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厳格な遺産保護は広大な文化観を必要とする

 

中国が都市化加速の段階にあるということも、保護と利用との矛盾を先鋭化させている。世界遺産申請の過程ですでに、各方面の利益のバランスをどう取るかが頭痛の種となり、どの省のどの遺跡をリストに入れるかが問題となっていた。世界遺産というステイタスと開発利用の最大限との一致という理念は、多くの地方の当局者に早くから根付き、各種の建設や改修が保護の名の下で細々と続いてきた。観光商品の開発も、遺産登録が決まる前から盛んに行われている。例えば大運河の杭州区間では数年前から、「世界級の観光商品の確立」を謳い文句に、運河を中心とした水上観光船が運航されている。この観光船の利用者は2003年の延べ6819人から2009年の延べ5万9093人に増加し、観光収入は年平均162.06%の伸びを記録している。シルクロードでは世界遺産申請をきっかけとして、観光車両が増加している。この2件の世界遺産にかかわる場所の多くは脆弱なものが多く、保護の難度がもともと高い。過度の観光開発を合理的に抑制しなければ、壊滅的な損害の可能性もある。

世界遺産申請を成功させるため、各級政府は巨額の資金を投じ、文化遺産スポットの多くで保護措置の充実をはかった。だが登録決定後も、保護措置は適切に続けられていくのか。緩衝地域の設置は規則通りにできるのか。そのままの文化遺産を保って破壊しないことは可能なのか。政府が資金を投じるだけで収益を求めないことが可能なのか。世界遺産2件の登録が正式に決まり、政府が厳しい保護を約束している以上、まずは国際社会に対する約束を果たすべきであり、世界遺産監督センターをできるだけ早く設立し、2件の世界遺産への監督を始める必要がある。

線形の文化遺産の保護は、点的な保護や面的な保護とは違う。また従来のような文化振興を通じて経済発展を促進させるというモデルも取れない。単純な商業化や観光化であってもならない。必要なのは、全方向的な保護であり、より広大な文化観である。(編集MA)

 

「人民網日本語版」より 2014年6月24日

 

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