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外も内も一新 中国国家博物館③

 

丘桓興=文 魯忠民=写真

2007年から巨額の国費を投じて改築された中国国家博物館(国博)は北京の天安門広場の東側にそびえている。今年3月、広大な面積を持ち、厳かで風格にあふれ、設備が完備し、豊富な所蔵品を誇る国家博物館がリニューアルオープンし、北京の新名所に加わった。 

現在は中華5000年の文明を一堂に会した「古代中国」の常設展、現代中華民族の奮闘ぶりをひもとく「復興の道」の常設展を見ることができ、特別展として「中国古代青銅器芸術」「中国古代仏像芸術」「中国古代陶磁器芸術」などのほか、ドイツの「啓蒙の芸術」、ペルーの「インカ人の祖先——1〜7世紀の古代ペルー」などの展覧会が観客に歓迎され、新装なった博物館の魅力となっている。

 

活発に国際文化交流活動

国博は積極的に各種の国際文化交流活動を行っている。館内では常設展、特別テーマ展、特別展、臨時展示だけでなく、国際交流展覧会のために、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカ大陸の展示ホールを特設した。現在館内で開催されている展示会はドイツの「啓蒙の芸術」「インカの祖先――1〜7世紀の古代ペルー」と「イタリアの古典設計芸術展覧会」などがある。

「啓蒙の芸術」展示ホールの一角

今年の4月1日、国博はドイツのベルリン国立博物館、ドレスデン国立美術館、ミュンヘンのバイエルン州立絵画コレクション館などとの共催で「啓蒙の芸術」を西ホールで盛大に開幕した。ドイツのヴェスターヴェレ副首相兼外相、劉延東中央政治局委員・国務委員はじめ2000人余の来賓が、中国とドイツ間で過去最大規模の展覧会の開幕式に出席した。

啓蒙運動は17、18世紀に西ヨーロッパで起こった思想解放と社会改革運動で、人類史に大きな影響を与えた。今回、ドイツの3つの国立博物館が連携し、300年余に及ぶ貴重な収蔵品の中から、多数の有名画家の油絵、銅版画、彫塑、金銀器、貨幣、家具、科学器械、人形、服飾など500点余を国博で展示し、啓蒙運動の背景と歴史、ヨーロッパひいては世界の芸術、哲学、科学に大きな影響を与えたことを来館者に伝えている。

目立つ若者
新古典主義画家アンジェリカ・カウフマン(1741~1807年)の作品「少女の像」

ここは有料だったが、多くの来館者が入場し、特に興味深げに見学する若者の姿が目立った。鮮やかな色で描かれたさわやかな田園風景画や壮麗な山河の油絵、また、繊細な筆致で人間性解放や人体の美を表現した肖像画が注目を集めていた。

写実的な手法で柔らかい色彩を駆使した若い既婚女性の上品な表情を描いた肖像画の前で、1人の大学生風の女性が足を止めて、じっくり鑑賞していたのが印象的だった。ベビーカーを押して鑑賞していた若い夫婦は、幸せそうな家庭を描いた油絵を見ながら、妻が夫に「あの父親を見て。子どもを抱いている時の表情は紳士的で上品よ。優雅で、やさしそうね」とそっと語りかけていた。また高齢の男性は、何枚かのアルプス山脈の壮麗な雪景色と麓の観光客を描いた油絵の前にたたずみ、名残を惜しんでいるようだった。

1年間の長期展に合わせて、中国、ドイツ双方は定期的に館内劇場で啓蒙運動をテーマにした催しを行うことにしている。まず「啓蒙の対話」と題して5回シリーズのサミットフォーラムを開催し、両国の専門家、芸術家を招き、討論と交流を行い、経済、社会、芸術などいろいろな面で啓蒙運動が世界に与えたさまざまな影響を分析する。

 

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