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シンプルな色彩、豊かな表現 文人山水画家 李毅峰 氏

 

本誌特約ライター・諾曼

 『江山無尽』

143×69cm

篆刻から中国画へ 

プロフィール
李毅峰(Li Yifeng)字は一峰。1964年天津市生まれ。1986年南開大学を、1989年中央美術学院を卒業した。現在は中国美術家協会会員、同協会芸術委員会委員、南開大学東方芸術学科客員教授、米国アジア太平洋芸術研究院客員教授、新疆大山水研究所名誉所長、天津画院特任画師である。

李毅峰氏の芸術はまず篆刻で成果を見た。篆刻は書道における「線」の芸術であり、中国画創作の中心となる要素もまさに「線」にある。すなわち、「線」で具象を描き、その内なるものを表現していくのだ。 

中国画の創作を始めてから、李氏はますます中国画の豊かさと奥深さ、言葉では言い表せない魅力を感じるようになった。彼は中国画を描くには「気」が大切で、画家は生活に対する理解と「気」を操ることが必要だと考えている。「気」というものは中国文化、東方哲学に特有な概念だ。画家は創作する時に、大自然の息吹を吸収して洗練させ、自然の気を体のエネルギーに変え、筆と墨で表現するのだ。こうした中国画の中にある「気」は模倣が難しく、魅力に満ちており、李氏はそれに引かれるまま絶えず中国画の奥義を模索し続けている。李氏が中国画に心酔するのは、「黒と白」に魅力を感じているからでもある。中国画では水墨を最も高く見ており、色を施したものはそれに準ずるとされている。彼は黒と白が最も美しい色で、黒と白の対立と矛盾を通じて、自分の自然に対する認識をよりよく表現することができ、人生の本質を体得できると考えている。そのため、李氏の作品の多くは水墨画であり、ごくシンプルな色彩で最も豊かな芸術世界を表現しており、そこから中国伝統の人生哲学を伝えてくる。

 

独自の写意表現を 

李氏は民族の伝統と文化を熱愛しているが、むやみに古人に追従するのではなく、過剰に流行を追いかけることもない。彼は先人の技法を継承し、新しい画風を切り開きながら進んでいる。中国南北の水墨画各派の長所を総合、特に学び取った黄賓虹の山水画の風格を基礎に、多様な技法を用い、豊富な形態と美、奥深く内在するものを表現しており、情緒の表現に重きを置く写意山水画において独特の個性を持つようになっている。 

李氏が描くものは主に山水だが、花鳥を描いた作品もある。彼は、生活は創作の第一の源泉だという主張を持っており、中国各地をくまなく歩き回って自然の中から素材を探している。彼は花鳥画を描くにあたって「形」ではなく「内在」を重視しながら生命本来の姿を描いており、わざとらしさや不自然さがまったくない。 

李氏は一人の文人としての視点から、現在の中国画の変化に注目する姿勢を堅持し、絵画と民族文化の内在的なつながりや、伝統的な筆墨と現代的な精神文化の融合に心を尽くしている。彼の作品からは、伝統に対する熱い思い、強烈な個人の風格と時代の息吹を感じることができる。彼の作品には現代的な文人画の魅力があり、人々の耳目を一新する。

 

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