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新エネ車の免税政策、日本企業が攻勢に出る

 

この数日、新エネ車産業に朗報がもたらされている。中国とドイツが電気自動車(EV)の充電基準を統一化したほか、中国は新エネ車への補助金支給を拡大し、ナンバープレート取得の優遇政策を発表し、充電スポットの建設を加速した。中国国務院常務会議では、新エネ車の自動車購入税の撤廃が議決された。中国の新エネ車の発展は、新たなピークを迎える可能性がある。環球網が伝えた。

李克強総理は7月9日、中国国務院常務会議を開いた。同会議では、「2014年9月1日から2017年末まで、中国域内での販売許可を得た(輸入車を含む)EV、条件を満たすPHV(航続距離延長式電気自動車のEREVを含む)、燃料電池車の3種の新エネ車の自動車購入税を撤廃する。関連部門は対象車のリスト作成に取り組む」ことが決定された。

同会議は、「新エネ車の発展は、中国の交通エネルギー戦略のモデルチェンジ、エコ文明の建設推進の重要な措置だ。新エネ車という戦略的新興産業の発展の支援は、革新駆動、省エネ・排出削減、汚染防止の促進、国内市場の需要のけん引、新たな成長源の育成、産業発展と環境保護のウィンウィンの実現にとって、重要な意義を持つ」と強調した。

同政策が発表されるまで、新エネ車は一般的なガソリン車と同様、車両の価格に基づき一定比率の自動車購入税が設定されていた。通常この比率は10%で、約20万元(約325万円)のマイカーを購入する場合は約2万元(約32万5千円)になる。免税の条件を満たす主な新エネ車の価格は20−30万元(約325-490万円)となっており、各種補助金を差し引いた実際の価格は10−20万元(約163-325万円)になる。自動車購入税の撤廃により、新エネ車の購入者の負担がさらに1−2万元(約16万3千ー32万5千円)減少することになり、魅力が高まる。

これまでの新エネ車補助金政策は中国ブランドを重視していたが、今回は輸入車も免税の対象内とされた。輸入新エネ車は割高であることから、免税効果がより大きくなり、普及が促進される。急台頭したテスラ・モーターズのEV「Model S」は、中国で64万8000−85万2500元(約1060-1350万円)で販売されており、消費者の購入費用が6−8万元(約98-130万円)減少することになる。

しかし国内の新エネ車の発言権は、依然として中国ブランドに握られていることを否定できない。データによると、中国の2013年の新エネ車生産台数は1万7553台、販売台数は1万7642台で、そのうち8割以上がEVとなった。中国ブランドがEV市場で主導権を握っており、北京汽車、比亜迪、騰勢、栄威、江淮が大半のシェアを占めている。今後数年内に、吉利、啓辰、長安などのブランドの新エネ車も続々発売される。新エネ車という陣地の独占は、中国ブランドにとって容易なことに思える。

しかし実際にはそう甘くはない。自動車購入税の撤廃、充電スポットの建設の加速、ナンバープレート取得の優遇策、補助金支給の拡大による影響を受け、合弁ブランドもこの大きな市場を見逃すはずがない。ホンダ、トヨタ、フォルクスワーゲン(VW)などの新エネ車市場で目立たぬグローバル大手も、すでに着々と準備を整えており、積極的に攻勢をかけようとしている。

中国のハイブリッド(HV)市場で低迷するホンダは、すでに積極的な姿勢を示している。ホンダの池史彦常務取締役は昨年10月、「当社はHVの現地開発・生産および部品調達を計画しており、中国人消費者に求めやすい、リーズナブルなHVを提供する。当社は今後3年内に、中国の広汽ホンダや東風ホンダの工場でHVを生産する。両者の年産は100万台を超えることになる」と表明した。

ホンダの中国新エネ車市場での業績は、目を覆いたくなるほど悲惨なものとなっている。中国ブランドのラインナップにはHVが不足しているが、インサイトやフィットHV版などの輸入車販売台数は、数カ月連続で0台となっている。トヨタやレクサスの新エネ車の奮闘と比べ、池氏は自社の反応の遅れに苦しめられている。

政策支援の刺激を受け、トヨタも苦心して切り開いた土地を、ライバルのホンダに奪われることを良しとはしていない。トヨタには免税政策に合致するEV、PHV、EREVがないが、燃料電池車の取り組み、新型HV(計2車種)の2015年の国産化は、中国という市場でライバルのホンダと新たな戦いを展開しようとしていることを反映している。

トヨタとホンダは当然ながら、中国で最大の競争相手であるVWに対応しなければならない。VWはトヨタやホンダの戦略とは異なり、HVとPHVに照準を合わせている。VW中国部門の責任者であるハイツマン氏はこのほど、「当社は新エネ車戦略に取り組み、今年よりEVのe-up!、ゴルフEV版、アウディのEVのe-Tronを中国で輸入販売する」と発表した。ポルシェのパナメーラPHV版もすでに発売されており、アウディ・A6のPHV版も2016年に国産化される。他にもVWは中高級セダンのPHV版を発売する予定だ。ハイツマン氏は、「当社は今後5年間で、20車種を超える新エネ車を発売する可能性がある」と述べた。

欧州のVWも、「HVの故郷」のトヨタやホンダも、中国市場を未来の新エネ車戦略の重要な陣地としてとらえている。中国ブランドは現在、新エネ車のロー・ミドルエンド市場で覇を唱えているが、この状況は数年内に打破される可能性がある。また車種数やブランド力を見ると、海外ブランドは大多数の中国ブランドを上回っている。政策の刺激を受け、国内新エネ車市場が刺激され、海外の挑戦者が活発な動きを見せている。中国ブランドがこの競争によって獲得した陣地を守りきれるか否かは、政策の自国ブランドへの重視ではなく、経営者の実力と意志にかかっている。(編集YF)

 

「人民網日本語版」2014年7月15日

 

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