北京冬季五輪 オリンピックの中国の知恵とプラン

  ショートトラックスピードスケートのユニホームはカットレジスタンス素材を使用し、はさみで引っ掻いても破れない。受賞服はフィラメント素材を使用し、マイナス20度での防寒を実現した。靴紐を素早く締められる技術を採用し、受賞時に履く靴は快適さと便利さを兼ね備える。2021年12月21日、北京冬季オリンピック中国代表団の受賞および競技装備が北京市で発表され、その裏にある「科学技術要素」は注目を集めた。

 「ハイレベルのアスリートにとって、生地の選択は0.01秒のスピードの違いにつながる」と話す国家冬季スポーツウェア装備研究開発センターの劉莉主任は、チームを率いて2000通り以上の手書きデザインを描き、800時間以上の風洞試験を行い、唯一無二のハイテクユニホームを完成させた。

 競技場の建設、競技中のサービスにしても、観戦体験、装備設計にしても、今回の冬季オリンピックでは至る所に中国スマート製造の「科学技術の地色」が見られる。革新は世界が注目する冬の大イベントを彩るだけでなく、今後の冬季五輪の成果のシェア、ウィンタースポーツの持続可能な発展の基礎固めにもつながる。

 北京冬季オリンピック組織委員会技術部の喩紅部長は、「新技術の北京冬季五輪での実際の応用状況において、私たちがまず注目したのは競技場で、これは五輪の基礎条件になる。技術課題をクリアすることで、どの競技場も十分に科学的になる」と述べた。

 2年以上にわたる増改築を経て、1968年に建設された体育館は科学技術の新たな味わいを持っている。

 フィギュアスケートとショートトラックスピードスケートではリンクの硬さと厚さに対する要求が異なり、首都体育館は直接冷却製氷技術やリンク構造の改変などの方法を通し、温度の急速調整、2時間以内のリンクの切り替えを実現した。首都体育館のショートトラックスピードスケート競技主任の申鴒氏によると、一連のテストマッチ検証を経て、リンクは国内外選手から高く評価され、2021年10月のテストマッチではショートトラックスピードスケートの世界記録が5回更新された。

 優れたリンクだけでなく、北京冬季五輪は雪の美しさにもこだわっている。

 1月4日、青空の下に高くそびえる小海陀山が雪に覆われ、国家アルペンスキーセンター「雪飛燕」のコースが白い龍のようにその間を通る光景は感動的である。

 今回の冬季五輪はこの20年で初めて大陸性季節風の地域で行われ、冬から春に移り変わる時期の極端な天候への対応が重要となる。

 雪が降ると密度の低い天然の雪ではコースの雪質が変化し、雨が降るとコースの表面に氷が張り競技が危険になる。そのため、「科技冬季五輪」重点プロジェクトの「競技用雪保障コア技術研究・応用モデル」プロジェクト責任者の王飛騰氏とチームは、物理エネルギー平衡パターンを構築し雪を蓄えるという方法を打ち出した。冬の気温が低い時に造雪し蓄え、翌年初冬に利用するという方法である。

 夏の検証を経て、約60%雪を保存することができた。王飛騰氏は、「冬季五輪に関わったことのない人は、雪を保存できることをあまり知らない。この技術は冬季五輪だけでなく、氷河保護にも科学技術サポートを提供することができる」と話した。

グリーン電力100% 生態保護優先 

 招致申請から開催準備に至るまで、北京冬季五輪はグリーン、生態、低炭素、持続可能をコア理念としてきた。数々の省エネ技術はオリンピック競技の未来に中国の知恵とプランを提供した。

 世界の期待を背負い、2021年10月、北京2022年冬季五輪の火種が西漢長信宮灯に灯され、北京に到着した。

 火種灯設計チームメンバーの洪文明氏によると、神聖な冬季五輪の火種を護送するため、チームは多くの構造において革新を行った。火種灯は複層ガラス構造を採用し、ランプシェードの間に減圧できる空間を作り、風速5~6級で消えないようにした。

 安全と安定を確保するだけでなく、エコ技術も火種器具の設計に取り入れた。

 洪文明氏によると、火種灯と火種台の材質はリサイクルできるアルミニウム合金を使用し、火種台の上部は耐火、無煙、無毒性の水性セラミック塗料を使用している。洪文明氏は、「火種はプロパンガスで燃焼し、クリーン燃料である。私たちの研究開発は終始、グリーン・低炭素を目標としていると言える」と述べた。

 rPET素材(飲料ボトル再生素材)を用いた作業服が北京冬季オリンピック・パラリンピックで採用され、全競技場の清掃チームに温もりを提供する。

 この「温もりのある」贈り物のジャケットの記事には28本の飲料ボトルが使用され、防水・防汚効果が高い。取り外し可能な保温内容物に先進的なウォームコットンを詰め、原料の83%がリサイクル資源である。吸水量はジャケットの重さのわずか1%ほどで、保温内容物の保温性を保つことができる。

 国家スピードスケート館製氷システム設計の責任者の馬進氏は、「私たちは最速で氷を作ることに力を入れた。この技術を採用すれば、リンクの温度を0.5度以下に管理することができる。冷却で発生する余熱は競技場の給湯、リンクの整備、除湿などに使用でき、二酸化炭素削減量は120万本の植樹による削減量に相当する。

 エネルギー供給は冬季五輪開催の重要な基礎である。北京冬季五輪の全競技場は100%グリーンエネルギー供給を実現し、多くの競技場が再生可能エネルギーを積極的に利用している。例えば、延慶山地プレスセンターは太陽光発電システムを設置し、電力の「自給自足、余った分の送電」を実現した。延慶冬季オリンピック村は高圧電気ボイラーで暖房を供給し、100%再生可能エネルギーの熱供給を実現した。

 また、今回の冬季五輪は大会期間中の低炭素交通システムも積極的に構築した。大会期間中の交通運行政策を制定し、高速鉄道、地下鉄、公共バスの利用を促している。各競技場で電気自動車と水素エネルギー車の使用を推し進め、クリーンエネルギー車の割合は85%に達し、冬季五輪史上最高となる。また、スマート交通システムと管理措置を通し、車両の運行効率を高めるなどした。

 5G+VRを活用し、「科技冬季五輪」重点プロジェクトの「氷雪競技交互式多角度観戦体験技術とシステム」が今回の冬季五輪で実用化される。

 大会期間中、ロボットが多くの防疫作業を担う。任務を明確に分担し、スマートかつスピーディなロボットは、最も重要な「冬季五輪ボランティア」と言える。

 環境消毒ロボットは1分で36平方メートルを消毒し、約5時間連続作業できる。移動検温ロボットは設定路線に基づき対象者を探して検温し、基準値を超えるとアラームで管理者に伝える。紫外線空気消毒ロボットは222ナノメートルの周波数で効率的かつ徹底的に消毒する。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年1月16日

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