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文化産業の発展は中国文化輸出戦略に助力する

 

中国の著名な画家で、中国新興美術の基礎を築いた劉海粟(1896~1994)氏はフランス、ドイツ、イギリス、インドネシア、シンガポール及び国内のいくつかの都市で個展を開いてきた。1988年、93歳になった劉氏の人生最後の願いが「宝島」台湾で個展を開くことだった。

 
 台湾地区と中国大陸の間には狭い海峡ひとつがあるに過ぎないが、その時代の両岸の特殊な政治的雰囲気の中では、台湾で個展を開くのはほかの地方よりさらに難しいことだった。中国共産党第11期中央委員会第3回全体会議の開催と『台湾同胞に告げる書』の発表、そして「一国二制度」という構想の提出は、両岸の軍事的なにらみ合い状態の終結と双方のコミュニケーションを進めるための前提条件を生み出した。人的交流においては、1987年に40年近く続いた行き来のない状態を終結させていたが、依然として大陸から台湾に行くことはできない状態だった。

このような政治情勢のもと、命の危険を冒して劉海粟氏ら著名画家8人を台湾に招待し、さらに現地で「大陸の傑出した人物の来台訪問についての政策」の通過を促し、大陸からの台湾訪問実現に全力を尽くしたのが、ほかならぬ李志仁氏だ。1989年、李氏の努力で劉海粟氏の最後の願いがかなえられ、彼は台湾で個展を開催した最初の大陸画家となった。

1990年、台湾地区の文化企業である勝大庄は、北京の故宮博物院で「李志仁書画作品及びコレクション展」を盛大に開催した。元国務院副総理谷牧氏と同黄華氏によるテープカットが行われ、李志仁氏の創作した書画作品に加え海外から購入した唐、宋、元、明、清各王朝時代の文化財、現代著名作家の作品など90点が2カ月間にわたって展示された。この間、来場者は百万人に達し、センセーションを巻き起こした。1993年、李瑞環主席の支援のもと、李志仁氏は全国各省の貧困地区、辺境地域に「建徳小学校」100校以上を建設した。これらの学校は「献身中華、恪遵道徳、造福人類」(中華のために尽くす、道徳を守る、人類を幸せにする)を校訓として、毎年貧困が原因で学校に行くことのできない子ども数万人を援助してきた。1998年、中国大陸で大水害が発生すると、李志仁氏は張大千氏、于右任氏らの国際的名画100点をオークションにかけその売り上げを義援金として被災地に贈った。

原籍が福建の李志仁氏は台湾地区の生まれ育ちで、1970年代に当時の多くの若者と同じようにアメリカに留学しようとしたが、中国の伝統文化に対する愛着、特に中国画の大家張大千氏や恩師である元台湾故宮博物院副院長庄厳氏の影響で結局留学を諦め、台湾で勝大庄文化企業グループを創設した。

ビジネスは毛筆の開発から始まった。1960年代、70年代の台湾ではまだ経済発展が遅れており、書画家は高品質の筆を手に入れるためには日本へ行かなければならなかった。原料不足で人件費も高い中で、李志仁氏は毛筆の構造や設計原理の研究に没頭した。毛筆の製造では、伝統的な「尖・斉・円・健」だけではなく、筆を使う時の神秘的な力、生命力を求めた。李氏はこう話す。「勝大庄の毛筆は生き生きとして変化に富んだ線を描くことができますが、線は平面に描く絵画で生命、感性、境界を表現する最も大切な要素です。これこそが、線を主体とする中国書画が、世界の画壇で絶対の優位に立っている要因なのです。このため、勝大庄の毛筆は欧米や日韓、東南アジアで人気があるのです」。彼はこのため「筆墨大王」と呼ばれる。日本書道の大家である西川寧氏、青山杉雨氏などが次々と勝大庄を訪れ、今井凌雪氏はNHKテレビの書道番組で勝大庄の筆「大観書画」を使って書道を教えた。

筆墨の製造販売から始まった勝大庄は、30年の間に大きな発展を遂げた。李志仁氏は、勝大庄美術館、ギャラリー、国際美術品オークション会社、芸術品取引センター、美術品鑑定センター、国際芸術展示センター、中国王室芸術ライセンスセンター、芸術品銀行ローンなどを相次いで創設した。また勝大庄書画学院を創立し、著名な芸術家を招き、廉価な学費で書画愛好者10万人余りを育成してきた。それらすべてが、中華文化の発揚や民族文化事業の振興に貢献している。

現在では中国の芸術品に対して世界的に膨大な投資需要があり、かつての芸術品取引センターは勝大庄30年来のグローバルな顧客ネットワークを基礎に、勝大庄ホームページの取引プラットホームを通じて、勝大庄芸術品世界取引センターへと発展している。さらに、勝大庄では次々と世界の各大都市に取引センターを開設する計画を進めている。特に、国内の各大都市でサービス事務所を開設し、中国の芸術品への投資に対するサービスを提供するほか、世界に中国芸術の美を紹介していく予定だ。2012年初めには、北京王府井のマカオセンターに台湾勝大庄芸術品取引センター北京サービス事務所が正式に設立された。この事務所は「両岸の交流、グローバルな取引、国宝の回収」についての重要なプラットホームになる。

現在の中国大陸における文化産業の繁栄と発展を推進する政策は、李志仁氏にとって大きなチャンスであることは疑いもない。彼はこう話している。「私たちは各方面の知恵、情熱、激励を凝集し、両岸の平和的統一と文化産業の発展に貢献していくつもりです。芸術が分からない人にも高い見返りのある中国芸術品投資サービスを提供するのが勝大庄の努力目標です。私たちはまた勝大庄長年の成功の経験によって、中国文化の輸出戦略に貢献することを希望しています」。(編集・翻訳=梁田麗)

 

人民中国インターネット版 2012年8月21日

 

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