、他の国々の多くの報復的な措置に遭遇することになるだろう。

 WTO加盟はまた、国有企業の所有制の改革にも大きな圧力を与えることになろう。それは経済効率を高める必要とともに、「非市場経済の国」に対する差別待遇や煩わしいダンピング訴訟を避けるためにも必要である。グローバリゼーションと国際競争は、共通のルールが要求されている。もしある企業が国際競争に参加しようとすれば、必ずこのルールを守らなければならない。このプロセスの中で、徹底的な改革が必要になるというのは理の当然である。

 現在、中国はまさに改革と発展の新たな段階に入ろうとしている。1978年の農村改革と同じように、中国のWTO加盟は、中国の現代化プロセスにおけるもう一つの一里塚となる。比較的開放された環境の下で、中国はすでに経済の高度成長に成功したが、WTOの枠組みの中で、改革がきっと中国を経済発展のより高い段階に押し上げることになるだろう。(2002年1月号より)