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生態系の保護が発展を呼ぶ

中国の北方は毎年砂嵐に見舞われる。生態系を保護して砂嵐を防ぐことは当面の急務だ(新華社)

中国は古来より自然との調和を取りながら発展してきた。しかし近代に入って、人間の活動が自然を超過し、生態環境に深刻な被害が及ぶ地域も出てきた。これに危機を感じ、近年は生態環境を守るさまざまなプロジェクトが各地で実施されている。生態系保護と地域発展のバランスをどうはかっているのか、二つの例を紹介しよう。

砂漠にオアシスを 内蒙古自治区ホブチ砂漠

内蒙古自治区の中部に位置するホブチ(庫布斉)砂漠(日本では「クブチ砂漠」とも記される)は、東西の長さ300キロ、南北の幅20~50キロ。巨大な金色の弓弦のようで、北側を弓形に流れる黄河と東西の両端で繋がっている。「ホブチ」とはモンゴル語で「弓弦」の意味である。

史書の記述によれば、約2000年前の秦・漢の時代、オルドス(鄂爾多斯)高原は草木が青々と茂り、水も豊かな地であった。宋代から元代(960~1368年)には、辺境防衛軍によって大規模な開墾が行われたが、依然として平らな田畑と肥沃な土地が広がっていた。

しかし18世紀の清代半ばに入ると、国内の人口が急速に増えたため、政府は多くの民衆を辺境に送った。これによって砂漠化が進み、百年前に、中国の八大砂漠のひとつとなった。

砂漠に道路が走った

億利資源集団はホブチ砂漠に道路を5本建設したほか、道路の両側の緑化と砂の固定も行った (写真提供・億利資源集団)

アスファルトの道路が、鋭い矢のようにホブチ砂漠の中をまっすぐに走っている。内蒙古億利資源集団がオルドス市ハンギン(杭錦)旗政府と協力して建設した砂漠道路だ。

ホブチ砂漠の奥地にあるハラマンナイ(哈拉芒奈)湖には、1億8000万トンもの硫酸ナトリウム、天然アルカリ、塩が含まれている。しかし砂丘が綿々と続いているため、ここにたどり着くには、砂丘を一つひとつ避けて、200キロ近くも車を走らさなければならない。 億利資源集団はもともと、ハンギン旗の小さな化学工業企業だった。1997年、資産規模が拡大し、化学工業やエネルギー産業などを展開する企業に成長。董事局主席の王文彪さんは、ホブチ砂漠を貫く道路を建設しようと決心した。そして4年後、南北を貫く道路が5本完成した。総距離は230キロに及ぶ。

ホブチ砂漠は5本の道路によって6つに分けられ、砂漠の整備も進められた。これにより、運送費が毎年1500万元も節約できたばかりか、砂漠に分散して居住する農牧民たちは外部との行き来が便利になった。かつてはまる3日かかっていた道のりが、今では数十分になった。

農牧民たちはもう、買い物や病院通い、子どもの通学などを心配することはない。

砂漠生態系産業をスタート

億利資源集団がホブチ砂漠で進めている砂の固定作業(写真提供・億利資源集団)

ホブチ砂漠の周辺で生まれ育った王さんは、砂漠が耕地や牧草地を浸食していくさまを目の当たりにしてきた。毎年1億6000万トンもの砂が黄河に流れ込んでいることもよく知っている。そのため、砂漠道路や道路を守る防砂林が現地の人々の役に立っているのを見て、喜びと充実感を感じ、企業の利益の一部と自分の力を砂漠化防止事業に費やすことに決めた。

砂漠の様子を調査した後、王さんは大胆な案を打ち出した。黄河の南岸とホブチ砂漠の北辺に沿って、長さ242キロ、幅5キロの防砂林を建設し、砂漠生態系産業をスタートさせるというものだった。

この壮大なプロジェクトには、巨額の資金とたくさんの人手が必要である。王さんは地元政府と相談し、「政府が率いて、企業が投資し、民衆が参加する」という方法で実施することにした。政府はプロジェクト実施区の周辺に住む1万世帯近くの農牧民を率いて、降雨後に草や木を植えさせた。1人当たり1日50元の労働費は億利資源集団が出した。

数年の努力の結果、ホブチ砂漠の北辺には砂を固定する造林帯ができあがった。王さんはさらに、ホブチ砂漠の中心部と七星湖の間に長さ150キロ、幅5キロほどの造林帯を建設しようと考えた。ここには、漢方薬となる甘草などを中心に、乾燥地帯に適した実用的な植物を植える。これは、より進んだ砂漠生態系プロジェクトである。

億利資源集団は10年来、4億元近くを投資して、ホブチ砂漠に道路や造林帯を建設してきた。植樹面積は2000平方キロ、砂漠化防止面積は6600平方キロに及ぶ。

砂漠生態系産業は砂漠の生態環境を改善したばかりでなく、億利資源集団にも大きな利益をもたらした。甘草による収入だけでも、昨年は20億元に達したという。

農牧民の生活様式を変える

寧夏回族自治区のモウス(毛烏素)砂漠周辺に暮らしている農民は砂漠に「草方格」をつくり、砂の動きを抑えて砂漠化を防止している

かつて、農牧民たちは砂丘の盆地や湖のほとりに分散して居住し、伝統的な放牧生活を送っていた。収入は少なく、干ばつや風雪、黄砂に見舞われると、家畜の牛や羊に深刻な被害が及んだ。

しかし、億利資源集団が砂漠生態系産業を実施してからは、農牧民たちの収入が増えた。どのように収入を増やしたかというと、1万世帯近くの農牧民たちは荒漠化した砂地20万ヘクタールを提供して株主となり、毎年配当金を手にするようになった。そのうえ、草や木を植えたり、造林帯を管理したりして、億利資源集団の砂漠生態系産業に携わる労働者となった。

一人当たりの年間労働収入は6000元、全国の農民の平均収入より30%以上高い。そのため、農牧民たちは喜んで草や木を植えるようになった。

環境保護意識の高まりにともない、農牧民たちの生産方式も変わった。これまでは羊を放牧して好き勝手に草を食べさせていたが、過度の放牧は脆弱な生態系に大きなダメージを与える。草地の砂漠化を進行させる原因のひとつとなっていた。

そこで政府は、放牧ではなくて囲いの中で家畜を飼育するよう呼びかけた。農牧民たちは自ら栽培した牧草を家畜に与える。手間はかかるが、栄養たっぷりの良質な牧草を食べた家畜はしっかりと肥える。激しい風雪に見舞われたとしても、囲って飼っていれば損失は以前より少ない。

放牧生活をやめたことにより、生活様式も変わった。農牧民たちはレンガ造りの家に住むようになった。水道や電気も通った。液化天然ガスを使って料理をし、温水器でシャワーが浴びられるようになった。電話やテレビもある。都市部の人々と同じような生活が送れるようになったのだ。

砂漠を生かして観光誘致

四川省アバ地区も過度な放牧により、草地は大きなダメージを受けた。現在は草地をいくつかの区に分け、各区を順番に利用する放牧方法をとって保護している

ホブチ砂漠の中にある7つの湖からなる七星湖。北斗七星のように並んでいるため、そう呼ばれている。

2001年、億利資源集団は七星湖に目をつけ、4年の歳月、2億元の資金をかけて砂漠公園を建設した。500人収容可能な施設や屋外テニス場、モンゴル式のパオがあり、砂滑り、馬・ラクダ乗り、サンドドライブ、釣りなどのレジャーも楽しめる。

この観光区で働くスタッフたちはすべて、周辺に住む蒙古族の牧畜民である。億利資源集団は彼らのために、新しい家を建てるなど生活インフラを整えた。また、観光客のもてなしかたを教えたり、砂漠観光ガイドの養成も行った。この砂漠で生まれ、この砂漠で育った彼らは、自ら体験した砂漠の生活や面白い話を観光客に聞かせることができるので、評判は上々だ。

夏の日、斜陽が大地を照らす。澄み渡る湖水、黄金の砂丘、紺碧の空、真っ白な雲。まさに王維が唐詩に詠んだ「大漠に孤煙直に 長河に落日円し」の趣である。

06年、七星湖は国際砂漠フォーラムの永久開催地となった。07年8月、アジア、アフリカ、南北アメリカ、オセアニア、そして国際機関から多くの専門家が集まり、地球上の3800万平方キロに及ぶ砂漠の各種問題にどう対処していくかについて、意見を交わした。

 

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