石景山から曹妃甸へ② 構造的な三つの問題
 
首都鉄鋼は環境保護を重視し、庭園を工場敷地内につくった。庭園内には群明湖がつくられ、その入り口には牌楼(鳥居型の門)がある

首都鉄鋼の移転は、単に首都鉄鋼自身の発展や北京オリンピック開催に必要であるためだけではない。もっと深い理由は、中国の鉄鋼業全体の発展の現状に基づいて、「科学的発展観」を徹底的に実行する必要があるからである。

中国の鉄鋼業は1990年代以後、急速に発展し、鉄鋼生産量は世界一位となった。しかし、依然として多くの問題が存在している。

まず、多くの鉄鋼企業の設備はレベルが低く、エネルギーと資源の消耗が激しく、汚染が深刻であり、そのうえ製品の多くは粗鋼であることだ。このため自動車用の鋼板などの高級な鋼材の多くは、輸入しなければならない。

次は、集中率が低いことだ。中国には数千社の鉄鋼企業があるが、トップの10社の生産能力が全国の総生産能力の30%を占めているにすぎない。日本や韓国、欧米では、70%以上を占めている。

第三に、鉄鋼企業の分布の問題がある。中国の鉄鋼企業は大部分が大都市や中都市、あるいは鉱山などの資源が出る地域にあるため、エネルギーと輸送の逼迫を引き起こしている。

移転によって首都鉄鋼は、こうした問題を解決しようとしているのだ。国内外のマスコミは、首都鉄鋼が北京オリンピックのために貢献していることを大いに報道した。しかし、首都鉄鋼の移転は大勢の赴くところであり、北京オリンピックが移転のプロセスを加速したに過ぎないと言える。

人民中国インターネット版

 
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