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中国からの訪日数が減速 日本の観光業界に暗雲

 

日本政府観光局(JNTO)は25日、9月の訪日外国人数の最新統計を発表した。それによると、中国からの訪日数は前年同月比39%増、前月比25%増の13万7500人に上った。「東方網」が伝えた。

今年に入り中国からの訪日数は急増を続け、8カ月で100万の大台を突破し、104万人に達した。これは昨年1年間の合計を4ポイント上回る数で、前年同期比58.9%増と、世界各国の訪日外国人数の中で最も高い伸びを示し、中国からの訪日数160万人から180万人という今年の政府目標はなんなくクリアするかにみえた。

ところが釣魚島事件の影響で、大手日用品メーカー宝健日用品公司が予定していた従業員約1万人の訪日旅行中止を発表。中国人旅行客が乗った観光バスが福岡市で日本の右翼に取り囲まれるなど相次ぐ問題で、暗雲が立ち込めてきた。このため9月の統計が出るや、日本の観光業界は中国からの訪日数の伸びが減速していることに今後の懸念を募らせている。

銀聯カードの統計によると、国慶節大型連休中(10月1日から7日)の中国人観光客の日本での消費額は前年同期よりは伸びたものの、その伸びは頭打ち傾向にある。日本の観光大使で、大手家電量販店ヨドバシカメラの吉沢勉取締役によると、10月の長期連休中(10月1日から7日)、ヨドバシカメラ各店では中国人客数および販売額が昨年同期比で約30-40%伸びたものの、今年1-8月の平均成長率を20ポイント以上下回った。

釣魚島事件の影響は10月の長期連休後に集中して現れると専門家は指摘する。山梨県が県内で行った調査によると、富士山河口湖のあるホテルでは10月以降1500人の中国人客から予約取消しが入ったほか、甲斐市のある温泉旅館では10月に予約のあった61の中国団体ツアーのうち47団体、人数にして1900人のキャンセルがあり、損失額は1200万円に上るという。11月の予約となるとさらに惨憺たるものだ。日本の航空業界にも徐々に影響が及んできている。日本航空は10月第1週に1000人のキャンセルがあり、18日までにその数は3600人以上に達した。全日空はこの数字がさらに倍以上にふくれあがっている。そのなかには、日本への旅行を中止した中国人もいれば、中国行きのチケットをキャンセルした日本人も多いという。

吉沢氏は日本の旅行関連業界25社からなる中国人観光客の訪日を促進する民間団体の代表として、1日も早くこの嵐が過ぎ去ることを願っている。ヨドバシには数十人の中国人社員が働いており、釣魚島事件の後、外からの圧力が少なくなかったという。店内に中国語の表示が多過ぎると電話がかかってきたことや、日本人客が中国人スタッフによる接客を拒むケースもあった。その度に店側では辛抱強く客に説明を繰り返してきた。日本で起きている中国や中国人観光客に対する非友好的な事件について吉沢氏は「民間企業として、私たちはこれまで通り中国人のお客様に心のこもったショッピングの場を提供していくつもりです。事件の影響でサービスの質が落ちることはありません。日を追うごとに店内は閑散としてきていますが、1日も早くそれに終わりを告げ、再び活気が戻ることを願っています」と語った。

 

「人民網日本語版」 2010年10月28日

 

 

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