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コンテンツ産業の新たな担い手民営出版プロデュース業

王焱=文・写真

一冊の『杜拉拉昇職記(トララ出世物語)』は一体どれだけの人を自己啓発書フアンにしたことだろう。一冊の『明朝那些事児(明朝のあの出来事)』がどれほど多くの歴史書フアンを作ったことか。一冊の『求医不如求己(医者を頼るより己を頼れ)』がどれだけ多くの人を養生書に引きつけたか。この数年出版界を煽った羽振りのよいベストセラー本の背後に、日本で言えば出版プロデュース業に近い民営出版企画業が存在していた。

知る喜びを分かち合うために

劉祥亜社長(33)は北京で陽光ブログという中小規模の民営出版企画の会社を経営している。話がこの業界に及ぶと彼は自慢げな顔つきになった。「当当ネットや卓越ネットで見てご覧。ベストセラーの20位までの、少なくとも50%、ちょっと大げさに言えば70%はわれわれ民営出版社が企画したものだよ」

陽光ブログの編集者、于彩麗さんは、英語専攻で、英語の補助教材類の書籍の企画編集に関してなかなかのやり手。 就任2年、月収3000元以上、年末には数万元のボーナスがある

劉社長は本好きだ。かつて米国に留学し、一緒に行った人たちはコンピュータやカメラを買ったが、彼は2000ドル近くの本を買って帰った。大学を卒業するとすぐ民営の出版企画会社に入った。

「1990年代初期に民営出版企画業に足を踏み入れた最初の人たちは、みんな読書好きでした。国外で一冊のいい本に巡り合ったら、きっと国内でもヒットすると思った。そこで版権を買ってきて、出版社に推薦して出版発行する。続いて制作室の形で国内のオリジナル企画にも関わっていく。自分たちにしてみればこれは単に金儲けのためだけではなく、他人といい本を分かち合いたいという気持ちを満たすためでもある」と、彼は言った。

伝統のある国有(公有)出版社は、学術書類、技術書類、辞典や百科事典などの書籍を得意としている。そしてベストセラーの領域では、民営出版業者の方が市場のニーズの変化に対する観察がより鋭いと劉社長は見ている。

「民営出版社の選んだ本が、仮にどの本もベストセラーにならないとしても、刷っただけは売り切ってしまうと保証できる」。自分が選んだ本が読者の絶賛を博すのを見るのが、劉さんのような民営出版企画業者たちの一番の楽しみだ。

出版の舞台裏の企画者たち

民営企業が出版市場に参入するには、本の出版に精通した国有出版社との合作が不可欠だ。

「私たちと出版社の合作関係は、映画会社と映画館の関係にちょっと似ています。私たちが映画のフィルムを提供して彼らが放映する」。劉さんの説明によれば、ここ数年、国有出版社が事業体から続々企業体に体制替えし、一層強く利益を求めるようになってきた。彼らは市場の動きに鋭敏な民営資本が出版物発行前の企画から参与することを歓迎している。民営企業もプラットホームとして健全になった出版社に喜んで力を貸す。

発行販売の過程では、同じ本が、出版社は新華書店ルートを、民営会社はサイトや小さな書店などのルートを使う。各自のルートの販売額がそれぞれの収益になる。

沈まない「夕日」

  市場の第一線で20年奮闘して、民営出版企画会社はすでにかなり実力を備えたビジネス集団に成長した。

統計によると、2009年に中国で出版された30万種以上の書籍のうち、民営会社が企画出版したものは約10万種。年間販売額が2億元を超える会社も20社以上あり、多くの大中型国有出版社の規模を超えている。新聞出版総署(省)が最近文書を出し、民営出版企画業者を新興の文化生産力と認定し、「非公有の出版作業室が出版に参画できるよう何らかの措置を積極的に探すこと」を提案している。

劉社長の会社は、国内のいくつかの出版社と提携し女性向けや啓発や補助教材の類の本をかなり出版した。中国で出版したいと考える海外の作者に積極的に連絡をとり、彼らに企画してもらうこともある。

出版業を斜陽産業と考える人がいることについて、劉社長は笑って「仮に夕日だとしても、沈まない夕日だ」と言った。

 

人民中国インターネット版 2011年4月25日

 

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