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誰もが学校に通えるように

 

本当の「義務教育」

 

湖北省宜昌市のある小学校。2007年、780万人の寄宿舎に住む貧困家庭の児童生徒が、生活補助金をもらえるようになった
2007年3月、温家宝総理は人々にこう約束した。「すべての子どもが学校に通えるようにする」

 

その年の春、中国の農村の小中学校の児童生徒は、学費と雑費がすべて免除された。40余万の農村の小中学校で学ぶ1億5000万人の子どもたちが、無料で教育を受けられる時代を迎えたのである。

 

温総理の約束が農村で実現したとき、新たな問題が持ち上がった。それは、都市の無償教育はいつになったら実現するのか、という問題である。これに、山東省が真っ先に答えを出した。

 

2007年9月1日、全国の学校で新学年が始まったとき、山東省は全省の都市部で学ぶ170万人の義務教育段階の児童生徒の学費と雑費を免除した。済南市の環境衛生労働者である張軍さんは、思いがけないこの政策に大喜びした。彼の月給は600元ほどしかないが、娘が小学校に通うためには、一家が衣食を切り詰めなければならなかったからである。

 

今では、200元あまりの学費と雑費を政府が支払うようになった。「現在、子どもが学校に通うのに、数十元の教科書代を支払うだけでよくなったので、ずいぶん楽になりました」と張さんはうれしそうに言った。

 

喜んでいるのは山東省の児童生徒の保護者だけではない。2007年11月にシンガポールを訪問した温総理は、2008年から義務教育段階の都市の児童生徒の学費と雑費を免除すると表明した。これは、農村で無償教育を実行したのに続いて中国政府が、民生の改善の上で実行したもう一つの思い切った支出である。

 

中国の義務教育制度の歩み

1986年4月、中国は『中華人民共和国義務教育法』を公布し、適齢に達した子どもは必ず9年間の義務教育(一般的には小学校6年間と中学校3年間)を受けなければならず、国は義務教育を受ける児童生徒に対し、学費を免除すると初めて規定した。しかし、当時の中国は豊かではなかったため、本当の意味で全国民が無料で義務教育を受けることを実現するのは難しかった。中国語の「義務」には「無料」の意味がある。

 

1992年に公布された『義務教育法実施細則』では、「義務教育を実施する学校は雑費を徴収することができる」とも定められた。雑費の徴収は、主に学校の正常な運営を維持するためであった。しかし雑費の存在によって、義務教育は無料教育とイコールでは結ばれなかった。

 

2005年から、中国政府は中西部の農村の貧困家庭を皮切りに、徐々に義務教育段階の児童生徒の雑費を免除することを試行し始めた。

 

2007年、中国の農村地区で、本当の意味での義務教育が実現した。都市の義務教育はいまだに推進中である。



 

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