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いっそう重視される 中国文化の発信

 

設立後一年経った東京中国文化センター 石軍 センター長

日本に中国文化センターが初めて開設されてから一年が経った。東京の中心地、虎ノ門の37森ビルの一階にある。初代センター長に就任した石軍氏に、日本の中国理解に文化が果たす役割は何か、センターの運営状況や役割、今後の展望などについて聞いた。(聞き手・横堀克己)

プロフィール
石 軍(シージュン) 1954年3月、北京市生まれ。1977~81年まで北京大学日本語科で学び、その後、北京大学アジアアフリカ研究所で修士課程終了後、1990年から文化部(省)勤務。駐日中国大使館、財団法人日中友好会館での勤務を経て、2009年11月、東京中国文化センター開設準備のため来日した。家族は北京に妻、一人息子はドイツに留学中。(写真・賈秋雅)
――中国文化センターを世界各地につくろうという考えはいつから始まったのですか

石軍氏(以下石) 中国の文化を発信し、理解と友好を進めようという中国文化センター設立の構想は1980年代後半に始まりました。最初はアフリカのモーリシャスとベニンにつくられ、次いでマルタとパリ、ソウル、カイロ、ベルリンに開設されました。東京の後、モンゴルにもつくられ、現在、世界には9つの中国文化センターがあります。

日本に中国文化の発信地を建設しようという構想は1990年代に始まりました。しかし、日本は地価が高く、当時の中国の経済力ではなかなか適当な建物が見つからなかったので延び延びとなっていました。

――実際に設立が決まったのはいつですか

石 2008年5月に胡錦濤国家主席が訪日し、中日両国政府間で『文化センター相互設置協定』が締結されました。これは中日関係を重視し、文化交流を推進し、両国国民の理解と友好の気持ちを深めるという意義深いものです。

この協定に基づいて2009年12月14日、訪日した習近平国家副主席と横路孝弘衆議院議長により東京中国文化センターの除幕式が行われ、正式にオープンしました。交通が便利で、商業地区と文教地区の境にあり、高層ビルの一階にあって人々が気楽に入って来られるという立地条件を満たしています。

――アフリカや欧州に設立された中国文化センターと日本につくられたものとは違いがありますか

石 自国の文化を発信して理解を深めるという点では同じですが、日本の場合は中国と2000年にわたる文化交流の歴史があり、相互に文化の影響を受け合ったという歴史があります。日本における中国文化の発信はこの基礎の上で展開されるのが特徴です。

――センターの役割は何でしょうか

石 センターの役割には三つあります。第一は中国に関する情報の提供。中国から取り寄せた新聞、雑誌、書籍などを自由に閲覧できるようにしています。第二は講座やセミナー、展覧会などの開催。第三は、中日間で協力関係を結びたい文化団体や文化企業の架け橋となることです。

2010年6月21日に行われた特別記念展 『平山郁夫―中国との交流の軌跡―』の開幕式には200人近くが集まった(写真提供・東京中国文化センター)
――開設されてから今年11月までに、どのような活動が行われましたか

石 『平山郁夫展』や『梁思成展』など9回の展覧会が開催され、多くの観客を集めました。また連続講座『永遠のシルクロード』(全6回)や映画上映、揮毫会などを次々に開き、延べ6000人が来場しました。しかしこの数字には満足していません。来年はもっと多くの人に来てもらいたいと思っています。

――この秋、釣魚島事件が起こり、日本国内の中国に対する感情が悪化しましたが、こうした中で文化交流はどうあるべきでしょうか

石 日本国民の中国に対する感情が落ち込んだ現実は残念なことです。しかしこういう状況だからこそ、文化交流はいっそう重視されなければならないでしょう。人と人との話し合い、触れ合い、付き合いが、相互認識と理解を進めるうえで非常に大切です。

もともと日本では、中国に良い感情を持っている人が多い。中日関係をもっと良くしたいと願っている人もたくさんいます。まず真摯に各方面の意見と希望を聞くことが必要です。年齢や領域によって別々に意見や希望を聞いて、多様化する日本の社会に対応したいと思います。

――今後の発展の方向は

石 現在のスペースは580平方メートルしかなく、手狭です。世界の他の中国文化センターは2500平方メートルから5000平方メートルあります。また火が使えないため、料理教室が開けません。

来年は日本人が好むテーマで催し物を行いたいと準備を進めています。四川省と共同で「パンダ」「三国志」「四川料理」などを取り上げることがすでに決まっています。

 

人民中国インターネット版 2011年2月10日

 

 

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