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経済苦境の中の農民工たち

 

私はこう考える「雇用問題の解決法」

『農民工調査研究報告書』によれば、現在、農民工は河南、河北、安徽、山東、四川の 5つの省の出身者がほとんどで、男女比率は2.3対1だという。 年齢で見ると、16歳から35歳は全体の73.3%、45歳以上は10.75%を占めている。 彼らの主な出稼ぎ先は、渤海湾や長江デルタ、福建省の東南部、珠江デルタ地区、 および北京、上海、武漢などの大都市だが、近年、中西部の発展とともに、 西部地区や内陸の都市でも農民工の需要が次第に大きくなっている。 しかし未曾有の金融危機は、農民工の大失職を生んだ。 今後、農民工たちの雇用問題はどのように対応すべきなのだろうか。解決法を識者に聞いた。

インフラ整備に農民工を優先採用

中央財経指導グループ辧公室副主任

中央農村工作指導グループ辧公室主任・陳錫文さん

大勢の農民工が失職し帰郷することは、中国の経済が外国からの需要、つまり輸出主導型経済に大きく依存してきたことを示している。それと同時に、戸籍制度全体の改革や都市化の遅れとも関わっている。後者は、農民工が都市に安定して溶け込めない原因であると考えられる。

これに対し、今年の党の『中央1号文件』は、都市・農村部のインフラ整備工事や、新たに増やした公共事業に、なるべく多くの農民工を雇用することを打ち出した。救済の代わりに仕事を与える方法を採用し、農民らを農村部のインフラ整備工事に就くよう導き、目的や実用性の高い職業訓練を積極的に行うことが必要である。

地方政府の積極性を引き出す

中国社会科学院人口・労働経済研究所所長 蔡昉さん

農民工の失職と帰郷の問題に対し、地方政府の積極性をいかに引き出すかが問題である。例えば、都市戸籍を持たない農村戸籍の人の就労状況を地方政府の成績審査の項目に組み込み、地方政府に関心を持たせ、より目的性のある方法を実施させる。中央政府の政策は長期的な発展を視野に入れているので、地方政府はこの政策の枠の下、独自の貢献ができるだろう。

また、マクロ的な経済政策は、雇用問題にも注目すべきである。これは政府が財政政策を採用するときや、投資で経済を刺激するとき、どの方式、またはどの分野を選ぶかと関係している。一連の大型プロジェクトの着工だけで効果がでるわけはなく、沿海地域における労働の密集型・外向型の小企業への支援と有利な雇用政策を重要視することに着眼すべきである。

起業支援の3つの方法

中国社会科学院農村発展研究所農村政策研究室主任 李成貴さん

農民工雇用問題を解決するために、3つの方法を紹介する。

1つ目は、農民の雇用機会を生み出すこと。現在、一部の農民工が帰郷を迫られたのは、労働市場の需要が不足しているためである。実際、一部の労働密集型の製造業を除けば、都市には多くの潜在的な雇用機会がある。市民の生活に不便がある数だけ、雇用機会があり、需要の種類がある数だけ、雇用モデルがあるといえるだろう。われわれの周りを見れば、どれだけの家庭が、気に入る家政婦を見つけられないか。どれだけの入院患者が、理想の看護士を見つけられないか。関係部門は、このような状況について、さまざまな専門性を持った雇用の機会を開発し、目標を持った訓練を行い、農民工の再就職の手助けを行うべきである。

2つ目は、農民に対し起業支援を行うこと。中国の農村には、巨大な経済チャンスと市場の需要が潜んでいるので、政府は、農村の第2、第3産業の発展を計画案に盛り込み、支持するべきだろう。

1970年代、日本は農村工業の発展を支持するため、『農村地域工業等導入促進法』を発表した。中国では、郷鎮企業(郷と鎮における中小企業)が急に発展して以来、たくさんの農民を受け入れてきたが、現在、多くの地域で、郷鎮企業は人気がなくなってしまった。政府は、地域の経済分布によって産業構造を調整し、工業の導入を奨励、支持するべきである。

それと同時に、小さい町の発展と村の分布調整を速めて、農村でのサービス業の発展を促す。この過程では、一定の見識や技術、経験を持ち帰郷した農民工が、普通の農民と比べ、就職上有利である。

3つ目は、農産物の価格を上げること。農業は、就職の「貯水池」という呼び名がある。帰郷した農民は、科学的な農業を実践したり、合理的に経営・管理したり、現代的な栽培や養殖業を発展させたりすることによって、収入を増やせば、間違いなく就職難を解決する良い方法を見つけたといえるだろう。農民に楽しく農業に従事させようと思えば、引き続き農業補助金を増やすと同時に、大幅に農産物の価格を上げる必要がある。

インフラと公共サービス充実で雇用促進

華中科学技術大学 呉貴明さん

福建師範大学 鍾洪亮さん

各地の関係部門は、帰郷した農民工の積極性や自発性、創造性を十分に引き出し、農村部のインフラ整備の強化と帰郷した農民工の再就職の促進とを結びつけるべきだろう。

救済せず就職させ、援助せず奨励し、プロジェクト補助などの方法を通して行う。具体的には、耕地の灌漑・排水工事、農村の給水・給電整備、道路や学校の建設、老朽化した住宅の改築、お年寄りのための娯楽室、カルチャールーム、医療室、図書室などの生産・生活施設の建設に資金や労働力を投入する。

農村のインフラレベルと公共サービス能力を向上させることによって、新たな雇用が生まれ、帰郷した農民工は、現地あるいは近隣地域で就職する機会を得ることができる。

 

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