アジア・欧州経済から見た中国の輸入増加


 アジアと欧州は世界的に重要な二大経済圏。中国はアジア欧州会議(ASEM)の加盟国のほとんどと密接な経済貿易関係を結び、十大貿易パートナーのうち1位の日本、3位の欧州連合(EU)、5位の東南アジア諸国連合(ASEAN)、6位の韓国がアジア・欧州圏にある。2002年のASEM加盟国との貿易額は2875億ドルで、前年に比べ約19%増加し、貿易総額に占める比率は46%を超えた。二国間貿易では、上半期に、日本からの輸入が46%、EUが39%、ASEANが55.5%、韓国が53.7%の成長率を示している。

 国家統計局のまとめたデータによると、現在の中国は輸入の高度成長期にある。主な原因として(1)世界貿易機関(WTO)加盟時の承諾を履行して関税を大幅に引き下げた。今年1月1日にはさらに11%まで引き下げ、90種類の情報関連製品にはゼロ関税を適用して、輸入増加を促進している(2)経済が引き続き高い成長率を保ち、投資と工業生産の高成長が大きなけん引力になっている(3)消費構造のグレードアップが外国製品への需要を高めている(4)周辺国・地域の製造業加工ラインが大規模に移転してきたため、それらの国・地域からの輸入が増加した――ことが挙げられる。今年第1四半期には貿易赤字が問題になったが、マクロ的に見れば、個々の四半期や一定の時期に赤字が出現するのはごく当然のことといえる。また現時点での主な輸入製品は中国に不足・欠乏する資源や原材料、海外の先進的技術・設備であり、これら製品の輸入が急増した背景には国民経済の高度成長がある。輸入製品は国民経済の発展を支えているといえる。

 中国の輸入の急増は、貿易パートナーが経済の低迷から脱し、経済成長に向かう活力を取り戻すのを助けるばかりでなく、世界経済のゆるやかな回復にも貢献することになる。中国は2020年までに国内総生産(GDP)を300%増加させることを目標に掲げ、そのために市場規模の拡大を目指しているが、現在すでに市場規模は世界のトップクラスにある。都市部では人々の生活が大きく変化し、新しい消費の目玉が次々に出現。また経済貿易政策の統一性と透明性が大きく改善され、市場の開放度はますます高まっている。こうしたことがASEM加盟国をはじめとする世界各国に巨大なビジネスチャンスをもたらしてきた。1998〜2002年の5年間の輸入総額は1兆698億ドル。今年は約3500億ドルと予測されており、この成長ペースが続けば今後3年間で輸入総額は1兆ドルに達し、さらに2010年頃には2年間で1兆ドルを達成できるようになると見込まれる。予測通りに輸入が成長すれば、中国国民の生活水準を向上させるだけでなく、アジア・欧州地域はもとより世界に多大な利益をもたらすことになる。

 中国は互恵協力、相互利益の原則に基づき、より大規模により多くの分野で、ASEM加盟国をはじめとする世界の貿易パートナーたちとの経済協力を進めていく。またゆとりがあり予見可能な経済貿易環境の構築に努める。その中で輸入の増加の果たす役割が注目される。

              「人民網日本語版」より 2003年7月25日