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紫禁城の后妃の暮らしをしのぶ

「地上の天宮 北京・故宮博物院展」開く

構成=東京支局 資料提供=北京・故宮博物院

中国の明・清二代にわたる皇宮の紫禁城(故宮)は、皇帝と后妃たちの生活の場として、神秘に満ちている。そこには中国が誇る古典文化と芸術を代表する約180万件の文物が収蔵されている。その中の絵画、服飾、宝飾などの名品約200点を展示し、中国の宮廷文化の精髄を紹介する「地上の天宮 北京・故宮博物院展」が日本で開催される。

この展覧会は、中日国交正常化40周年に先駆けて開催される。海外では初公開の文物が多く出展され、后妃や宮女ら故宮に生きた女性たちの暮らしの品々が多く出品されている珍しい展覧会である。

展覧会は7月に北海道立近代美術館での開催を皮切りに、兵庫、福岡、愛知、愛媛、東京、宮崎、新潟、長崎を回る予定。

明黄色緞繍彩雲 金龍文女夾朝袍

■清・嘉慶年間

■着丈137.0cm、両袖全長186.0cm、袖口23.0cm、裾幅131.0cm

朝袍は清代の皇后の礼服の1つであり、主に元旦、万寿節、冬至などの重要な儀式の際に着用する。清代の典礼制度の絶え間ない改善の結果、乾隆期に至って皇后の朝袍が先蚕壇饗祀(毎年春、西苑の東北にある先蚕壇で行う皇后が桑を祭る儀式)に初めて用いられた。  

この朝袍は、丸襟で、右袖つけが上前あわせになっており、馬蹄形の袖、肩の縁飾りがあり、裾は後で開く。内飾りは月白色(薄い藍色)の纏枝蓮文(蓮の花とまとい付く枝の文様)が絹地に透け、鏨彫りに金メッキした銅製の花形ボタン4個が縫い合わせられている。

鍍金点翠鑲珠石鳳鈿子

■清・嘉慶年間

■高19.0 cm、幅30.0cm、内径17.0cm

鈿子は鳳鈿、満鈿、半鈿の3種に分かれ、満洲族の貴族の女性が皇帝の登基(天子の位に即くこと)、大婚、后妃の冊封を除いた慶祝の日によくかぶる1種の冠帽(髪飾り)である。

この鈿子の外形は下が狭く上が寛く、前が高く後が低く、農具の箕の形に似る。内から外へ骨架、内胎、外飾の3つに分けられる。骨架の部分は比較的粗い金属糸で編まれている。内胎の部分は2層からなり、内側の層は黒色糸の帯を巻きつけた網状のものになっており、外側の層は鈿子の上にあり、細めの金属糸に黒の絹糸を巻きつけ、特定の文様を編んだ帯を一回りさせている。鈿子の正面の飾りはさまざまな形をした金の鳳凰11羽と、左右の側面に金の鳳凰各1羽を飾り、鈿子の頂には金の鳳凰5羽を飾る。鳳凰の上には真珠と宝石をはめている。鈿子の後には雑宝、真珠、宝石からなる流蘇(房)5本を垂らす。この真珠を象嵌した鳳凰を飾る鈿子は、清代の后妃が用いたものである。

 

 

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